ドプテレット錠20mg:添付文書

日本標準商品分類番号

873399

薬効分類名

トロンボポエチン受容体作動薬

承認等

ドプテレット錠20mg

販売名コード

YJコード

3399012F1021

販売名英語表記

Doptelet tablets

承認番号等

承認番号

30500AMX00110000

販売開始年月

2023年6月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

5年

一般的名称

アバトロンボパグマレイン酸塩錠

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

ドプテレット錠20mg

有効成分1錠中アバトロンボパグマレイン酸塩23.6mg(アバトロンボパグとして20mg)を含有  
添加剤乳糖水和物、軽質無水ケイ酸、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、タルク、マクロゴール4000、酸化チタン、黄色三二酸化鉄

3.2 製剤の性状

ドプテレット錠20mg

剤型淡黄色のフィルムコーティング錠
形状表面
裏面
側面
直径約7.6mm
厚さ約3.8mm
質量約172mg
識別コードAVA 20

4. 効能又は効果

待機的な観血的手技を予定している慢性肝疾患患者における血小板減少症の改善

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 血小板数などの臨床検査値や臨床症状、観血的手技の種類から、出血のリスクが高いと考えられる場合に使用すること。
  2. 5.2 開腹、開胸、開心、開頭又は臓器切除を伴う観血的手技の場合は、本剤の投与を避けること。有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人には、アバトロンボパグとして以下の用量を1日1回、5日間食後に経口投与する。
投与開始前の血小板数が40,000/μL以上50,000/μL未満:40mg
投与開始前の血小板数が40,000/μL未満:60mg

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤の投与は観血的手技の施行予定日の10~13日前を目安に開始すること。
  2. 7.2 本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない。特に、血小板数が50,000/μL未満に低下していない患者では他の治療法を選択すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 観血的手技の施行前には血小板数が十分に増加していることを確認すること。本剤を投与しても、観血的手技の実施に際し十分な血小板数の増加が得られない場合があるため、必要に応じて血小板輸血の準備をするなど、適切な措置を講じること。
  2. 8.2 血小板数が正常範囲以下であっても血栓症が報告されているため、観察を十分に行い、血小板数にかかわらず血栓症の発現に注意すること。[11.1.1 参照]
  3. 8.3 観血的手技後に血栓症を発現した症例が報告されているため、本剤投与開始後は観察を十分に行うこと。[11.1.1 参照]
  4. 8.4 本剤の投与終了又は中止後に血小板数が本剤投与開始前の値に復帰するため、易出血性となる可能性を考慮して観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。[17.1.1 参照],[17.1.2 参照]

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 血栓症、血栓塞栓症を有する患者又はそれらの既往歴を有する患者

    血栓症又は血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがある。臨床試験では除外されている。

  2. *  9.1.2 *血栓症の発現因子を有する患者

    先天性血栓症の発現因子(凝固第V因子ライデン変異・プロトロンビンG20210A変異、抗トロンビン欠損症、プロテインC又はS欠損症など)又は後天性血栓症の発現因子(抗リン脂質抗体症候群など)を有する患者は、血栓症又は血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがある。

  3. 9.1.3 門脈血流速度が低下している患者

    血栓症又は血栓塞栓症の発現リスクが高くなるおそれがある。門脈血流速度が10cm/秒未満の患者は臨床試験では除外されている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

    投与可否を慎重に判断し、投与する場合は観察を十分に行うこと。

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラットで胎盤移行性が確認されている。また、器官形成期のウサギ及びラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量を超える曝露で胎児毒性が認められた(無毒性量でのウサギ及びラットのAUCに基づく曝露量は、ヒトの曝露量の35~53倍)1)。器官形成期及び授乳期のラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量を超える曝露で出生児の生存率低下及び発育遅延が認められた(出生児における無毒性量での母動物及び出生児のAUCに基づく曝露量は、ヒトの曝露量のそれぞれ14及び1倍)1)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットで乳汁移行性が認められている2)

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 血栓症、血栓塞栓症

    門脈血栓症(0.5%)があらわれることがある。[8.2 参照],[8.3 参照]

11.2 その他の副作用

1-5%

1%未満

頻度不明

一般・全身障害および投与部位の状態

疲労

発熱

末梢性浮腫

胃腸障害

悪心

腹痛

神経系障害

頭痛

代謝および栄養障害

低ナトリウム血症

血液およびリンパ系障害

貧血

筋骨格系および結合組織障害

筋肉痛

免疫系障害

過敏症(そう痒、発疹、息詰まり、紅斑、咽頭浮腫、全身性そう痒症、斑状皮疹、顔面腫脹、舌腫脹など)

