ブレディニンOD錠:添付文書
目次

ブレディニンOD錠25
/ブレディニンOD錠50


処方箋医薬品


ブレディニンOD錠25/ブレディニンOD錠50

作成又は改訂年月

2024年 1月改訂 ( 第1版 )

日本標準商品分類番号

873999

薬効分類名

免疫抑制剤

承認等

ブレディニンOD錠25

販売名コード

YJコード

3999002F3023

販売名英語表記

Bredinin OD Tablets

販売名ひらがな

ぶれでぃにんODじょう25

承認番号等

承認番号

22800AMX00540000

販売開始年月

2017年 1月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

ブレディニンOD錠50

販売名コード

YJコード

3999002F4020

販売名英語表記

Bredinin OD Tablets

販売名ひらがな

ぶれでぃにんODじょう50

承認番号等

承認番号

22800AMX00541000

販売開始年月

2017年 1月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

ミゾリビン

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 白血球数3,000/mm3以下の患者[骨髄機能抑制を増悪させ、重篤な感染症、出血傾向等が発現するおそれがある。][9.1.1 参照]
  3. 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]
  4. 2.4 生ワクチンを接種しないこと[10.1 参照]

3. 組成・性状

3.1 組成

ブレディニンOD錠25

有効成分1錠中
日局 ミゾリビン
25mg  
添加剤乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、香料

ブレディニンOD錠50

有効成分1錠中
日局 ミゾリビン
50mg  
添加剤乳糖水和物、結晶セルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)、香料

3.2 製剤の性状

ブレディニンOD錠25

剤形口腔内崩壊錠
色調白色
外形表面
裏面
側面
大きさ直径7.5mm
厚さ2.25mm
質量125mg
識別コード 322

ブレディニンOD錠50

剤形口腔内崩壊錠(片面割線入り)
色調白色
外形表面
裏面
側面
大きさ直径9.0mm
厚さ3.35mm
質量250mg
識別コード323

4. 効能・効果

  • 腎移植における拒否反応の抑制
  • 原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群(副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。また、頻回再発型のネフローゼ症候群を除く。)
  • ループス腎炎(持続性蛋白尿、ネフローゼ症候群または腎機能低下が認められ、副腎皮質ホルモン剤のみでは治療困難な場合に限る。)
  • 関節リウマチ(過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤さらに他の抗リウマチ薬の少なくとも1剤により十分な効果の得られない場合に限る。)

5. 効能・効果に関連する注意

  • 〈原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群〉
    1. 5.1 副腎皮質ホルモン剤のみでは十分な治療効果が認められない患者、又は副作用、合併症等により副腎皮質ホルモン剤の減量が必要な患者に限り使用すること。
      特に副腎皮質ホルモン剤の1日投与量がプレドニゾロン換算で20mg以上である患者には、副腎皮質ホルモン剤の減量を目的とする場合に限る。
  • 〈ループス腎炎〉
    1. 5.2 投与する場合には次の条件をいずれも満足する患者に限ること。
      1. 5.2.1 臨床的に全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され、アメリカリウマチ協会の1982年改訂SLE分類基準1) の4項目以上を満たした患者
      2. 5.2.2 ループス腎炎の存在が以下の項目のうち、少なくとも1項目を持つことで確認された患者(SLE以外の原因による腎障害は除く)
        • 4週以上の持続性蛋白尿
        • ネフローゼ症候群
        • 腎機能低下(クレアチニンクリアランス(Ccr)70mL/分以下又は血清クレアチニン値1.5mg/dL以上)
      3. 5.2.3 副腎皮質ホルモン剤のみでは十分な効果が認められない患者、又は副作用、合併症等により副腎皮質ホルモン剤の減量が必要な患者
  • 〈関節リウマチ〉
    1. 5.3 活動性の関節リウマチに対してのみ投与を考慮すること。
    2. 5.4 過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤で十分な効果が認められず、また金剤(注射用、経口用)、D-ペニシラミン、ブシラミン、ロベンザリット二ナトリウム等の抗リウマチ薬を使用して、十分な効果が認められなかった患者、又は投与中止を必要とする副作用が発現した患者に限り使用すること。

6. 用法・用量

  • 〈腎移植における拒否反応の抑制〉

    通常、体重1kg当り下記量を1日量として、1日1~3回に分けて経口投与する。

    • 初期量としてミゾリビン2~3mg相当量
      維持量としてミゾリビン1~3mg相当量
  • しかし、本剤の耐薬量および有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。
  • 〈原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群、ループス腎炎〉

