医療接遇のプロに訊く、高齢者への対応、治療導入、継続のコツ

2021.02.01

整形外科外来で、高齢の患者さんを治療に導き、治療意欲を維持、ドロップアウトを防ぐためにはどうしたら効果的でしょう。ここでは、医療接遇コミュニケーションコンサルタントに、待合室や検査室、リハビリテーションルーム、そして診察室での適切な接遇を通して、骨粗鬆症を例に高齢者への対応や治療への導入方法、治療継続をスムースに進めるポイントをご紹介します。

治療の重要性を的確に伝え、治療継続の必要性などを医師がわかりやすく説明

医師は、診察室で治療のWHYとWHAT(なぜ治療が必要なのか、どんな治療が適切なのか)を、患者さんに分かりやすく説明することに集中します。具体的に骨粗鬆症を例に挙げると、健康な骨と骨粗鬆症患者さんの骨との比較写真を見せるなどして、「ちょっと転んだだけでも背中や太ももの骨を簡単に骨折してしまう。寝たきりや要介護になる可能性が大変高い病気なんです」と、短い言葉できちんとリスクを伝えてから、「でも、大丈夫、これから治療を続けていけば、好きな温泉をこれからも長く楽しむことができますよ」と、治療による患者さん個人のメリットを強調します。

ミラーリングやペーシング! 丁寧な自己注射指導が導入や治療継続向上のチャンス

最近では整形外科でも自己注射製剤を取り扱う機会も増えてきました。自己注射は、「自分で体に針を刺す」ことから、患者さんの不安や抵抗感が強く、また高価な薬剤が多いため勧められても治療を躊躇してしまう患者さんも少なくないようです。こうした課題を払拭するために重要なのが、看護師などスタッフによる「患者さんの気持ちに寄り添う丁寧な自己注射指導」です。治療のWHYとWHATは医師が、HOW(どのようにして注射をするのか)はスタッフが担うわけです。多くは別室でメディカルスタッフが患者さんに注射の指導を行います。下表に接遇ポイントを記してみました。

HOW POINT
患者さんの名前を呼びかけながら、指導をする あなたのためだけに説明をしています,との思いで親近感を醸成する
患者さんの言葉遣いをまねて、ほんの少しだけ丁寧な話し方で ざっくばらんな調子で話す方に、丁寧すぎる言葉遣いを多用しても耳に入らず、理解されづらい
言葉のペースは相手に合わせ(ペーシング)、トーンは低め、一語一語をしっかり区切って 患者さんはペースを合わせもらえると、安心を感じる
注射の手順ごとに、「ここまで大丈夫ですか」「もう一回最初からやりましょうか」などと確認をしながら、その都度「了解」を求めて指導する 会話のペースだけでなく、理解度を観察しながら指導を進める。とくに高齢者は、一度で理解することが難しいので、丁寧に。目が泳いでいるなど、理解できているかどうかを表情でチェックするのも大切
練習用キットをスタッフが使い、患者さんと同じ動作をしながら(ミラーリング)ゆっくりと指導する 同じ動作を真似することで、患者さんの理解度が深まる

さらに、患者さんが自宅で問題なく自己注射できているかどうか、できれば1週間後に電話でスタッフがフォローするとドロップアウト防止につながります。さまざまな理由で電話対応が難しい場合は、医師が再診までの期間を1〜2週間と短めに設定し、受診時に再び初回と同じような注射指導を行うのはいかがですか。また、痛みがなくなりドロップアウトしがちな導入1ヵ月後くらいをめどに、来院の予約を入れてもらうとよいでしょう。

すべては患者さんへの思いやり。それが医療接遇の基本です

医師による分かりやすい治療説明、そしてスタッフによる患者さんに寄り添った注射指導の方法など医療接遇の観点からこれまで述べてまいりました。最後に、医療接遇の基本についてお話しします。

ペーシングやミラーリングなど接遇にはさまざまなテクニックがありますが、その根底にあるのは患者さんへの「思いやり」です。「あなたのことが本当に大切です」「どうか少しでも元気になってほしい」……その気持ちがあって、初めて接遇は患者さんの心に響きます。「このお医者さまだったら、看護師さんだったら、信頼できる、治療を続けたい」と感じていただけるのです。「何かお困りですか。痛いところはありませんか。私がお伺いしますよ」、チーム一丸、心からの笑顔とともに。それがきっと、患者増、治療継続にもつながるものと確信しています。

企画・編集:株式会社エクスメディオ、毎日新聞出版株式会社MMJ編集部

『MMJ』について

MMJ(The Mainichi medical Journal)は、臨床の最前線で治療に携わる実地医家へ、世界の最新医療・医学情報をお届けする医学総合誌。創刊は2005年、編集・発行は毎日新聞出版株式会社。

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