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    血小板数が過剰に増加し、血栓性又は血栓塞栓性の合併症を起こすおそれがある。

  2. 13.2 処置

    患者の状態及び血小板数を十分にモニターすること。アバトロンボパグの尿中排泄率は約6%であり3)、血漿蛋白結合率が高く4)、透析による除去は期待できない。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  1. 14.1.1 ブリスターシートから取り出して服用するよう指導すること。シートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
  2. 14.1.2 服用直前にブリスターシートから取り出すよう指導すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 海外臨床試験において、慢性特発性血小板減少性紫斑病(承認外効能・効果)に対し長期使用した際に、骨髄線維症が報告された。
  2. 15.1.2 トロンボポエチン受容体作動薬は、既存の骨髄異形成症候群等の血液悪性腫瘍を進行させる可能性がある。

15.2 非臨床試験に基づく情報

本剤はヒト及びチンパンジー以外のトロンボポエチン受容体に対し親和性を持たず、ヒト及びチンパンジー以外の動物に対して薬理活性を示さない。このため毒性試験において、薬理活性に起因する影響は評価されていない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    健康成人に本剤20注)、40又は60mgを食後に単回経口投与したときのアバトロンボパグの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった5)

    図1 食後単回経口投与時の血漿中アバトロンボパグ濃度推移(健康成人)(算術平均+標準偏差)
    表1 食後単回経口投与時の薬物動態パラメータ(健康成人)

    投与量
    (mg)

    例数

    Cmax*1
    (ng/mL)

    Tmax*2
    (hr)

    AUC0-inf*1
    (ng・hr/mL)

    t1/2*1
    (hr)

    20

    18

    109
    (26.9)

    7.00
    (3.12, 12.0)

    3220
    (831)

    16.4
    (2.09)

    40

    23

    208
    (54.1)

    6.02
    (3.00, 12.0)

    5870
    (1790)

    16.1
    (1.96)

    60

    23

    332
    (93.3)

    7.00
    (3.00, 24.0)

    9400
    (2240)

    16.0
    (1.54)

    *1:算術平均(標準偏差)
    *2:中央値(最小値、最大値)

  2. 16.1.2 反復投与

    健康成人に本剤10mg注)を空腹時に1日1回7日間反復経口投与したときのアバトロンボパグの薬物動態パラメータは以下のとおりであった6)

    表2 空腹時反復経口投与時の薬物動態パラメータ(健康成人)

    投与量
    (mg)

    例数

    投与日

    Cmax*1
    (ng/mL)

    Tmax*2
    (hr)

    AUC0-τ*1
    (ng・hr/mL)

    t1/2*1
    (hr)

    10

    9

    1

    75.2
    (43.9)

    6.00
    (4.00, 8.00)

    1000
    (623)

    7

    112.8
    (57.0)

    5.00
    (3.00, 8.00)

    1584
    (825)

    15.3
    (2.86)

    *1:算術平均(標準偏差)
    *2:中央値(最小値、最大値)

    血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者の成績を用いた母集団薬物動態解析により推定した、本剤40又は60mgを食後に1日1回5日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)

    表3 母集団薬物動態解析により推定した血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者の薬物動態パラメータ

    投与量
    (mg)

    例数

    Cmax*1
    (ng/mL)

    AUC*1*2
    (ng・hr/mL)

    CL/F*1
    (L/hr)

    40

    115

    214.3
    (42.6)

    3717
    (62.4)

    7.24
    (15.6)

    60

    160

    352.2
    (47.3)

    4820
    (85.1)

    7.46
    (19.6)

    *1:幾何平均値(幾何変動係数%)
    *2:定常状態での1日あたりのAUC

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

    健康成人に本剤40又は60mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食後投与のCmax及びAUC0-infの幾何平均値の比は、40mgでそれぞれ0.841及び0.922、60mgでそれぞれ0.958及び1.09であった5)

    表4 空腹時又は食後単回経口投与時の薬物動態パラメータ(健康成人)

    投与量
    (mg)

    空腹時/
    食後

    例数

    Cmax*1
    (ng/mL)

    Tmax*2
    (hr)

    AUC0-inf*1
    (ng・hr/mL)