    通常、成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。
    ただし、腎機能の程度により減量等を考慮すること。
    なお、本剤の使用以前に副腎皮質ホルモン剤が維持投与されている場合には、その維持用量に本剤を上乗せして用いる。症状により副腎皮質ホルモン剤の用量は適宜減量する。

  • 〈関節リウマチ〉

    通常、成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
    ただし、腎機能の程度により減量等を考慮すること。

7. 用法・用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 本剤は主として腎臓から排泄されるため、腎機能障害患者では排泄が遅延し、骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、腎機能(血清クレアチニン値等)及び年齢、体重等を考慮し、低用量から投与を開始するなど用量に留意して、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。[9.2.1 参照][9.8 参照][16.5.1 参照][16.5.2 参照]
  • 〈原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群〉
    1. 7.2 投与開始後6カ月を目標として、尿蛋白、腎機能等を定期的に測定し経過をみながら以降の投与継続の可否を検討する。1日尿蛋白量、クレアチニンクリアランス、血清総蛋白、その他臨床諸症状の経過を総合的に判定し、改善効果を認め投与を継続する場合には、以後も定期的に尿蛋白、腎機能等を測定しながら投与すること。また、病態の急速な進展がみられる場合には、中止又は他の治療法を考慮するなどの適切な処置を行うこと。
      なお、従来より投与している治療薬剤は継続して併用することが望ましい。
  • 〈関節リウマチ〉
    1. 7.3 本剤は遅効性であり、通常、効果発現まで2~4カ月間の継続投与が必要である。ただし、6カ月間継続投与しても効果があらわれない場合には、投与を中止すること。なお、従来より投与している非ステロイド性抗炎症剤は継続して併用することが望ましい。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.1 参照][11.1.4 参照][11.1.5 参照]
  2. 8.2 感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[11.1.2 参照]
  3. 8.3 プリン合成阻害作用に基づく尿酸生成増加のため尿酸値の上昇があらわれることがある。ブレディニン錠(以下、普通錠)を用いたネフローゼ症候群に対する臨床試験において、尿酸値の上昇が231例中21例(9.1%)に認められ、10mg/dL以上11例、最高値13.1mg/dLであった。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 骨髄機能抑制のある患者

    骨髄機能抑制を増悪させ、重篤な感染症、出血傾向等が発現するおそれがある。[2.2 参照][11.1.1 参照]

  2. 9.1.2 感染症を合併している患者

    ウイルス性肝炎においては、肝炎を増悪させることがある。
    骨髄機能抑制により、感染症を増悪させるおそれがある。[11.1.2 参照]

  3. 9.1.3 肝炎ウイルスキャリアの患者

    肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。[11.1.2 参照]

  4. 9.1.4 出血性素因のある患者

    骨髄機能抑制により、出血傾向が発現するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 本剤は主として腎臓から排泄されるため、腎機能障害患者では排泄が遅延し、骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがある。[7.1 参照][16.5.1 参照][16.5.2 参照]
  2. 9.2.2 尿酸値の上昇を伴って急性腎障害があらわれることがある。[11.1.4 参照]

9.4 生殖能を有する者

性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。催奇形性を疑う症例報告があり2) 、また、動物実験(ラット3) 、ウサギ4) )で催奇形作用が報告されている。[2.3 参照]

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。
分娩後のラットにおいて乳汁移行が認められた5)

9.7 小児等

  1. 9.7.1 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
  2. 9.7.2 性腺に対する影響を考慮すること。
  3. 9.7.3 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

腎機能(血清クレアチニン値等)及び年齢、体重を考慮し適宜減量すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、排泄が遅延するおそれがある。[7.1 参照][16.5.1 参照][16.5.2 参照]

10. 相互作用

    10.1 併用禁忌(併用しないこと)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    生ワクチン

    • 乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等[2.4 参照]

    ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。

    免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、感染の可能性が増加する。

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    不活化ワクチン

    • インフルエンザワクチン等

    ワクチンの効果が得られないおそれがある。

    免疫抑制作用により、ワクチンに対する免疫が得られないおそれがある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 骨髄機能抑制(2.19%)

      汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、赤血球減少、ヘマトクリット値の低下等があらわれることがある。重篤な血液障害が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.1 参照][9.1.1 参照]

    2. 11.1.2 感染症 (1.32%)

      肺炎、髄膜炎、敗血症、帯状疱疹等があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。[8.2 参照][9.1.2 参照][9.1.3 参照]

