立場が違えば見え方も違う――いろいろな角度から患者さんのことを考えて連携することが大切

社会医療法人社団 光仁会
総合守谷第一病院

社会医療法人社団 光仁会 総合守谷第一病院
住所:〒302-0102 茨城県守谷市松前台1-17
電話番号:0297-45-5111 (代表)
アクセス:つくばエクスプレス・関東鉄道常総線守谷駅より送迎バスで約15分

――椎名先生が医師を志したきっかけを教えてください。

幼少期より少年野球をやっていまして、高校も強豪校に進みました。しかしながら、高校時代に腰の手術を受けなければならなくなり、その経験が医師に興味を持ったきっかけです。そして、当時NBAで選手とともにスポーツドクターも紹介されているのを見て、そういう仕事もあるのか、とスポーツドクターに興味を持ちました。医師になってから3年目に、当時の指導医と出会って脊椎疾患の治療の大切さを教えていただき、患者さんが喜ぶ姿に触れる中で医師としてのやりがいを感じるようになりましたね。

――こちらの病院では2021年よりOLS(骨粗鬆症リエゾンサービス)に取り組まれており、国際骨粗鬆症財団のCapture the Fracture®にてメダルも受賞されています。どのような想いで取り組まれているのでしょうか。

これまで脊椎の手術をしてきた中で、骨粗鬆症性の骨折を非常に多く診てきました。手術だけではなく骨粗鬆症自体も治療をしなければならないと感じていましたが、私1人ではとても手が回りません。OLSでは、他職種の人に協力していただきながら、できることを手分けして治療の幅を広げていくことができます。立場が違えば見えてくるものも違いますし、いろいろな角度から患者さんのことを考えて連携をとっていくことは、治療を継続いただくうえでとても大切なこと。ですから、メディカルスタッフが声を上げやすいような雰囲気づくりはとても意識しています。医療はどうしても医師の指示が中心になりますが、OLS活動においてはミーティングなどでも、私が司会を引き受けないことでほかの方が発言しやすくなるように意識しています。守谷市自体は比較的新しい街で高齢化率もさほど高くありませんが、近隣の取手市などは高齢化率が高くなっています。高齢化が進む中で、骨粗鬆症の患者さんも増えてくると予想されますので、今後もしっかりと取り組んでいきたいと思います。

――みなさんの積極性がメダル受賞の評価につながったのかもしれませんね。連携という部分では、「骨粗しょう症連携手帳」による情報共有など、地域との連携も大切にされていますね。

骨粗鬆症治療の患者さんをこの病院だけで抱えてしまうと、こちらの外来がパンク状態になってしまいます。地域のクリニックさんや、整形外科だけではなく内科のクリニックさんなど、患者さんのかかりつけ医と連携を取りながら治療を進めていかなければ、継続できません。地域のクリニックの皆さんとは、なるべく顔の見える関係性を築いていきたいですね。また、患者さん向けの資材でもOLSチームのメンバーからたくさんのアイデアを出してもらいました。例えば、こちらとしてはたくさん情報を載せたくなりますが、患者さんにとってみると、あまり情報が多すぎても訳が分からなくなってしまいます。そうならないように必要最低限の情報に抑え、フォントの大きさなども気にしながら選びました。そういうことをチームでたくさん検討しましたね。

――活発な意見交換をしながらOLSの取り組みが進められているんですね。実際に患者さんに接する際、意識していらっしゃることはありますか。

コロナ禍になってから散歩をやめてしまった、地域の体操教室やデイサービスが中止になってしまった、というお声をよく聞きます。以前は、段差などが少なく空調が効いた広い空間ということで、大型スーパーでウインドウショッピングをすることをお勧めしていましたが、コロナ禍ではそれも難しくなりました。そうすると、体力も一気に落ちてしまうので、なるべく外に出る機会を減らさないようにお伝えします。また、5分散歩している人に「30分は歩かないとダメ」と否定するような言い方にならないように意識していますね。「散歩はすごくいいので、朝晩の2回にできませんか」と、少しでも肯定感を得られるように伝えています。

――最後に、記事を読んでいる医療従事者の方々にメッセージをお願いします。

私が医師として治療を進めていく中で、一番うれしいことは、患者さんが困り事から解放されて、できなかったことができるようになること。そのためには、患者さんのニーズを汲み取って、そこに対して自分に何ができるのかを考えながらやっていかなければなりません。医療者側にとってはいつものことでも、患者さんやそのご家族にとっては、病院にかかること自体が普通ではないし、非常事態です。その感覚のズレがあることを忘れないよう、私も日々の患者さんに接していきたいと思います。

-------------------------------------------
椎名 逸雄 氏 

筑波大学医学部卒業。つくばセントラル病院、国立霞ヶ浦医療センター、水戸協同病院、日本赤十字医療センター、茨城西南医療センターなどを経て、総合守谷第一病院に着任。整形外科部長を務める。

閲覧履歴
お問い合わせ(本社)

くすり相談窓口

受付時間:9:00〜17:45
(土日祝、休業日を除く)

当社は、日本製薬工業協会が提唱する
くすり相談窓口の役割・使命 に則り、
くすりの適正使用情報をご提供しています。