テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」:添付文書
目次

テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」


処方箋医薬品


テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」

作成又は改訂年月

2021年 1月改訂 ( 第1版 )

日本標準商品分類番号

877223

薬効分類名

副甲状腺機能診断薬

承認等

テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」

販売名コード

YJコード

7223403D1045

販売名英語表記

Teriparatide Acetate Injection

販売名ひらがな

てりぱらちどさくさんえんじょうちゅうよう100「あさひかせい」

承認番号等

承認番号

22000AMX00470000

販売開始年月

1987年 6月

貯法・有効期間

貯法

8℃以下

有効期間

18ヵ月

一般的名称

テリパラチド酢酸塩

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 高カルシウム血症の患者[高カルシウム血症を悪化させるおそれがある。]
  2. 2.2 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
  3. 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5 参照]

3. 組成・性状

3.1 組成

テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」

有効成分1バイアル中
テリパラチド酢酸塩
100テリパラチド酢酸塩単位  
添加剤1バイアル中
D-マンニトール5mg

3.2 製剤の性状

テリパラチド酢酸塩静注用100「旭化成」

剤形注射剤
pH6.0~7.5注)
浸透圧比約1注)
(生理食塩液に対する比)
性状白色の固体又は粉末

注)本剤1バイアルに日局生理食塩液3mLを加えて溶解した場合

4. 効能・効果

Ellsworth-Howard試験

6. 用法・用量

1回100テリパラチド酢酸塩単位を用時、日局生理食塩液3mLに溶解し、静脈内に注射する。
なお、体表面積が1m2未満の小児の場合には、100テリパラチド酢酸塩単位/m2投与する。

用法・用量に関する説明

Ellsworth-Howard試験実施方法 
Ⅰ.方法
厚生省特定疾患ホルモン受容機構異常調査研究班の方法に準じる1) 。 
成人は[A]の標準法に従うのを原則とする。小児も可能ならば午後1時にPTHを投与する方法が望ましい。その際のPTH投与量や飲水は[B]の方法に準拠する。

[A]標準法−午後1時PTH投与
(前処置)

  • アルミゲルその他のリン吸収阻害剤やカルシウム剤の投与は行わない。それらの薬剤を投与中の症例は、投与中止(約1週間)後検査を施行する。
  • 検査前日は、乳製品摂取制限が望ましい。
  • 検査当日は、朝食として乳製品を含まない軽食可。

[B]乳幼児変法−午前10時PTH投与
(前処置)

  • 検査前日は乳製品の摂取制限が望ましい。
  • 検査当日は検査終了時まで食事禁止。
  • カルシウム剤、その他のリン吸収阻害剤の投与は行わない。

(測定項目)

  • 尿:尿量、リン、クレアチニン、cyclic AMP
  • 血清:カルシウム、リン、クレアチニン、総タンパク又はアルブミン

(反応性の判定)

  • リン酸排泄量 (U4+U5)−(U2+U3
  • cyclic AMP排泄量 U4−U3とU4/U3

Ⅱ.判定基準

反応性

尿中リン酸排泄量
(U4+U5)−(U2+U3

尿中cyclic AMP排泄量
U4−U3,U4/U3

病型

特発性副甲状腺
機能低下症

35mg/2時間以上

1μmol/時間以上,
10倍以上

偽性副甲状腺
機能低下症

Ⅰ型

35mg/2時間未満

1μmol/時間未満,
10倍未満

Ⅱ型

35mg/2時間未満

1μmol/時間以上,
10倍以上

※体表面積1m2未満の小児では、体表面積換算(mg/m2/2時間、μmol/m2/時間)で表わした値を用いて判定する。

Ⅲ.判定基準(リン酸反応)の適用条件

  • (1) 検査時、低カルシウム高リン血症の状態にある。
    • 血清カルシウム(補正)値:8.4mg/dL未満
      血清無機リン値:3.5mg/dL以上(成人)、4.5mg/dL以上(小児)
  • (2) 著しい腎機能低下がない。
    • 血清尿素窒素:30mg/dL以下又はクレアチニン:2mg/dL以下
  • (3) リン酸欠乏状態にない。
    • PTH投与前の尿中リン酸排泄量:10mg/2時間以上
  • (4) 尿中リン酸排泄の日内変動が大きくない。
    • PTH投与前2回の尿のリン酸排泄の差:17.5mg/時間未満
  • (5) 採尿ミスなどがない。
    • PTH投与前後各2時間の尿中クレアチニン排泄量の比:0.8〜1.2