    3. 11.1.3 間質性肺炎 (頻度不明)

      発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。

    4. 11.1.4 急性腎障害 (0.04%)

      異常が認められた場合には投与を中止し、血液透析等の適切な処置を行うこと。[8.1 参照][9.2.2 参照]

    5. 11.1.5 肝機能障害、黄疸 (1.74%)

      AST、ALT、ALPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。[8.1 参照]

    6. 11.1.6 消化管潰瘍、消化管出血、消化管穿孔 (0.39%)
    7. 11.1.7 重篤な皮膚障害 (頻度不明)

      皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)等の重篤な皮膚障害があらわれることがあるので、発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    8. 11.1.8 膵炎 (頻度不明)
    9. 11.1.9 高血糖、糖尿病 (0.11%)

    11.2 その他の副作用

    0.1~5%未満

    0.1%未満

    頻度不明

    腎臓

    腎機能異常(蛋白尿、血尿、BUN、クレアチニンの上昇等)

    肝臓

    肝機能異常(AST、ALT、ALP、LDH、γ-GTP、LAP、ビリルビンの上昇等)

    消化器

    食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、腹痛、便秘、口内炎、舌炎

    腹部膨満感、軟便、舌苔

    過敏症

    発疹、そう痒感、発熱

    代謝異常

    尿酸値の上昇、ALP上昇

    痛風

    皮膚

    脱毛

    精神神経系

    めまい、頭痛、味覚異常、しびれ

     眠気、耳鳴、四肢異常知覚

    その他

    全身倦怠感、浮腫、口渇

    ガンマグロブリン低下、動悸、悪寒、ほてり、月経異常、胸痛

    眼球充血

    注)発現頻度は使用成績調査を含む

    12. 臨床検査結果に及ぼす影響

    尿中ビリルビン試験で偽陽性を示すことがある。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    自動分包機には適さない。

    14.2 薬剤交付時の注意

    1. 14.2.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
    2. 14.2.2 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。
    3. 14.2.3 本剤は寝たままの状態では、水なしで服用させないこと。

    15. その他の注意

    15.1 臨床使用に基づく情報

    免疫抑制剤による治療を受けた患者では、悪性腫瘍(特に悪性リンパ腫、皮膚癌等)の発生率が高いとする報告がある6) ,7) ,8) ,9)

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与・反復投与
      • 〈腎移植における拒否反応の抑制〉

        腎機能を良好に維持している腎移植患者に普通錠(25mg錠)を4錠(100mg)経口投与したとき、下記のデータが得られている10)

         Tmax

         Cmax

        T1/2

        2時間

        2.38μg/mL

         2.2時間

      • 〈関節リウマチ〉

        関節リウマチ患者に普通錠(50mg錠)を1錠(50mg)又は2錠(100mg)注1)経口投与した結果、血中濃度に用量依存性が認められた。また、1日3錠(150mg)又は6錠(300mg)注1)4週間連続投与での蓄積性は認められなかった11)

    2. 16.1.2 生物学的同等性試験

      本剤(50mgOD錠)1錠と標準製剤(普通錠50mg錠)1錠を、クロスオーバー法により、健康成人男性(水なしで服用30名、水と共に服用30名)に絶食下で単回経口投与して血漿中ミゾリビン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUClastおよびCmax)について、90%信頼区間法により統計解析を行った結果、各パラメータの90%信頼区間は、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された12)

      本剤(50mgOD錠)を水なしで単回経口投与した結果

      投与製剤

      Tmax
      (時間)

      Cmax
      (μg/mL)

      T1/2
      (時間)

      AUClast
      (μg・hr/mL)

      AUCinf
      (μg・hr/mL)

      OD錠
      (水なしで服用)

      2.4±0.8

      0.849±0.131

      2.46±0.18

      4.750±0.676

      5.023±0.727

      普通錠
      (水と共に服用)

      2.2±0.4

      0.840±0.131

      2.46±0.17

      4.792±0.730

      5.051±0.787

      (平均値±標準偏差、n=30)

      本剤(50mgOD錠)を水と共に単回経口投与した結果

      投与製剤

      Tmax
      (時間)

      Cmax
      (μg/mL)

      T1/2
      (時間)

      AUClast
      (μg・hr/mL)

      AUCinf
      (μg・hr/mL)

      OD錠
      (水と共に服用)

      2.1±0.5

      0.712±0.128

      2.45±0.21

      3.969±0.708

      4.180±0.776

      普通錠
      (水と共に服用)