    40

    空腹時

    18

    239
    (46.1)

    5.00
    (3.00, 12.0)

    6130
    (47.9)

    食後

    23

    201
    (26.0)

    6.02
    (3.00, 12.0)

    5650
    (30.5)

    60

    空腹時

    18

    334
    (53.0)

    5.00
    (4.00, 7.00)

    8420
    (51.7)

    食後

    23

    320
    (28.1)

    7.00
    (3.00, 24.0)

    9160
    (23.8)

    *1:幾何平均値(幾何変動係数%)
    *2:中央値(最小値、最大値)

16.3 分布

アバトロンボパグのヒト血漿蛋白結合率は96%以上であった4)in vitro)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1 代謝物

    健康成人6例に[14C]-アバトロンボパグ20mg注)を単回経口投与したとき、血漿中に代謝物は検出されなかった。約88%が糞中に排泄され、そのうち33.5%が未変化体、43.8%が4-ヒドロキシ体であった3)(外国人データ)。

  2. 16.4.2 代謝酵素

    アバトロンボパグは主にCYP2C9及びCYP3A4により代謝された8)in vitro)。

16.5 排泄

健康成人6例に[14C]-アバトロンボパグ20mg注)を単回経口投与したとき、投与された総放射能の約88%が糞中に、約6%が尿中に排泄された3)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者の成績を用いた母集団薬物動態解析により推定した、腎機能正常患者(CLcr 90mL/min以上)、軽度の腎機能障害患者(CLcr 60mL/min以上90mL/min未満)及び中等度の腎機能障害(CLcr 30mL/min以上60mL/min未満)に本剤40又は60mgを食後に1日1回5日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)

    表5 母集団薬物動態解析により推定した血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者の腎機能障害の程度別の薬物動態パラメータ

    投与量
    (mg)

    CLcr
    (mL/min)

    例数

    Cmax*1
    (ng/mL)

    AUC*1*2
    (ng・hr/mL)

    40

    90以上

    71

    172(56.8)

    3670(55.4)

    60以上90未満

    26

    156(69.6)

    3260(76.2)

    30以上60未満

    14

    199(64.3)

    4290(62.3)

    60

    90以上

    104

    219(63.8)

    4670(64.8)

    60以上90未満

    37

    289(77.6)

    6060(83.3)

    30以上60未満

    15

    186(112)

    3750(122)

    *1:幾何平均値(幾何変動係数%)
    *2:定常状態での1日あたりのAUC

  2. 16.6.2 肝機能障害患者

    血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者の成績を用いた母集団薬物動態解析により推定した、軽度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)、中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)及び重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)に本剤40又は60mgを食後に1日1回5日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)

    表6 母集団薬物動態解析により推定した血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者の肝機能障害の程度別の薬物動態パラメータ

    投与量
    (mg)

    Child-Pugh分類

    例数

    Cmax*1
    (ng/mL)

    AUC*1*2
    (ng・hr/mL)

    40

    A

    63

    182(61.7)

    3870(59.1)

    B

    45

    155(61.0)

    3290(66.5)

    C

    7

    223(30.1)

    5070(29.2)

    60

    A

    92

    243(79.4)

    5070(81.2)

    B

    58

    216(63.2)

    4620(68.2)

    C

    7

    211(49.7)

    4640(60.3)

    *1:幾何平均値(幾何変動係数%)
    *2:定常状態での1日あたりのAUC

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 In vitro試験

    アバトロンボパグはBCRPに対する阻害作用を示し、IC50値は16.4μmol/Lであった9)