8. 重要な基本的注意

本剤はポリペプチド製剤でありショック症状を起こす可能性があるので、アレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行い、投与後は患者の状態を十分観察すること。[11.1.1 参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 心疾患のある患者

    心疾患を悪化させるおそれがある。

  2. 9.1.2 気管支喘息、発疹(紅斑、膨疹等)等の過敏症状を起こしやすい体質の患者

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 腎疾患のある患者

    腎疾患を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ウサギを用いた静脈内投与による器官形成期投与試験において、胎児毒性(胎児死亡)が認められている。[2.3 参照]

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック(頻度不明)

    [8. 参照]

11.2 その他の副作用

0.1~5%未満

0.1%未満

頻度不明

過敏症

発疹

蕁麻疹

循環器

顔面潮紅、熱感、動悸、頻脈、不整脈、胸痛、血圧降下、血圧上昇

顔色不良

消化器

悪心、嘔吐、下痢

口渇

神経系

しびれ感、腰痛、頭痛、めまい

筋痙攣、意識喪失

テタニー、硬直

肝臓

AST・ALTの上昇

その他

脱力感、不快感

そう痒、全身倦怠感、あくび

悪寒、咽頭痛

注)発現頻度は使用成績調査を含む

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

溶解後は速やかに使用すること。

14.2 薬剤投与時の注意

3分以上かけてゆっくり注射すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報

ラットに2年間皮下投与したがん原性試験において、骨肉腫がみられたとの報告がある。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

本剤20μg(67単位)を特発性及び術後性副甲状腺機能低下症の患者17例に静脈内投与した場合、投与後5分で2.63ng/mLの平均血中濃度を示し、血中半減期は3分と28分の二相性を示した2)

16.3 分布

  1. 16.3.1 組織内分布

    125I-テリパラチド酢酸塩をラットに静脈内投与した直後の放射能は、腎臓、肺、肝臓の順に高濃度に分布した3)

16.4 代謝

ヒト血清、ラット腎臓及びラット肝臓抽出液中で経時的に生物活性を失い、ヒト血清中で、37℃,9時間反応させた際には80%の活性を消失した。また、ラット腎臓抽出液中では主にカルボキシペプチダーゼA、トリプシン及びアミノペプチダーゼで加水分解された4) in vitro)。

16.5 排泄

125I-テリパラチド酢酸塩をラットに静脈内投与した場合、投与後48時間までに尿中に81%、糞中に4.5%の放射能が排泄された5)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内臨床試験

    厚生省特定疾患ホルモン受容機構異常調査研究班及び日本内分泌学会診断用ヒトPTH(1-34)検討委員会で実施されたEllsworth-Howard試験のうち副甲状腺機能低下症178例(成人131例、13才未満の小児47例)の試験成績をもとに判定基準が設定された。その結果、特発性副甲状腺機能低下症と偽性副甲状腺機能低下症の鑑別診断に有用であることが認められた1) ,6) ,7) ,8)

18. 薬効薬理

18.1 測定法

腎細胞膜レセプターと結合して、アデニルサイクラーゼを活性化することにより、cyclic AMPの産生を介し、ホルモン作用を発現すると考えられている。

18.2 血清カルシウム及び血清リンに対する作用

テリパラチド酢酸塩は甲状腺・副甲状腺摘除ラットの血清カルシウム値を上昇させ、血清リン値を低下させた9)

18.3 腎に対する作用

術後性副甲状腺機能低下症病態モデルラットに、テリパラチド酢酸塩を投与すると尿中リン酸及び尿中cyclic AMP排泄量は著しく増加した10)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

テリパラチド酢酸塩(Teriparatide Acetate)(JAN)

分子式

C181H291N55O51S2・5CH3COOH

分子量

4417.97

性状

白色の粉末で、においはないか又は、わずかに酢酸臭があり、味はない。
水又は酢酸(100)に極めて溶けやすい。
水溶液(1→1000)のpHは4.0〜6.0である。
吸湿性である。

化学構造式

H-Ser-Val-Ser-Glu-Ile-Gln-Leu-Met-His-Asn-Leu-Gly-Lys-His-Leu-
Asn-Ser-Met-Glu-Arg-Val-Glu-Trp-Leu-Arg-Lys-Lys-Leu-Gln-Asp-
Val-His-Asn-Phe-OH・5CH3COOH

融点

210℃(分解)

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

22. 包装

1バイアル

24. 文献請求先及び問い合わせ先

旭化成ファーマ株式会社 医薬情報部くすり相談窓口

〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

フリーダイヤル0120-114-936
(9:00~17:45/土日祝、休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

旭化成ファーマ株式会社

東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

目次