      2.2±0.3

      0.755±0.122

      2.40±0.22

      4.138±0.700

      4.344±0.769

      (平均値±標準偏差、n=30)

      また、本剤(25mgOD錠)は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン」(平成24年2月29日付、薬食審査発0229第10号)に基づき、本剤(50mgOD錠)を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた12)

    16.3 分布

    ラットに単回経口投与した結果、腎及び胃に最も高い組織内濃度を認めた。また、肝、膀胱、小腸、脾及び胸腺にも血中より高い組織内濃度を認めたが、脳への移行はほとんど認められなかった13) 。21日間連続投与において組織蓄積傾向は認められなかった14) 。妊娠ラットに経口投与した結果、子宮、卵巣、胎盤及び少量ながら胎児への移行が認められた13)

    16.4 代謝

    ラットに経口投与し、血漿及び尿を同位体逆希釈分析法により測定した結果、代謝物は認められなかった13)

    16.5 排泄

    • 〈腎移植における拒否反応の抑制〉
      1. 16.5.1 腎機能を良好に維持している腎移植患者に普通錠(25mg錠)を4錠(100mg)経口投与した結果、6時間までの尿中排泄率は約80%であった。また、腎機能障害患者では、排泄が遅延した(投与量の減量等を考慮する必要がある)。また、無尿状態の慢性腎不全患者2例に普通錠(25mg錠)を8錠(200mg)注2)経口投与し、投与2時間後より5時間の血液透析を行った結果、血中濃度は下降した10) 。 [7.1 参照][9.2.1 参照][9.8 参照]
      2. 16.5.2 腎移植患者(19名)及び腎不全患者(3名)におけるミゾリビンの血中からの消失速度定数とクレアチニンクリアランス(Ccr)は高度に相関した15) 。 [7.1 参照][9.2.1 参照][9.8 参照]


        なお、クレアチニンクリアランスを血清クレアチニン値、年齢及び体重より換算する計算式の一例16) を示す。
        クレアチニンクリアランス=体重×(l-m×年齢)÷血清クレアチニン値
        l=1.80(女),2.305(男);m=0.0070(女),0.0104(男)

    • 〈関節リウマチ〉
      1. 16.5.3 関節リウマチ患者に普通錠(50mg錠)を1錠(50mg)又は2錠(100mg)注1)経口投与した結果、24時間までの尿中排泄率は約30~80%であった11)

      注1)本剤の関節リウマチに対する承認用量は、「成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。」である。

    • 注2)本剤の腎移植における拒否反応の抑制に対する承認用量は、「1日量として、初期量としてミゾリビン2~3mg/kg相当量、維持量として1~3mg/kg相当量を1~3回に分けて経口投与する。」である。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    • 〈腎移植における拒否反応の抑制〉
      1. 17.1.1 国内臨床試験

        一般臨床試験における臨床成績の概要は、次のとおりである17)

        1. (1) 一年生存率及び一年生着率

          移植当初より普通錠を用いて免疫抑制療法が行われた症例

          一年生存率

          91.9%(68/74)

          一年生着率

          79.7%(59/74)

        2. (2) 白血球減少又は肝障害の認められた症例の免疫抑制剤を減量又は中止し普通錠を投与した結果、継続して免疫抑制療法が実施でき、白血球減少の症例のうち75.7%(28/37)、肝障害の症例のうち54.5%(48/88)が良好に回復した。
    • 〈原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群〉
      1. 17.1.2 国内臨床試験
        1. (1) プラセボを対照として普通錠150mg/日を24週投与した二重盲検比較試験18)

          ブレディニン群

          プラセボ群

          全般改善度
          改善以上

          33.8%(27/80)

          14.1%(11/78)

        2. (2) 普通錠150mg/日及び75mg/日を24週投与した二重盲検比較試験19)

          150mg/日投与群

          75mg/日投与群

          全般改善度
          改善以上

          45.5%(10/22)

          24.0%(6/25)

        3. (3) 原発性糸球体疾患を原因とするネフローゼ症候群患者のうち、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患者において検討され腎機能の悪化防止、尿蛋白量の改善効果等が認められた18) ,19) ,20)
    • 〈ループス腎炎〉
      1. 17.1.3 国内臨床試験
        1. (1) プラセボを対照として普通錠150mg/日を24週投与した単盲検比較試験21)

          ブレディニン群

          プラセボ群

          全般改善度
          改善以上

          26.1%(6/23)

