OLSによる横のつながりが、病院内の雰囲気を大きく変えた

男山病院

男山病院
住所:〒614-8366 京都府八幡市男山泉19
電話番号:075-983-0001
アクセス:京阪電車樟葉駅から京阪バス「樟葉駅」1、2のりばより乗車。「公園前」で下車、すぐ。

――山﨑先生が医師になった理由、そして整形外科医を選ばれた理由を教えてください。 

私自身は教師に憧れたこともありましたが、父は医師で親戚にも医師が多く、周囲のアドバイスもあって医学の道に進むことを決めました。父の姿を小さいころから見ていましたので、自然な流れだったように思います。当時の大学にはカリスマ的な教授がおられまして、その方に憧れて整形外科に進みました。整形外科医は、歩けるようになったり、動かなかった手が動くようになったりと、患者さんご本人やそのご家族の喜びに接することができます。そういう時は、本当に医師になれてよかったと感じますね。


――現在、男山病院では外傷と骨粗鬆症を中心に診療されているとお聞きしました。特に骨粗鬆症では新しい取り組みも行われているそうですね。 

3年ほど前からOLS(骨粗鬆症リエゾンチーム)に取り組むようになりました。非常にやりがいを感じていますし、私にとって最後のライフワークのような思いで取り組んでいきたいと考えています。もともとは院長からいろいろな病院で取り組み始めていることを聞きまして、我々も骨粗鬆症性骨折を減らして地域の健康寿命を伸ばすことを目的として2019年12月に発足させました。当初は私が先走ってしまって、スタッフもあまり積極的ではなかったかもしれません。それが1年ほどして急にチームの雰囲気が変わってきました。縦割りだったものが、OLSで横のつながりができ、病院内の雰囲気も良くなったように感じますね。


――OLSの取り組みによって、副次的に病院内の雰囲気が良くなり、スタッフの交流が増えたんですね。 

OLSの多職種連携の形は非常に画期的だと思いますし、とても新鮮に感じます。2021年4月からは骨粗鬆症外来を開始して、治療継続率の向上や早期診断ができるように取り組んでいます。骨粗鬆症の検診受診率は10%にも満たないというのが現状で、一般の方には病気という認識が持てていません。介護を受ける方の約1/3が脆弱性骨折からくることを考えると、健康寿命を伸ばす上で、もっともっと広く知っていただきたいことです。昨年からは、地域の開業医の先生や医療スタッフ、歯科医の先生などを交えて年1回くらい情報交換をする研究会を立ち上げました。また、市民公開講座でお話をしたり、季刊紙で告知したりもしています。さらに、2023年4月からは骨粗鬆症マネージャーによる無料の骨粗鬆症相談室も開設する予定です。 

――骨粗鬆症相談室はどのようなものになるのでしょうか。 

骨粗鬆症マネージャーを中心に、ご相談に来られた方への問診からFRAXスコアを出して、結果によっては検査をご案内したり、骨粗鬆症外来をお勧めしたりすることになると思います。医師が介入しないからこそ相談できる窓口が広くなればと思いますね。まだこれから実施するので、今後また形を変えていくかもしれませんが、そのやり方を考えていくことも楽しく感じています。まだまだやりたいことがたくさんありますね。

――このところ注目されているロコモティブシンドロームについてはどのように考えていらっしゃいますか。 

ロコモティブシンドロームという言葉自体は以前からありますが、正直なところ認知度はさほど高くありません。骨粗鬆症を含め、年齢を重ねる中で筋力が落ちていったり、何かしらの障害が発生したりして、結局介護を受けないといけなくなってしまう。そうならないためにどうすればいいか、ということがロコモでは一番大切な部分だと思います。整形外科にいらっしゃる患者さんはやはり高齢者の方が多いですし、独居の方も多く、家族の世話にはなりたくないとおっしゃる方も少なくありません。そういう方々に知っていただくためにも、医師だけではなく、例えば食品を扱っている人とか、運動を教えている人とか、そういう方々も含めてどうすればいいかを積極的に考えていきたいですね。 

――最後に、この記事を読んでいる医療従事者の方々にメッセージをお願いします。 

医師は謙虚であるべきだと、私は考えています。同じ病名でもとらえ方は1人1人違うはずですし、大きな治療の流れはあっても、最終的には患者さんや家族の意志を尊重し、多くの引き出しから最も満足できる治療を選択しなければなりません。前に出ず、縁の下の力持ちという気持ちで、患者さんに接するのが良いのではないかと思っています。私はOLSの活動の中でメンバーにも恵まれて、どんどんいろんな提案を受けて、たくさんの積極的な声をもらえていますが、どんな時でも患者さんファーストで謙虚に考えることが、チームや組織を作る上でも大切だと感じています。

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山﨑 久 氏

大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学附属病院整形外科に入局。高槻島本救急医療センター、南大阪病院、済生会茨木病院などを経て、男山病院に着任。整形外科部長を務める。

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