          4.3%(1/23)

        2. (2) 単盲検比較試験21) 及び一般臨床試験20) ,22) ,23) ,24) ,25)

          普通錠を150mg/日投与した症例

          全般改善度 改善以上

          25.4%(15/59)

        3. (3) ループス腎炎患者のうち、びまん性増殖性糸球体腎炎(DPGN)、1日尿蛋白3.5g以上、血清クレアチニン値1.2mg/dL以上及び低補体を示す患者において比較的高い改善率が得られている20) ,21) ,22) ,23) ,24) ,25)
    • 〈関節リウマチ〉
      1. 17.1.4 国内第III相試験

        第III相試験として二種の二重盲検比較試験が実施され、普通錠の有用性が認められた26) ,27)  。

        1. (1) プラセボを対照として普通錠300mg/日注)を16週投与した二重盲検比較試験26)

          ブレディニン群

          プラセボ群

          全般改善度
          改善以上

          27.0%(24/89)

           12.4%(11/89)

        2. (2) 関節リウマチ患者のうち、既治療薬として金製剤、D-ペニシラミン等の抗リウマチ薬が使用され、その有用性が認められず中止されていた患者においても改善効果が認められた26)
    • 注)本剤の関節リウマチに対する承認用量は、「成人1回ミゾリビンとして50mgを1日3回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。」である。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    プリン合成系のイノシン酸からグアニル酸に至る経路を拮抗阻害することにより核酸合成を抑制する28) が、高分子核酸中には取り込まれない29) (in vitro)

    18.2 免疫抑制作用

    1. 18.2.1 各種の哺乳動物由来培養細胞を用いたin vitroの実験において、リンパ系細胞の増殖を抑制する30)
    2. 18.2.2 イヌ31) 及びヒト32) 末梢血のリンパ球を用いたin vitroの実験において、各種マイトージェンによる幼若化反応を抑制する。
    3. 18.2.3 ウサギをヒツジ赤血球で免疫した実験において、一次応答及び二次応答による抗体産生を抑制する31)
    4. 18.2.4 イヌ腎移植33) ,34) において、移植片の生着延長が認められる。
    5. 18.2.5 腎炎の病態モデルであるウサギ馬杉腎炎において生存日数の延長、尿蛋白出現日の遅延が認められ35) 、ラット馬杉腎炎においては尿蛋白量増加の抑制が36) 、また、マウスBSA腎炎において尿蛋白量増加の抑制、血清抗BSA抗体価の上昇抑制37) 、更にこれらの試験では腎組織障害の軽減が認められる。
    6. 18.2.6 ループス腎炎(SLE)の病態モデルであるNew Zealand Black/White F1マウスにおいて、延命効果38) ,39) 、抗DNA抗体価の上昇抑制39) 、腎組織障害の進行遅延39) 等が認められる。
    7. 18.2.7 関節リウマチの病態モデルであるアジュバント関節炎ラットにおいて後肢の腫脹増加及び骨破壊の抑制が認められ40) ,41) 、また、コラーゲン関節炎ラットにおいても関節炎発症率及び腫脹増加の抑制、更に抗コラーゲン抗体価の減少が認められる40)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    ミゾリビン(Mizoribine)(JAN)

    化学名

    5-Hydroxy-1-β-D-ribofuranosyl-1H-imidazole-4-carboxamide

    分子式

    C9H13N3O6

    分子量

    259.22

    性状

    白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。
    水に溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にほとんど溶けない。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    アルミピロー包装開封後は湿気を避けて保存し、PTP包装から取り出した錠剤はなるべく速やかに使用すること。本剤は吸湿性が強いので、湿気により硬度低下や変色することがある。変色したものは使用しないこと。

    22. 包装

    • 〈ブレディニンOD錠25〉

      100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]

    • 〈ブレディニンOD錠50〉

      100錠[10錠(PTP)×10、乾燥剤入り]

    23. 主要文献

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    2) 高橋公太他:周産期医学 1987; 17(9): 1389-1394

    3) 久保田宏史他:応用薬理 1983; 26(3):377-387

    4) 佐々木真敬他:応用薬理 1983; 26(3):409-414

    5) 社内資料:薬物動態<乳汁移行性>

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    8) Penn I.:Cancer. 1974; 34(4);1474-1480

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    10) 草場亮輔他:移植 1982; 17(Suppl.): 585-593

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    41) 石川浩明他:炎症. 1991; 11(5): 507-511

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

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