  2. 16.7.2 その他の薬剤
    1. (1) イトラコナゾール
      健康成人16例を対象にイトラコナゾール(CYP3A阻害剤)200mgを16日間反復経口投与(投与1日目のみ1日2回投与し、以降は1日1回投与)し、イトラコナゾールの投与7日目に本剤20mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時と比較して、本剤のCmaxは7%、AUC0-infは37%増加した10)(外国人データ)。
    2. (2) フルコナゾール
      健康成人16例を対象にフルコナゾール(CYP2C9及びCYP3A阻害剤)400mgを1日1回16日間反復経口投与し、フルコナゾールの投与7日目に本剤20mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時と比較して、本剤のCmaxは17%、AUC0-infは116%増加した10)(外国人データ)。
    3. (3) リファンピシン
      健康成人16例を対象にリファンピシン(CYP2C9及びCYP3A誘導剤)600mgを食事1時間前に1日1回16日間反復経口投与し、リファンピシンの投与7日目に本剤20mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時と比較して、本剤のCmaxは4%増加、AUC0-infは43%減少した10)(外国人データ)。
    4. (4) シクロスポリン
      健康成人36例を対象にシクロスポリン(P-糖蛋白質阻害剤)400mg及び本剤20mg注)を併用して単回経口投与したとき、本剤単独投与時と比較して、本剤のCmaxは34%、AUC0-infは17%減少した11)(外国人データ)。
    5. (5) ベラパミル
      健康成人36例を対象にベラパミル(P-糖蛋白質及びCYP3A阻害剤)240mgを1日1回11日間反復経口投与し、ベラパミルの投与7日目に本剤20mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時と比較して、本剤のCmaxは26%、AUC0-infは61%増加した11)(外国人データ)。
      注)本剤の承認された用法及び用量は、40又は60mgの1日1回5日間投与である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国際共同第Ⅲ相試験(E5501-G000-311)

    待機的な観血的手技を予定する血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者204例(日本人50例を含む)を対象に、多施設共同・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照・並行群間比較試験を実施した。本剤[投与前の血小板数が低い(40,000/μL未満)場合は60mg、高い(40,000/μL以上50,000/μL未満)場合は40mg]又はプラセボを1日1回、5日間、食後に経口投与した。血小板数は投与前までの2時点の平均値を用い、いずれの時点も60,000/μL未満であることとされた。また、model for end-stage liver disease(MELD)スコアが24超の患者は除外された。被験者は、治験薬最終投与5~8日後(治験薬投与開始10~13日目)に予定する手技を受けることとされた。
    投与開始前の血小板数の平均値(最小値-最大値)は、投与前の血小板数が低いコホートでは32,600(12,000-39,700)/μL、血小板数が高いコホートでは44,400(36,000-50,000)/μLであった。実施された観血的手技は、腹水穿刺術、上部消化管内視鏡検査(生検ありの場合を含む)、上部消化管内視鏡下静脈瘤結紮術・硬化療法(生検ありの場合を含む)、大腸内視鏡検査(大腸ポリペクトミー又は生検ありの場合を含む)、肝生検、肝細胞癌に対する化学塞栓療法(TACE)・ラジオ波焼灼術、歯科処置、経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)、腹腔鏡下処置及び血管カテーテル手技であった。
    有効性の主要評価項目とした血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合は、投与前の血小板数が低いコホート及び高いコホートのいずれにおいても本剤群でプラセボ群よりも有意に高かった(表7)。以上のように、本剤の有効性のプラセボに対する優越性が検証された。
    本剤群及びプラセボ群の血小板数の推移を図2に示す。[8.4 参照]

    表7 血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合(最大の解析対象集団)[E5501-G000-311試験]

    血小板数40,000/μL未満

    血小板数40,000/μL以上50,000/μL未満

    プラセボ
    (N=43)

    本剤60mg
    (N=70)

    プラセボ
    (N=33)

    本剤40mg
    (N=58)

    血小板輸血及び止血処置を回避した被験者a), n(%)

    15(34.9)

    48(68.6)

    11(33.3)

    51(87.9)

    回避した被験者の割合の95% CIb)

    (20.6, 49.1)

    (55.7, 79.4)

    (17.2, 49.4)

    (79.5, 96.3)

    プラセボ群との差(95% CI)c)

    33.7
    (15.8, 51.6)

    54.6
    (36.5, 72.7)

    P値(CMH検定)d)

    0.0006

    <0.0001

    CI=信頼区間、CMH=Cochran-Mantel-Haenszel検定、n=被験者数
    a)ランダム割付けから待機的な観血的手技の7日後まで血小板輸血及び止血処置を回避した被験者。治験中止等の理由によりデータが得られなかった被験者は、血小板輸血を受けた(回避しなかった)とみなして解析した。
    b)正規近似に基づく両側95%信頼区間。
    c)プラセボ群との差=本剤群の回避した被験者の割合−プラセボ群の回避した被験者の割合。95%信頼区間は正規近似法に基づいて算出。
    d)P値は各コホート内で予定する待機的な観血的手技の出血リスクで調整したCochran-Mantel-Haenszel検定により算出。本治験は、投与前の血小板数が低いコホート及び高いコホートの両コホートで、有効性の主要評価項目に統計学的有意差が認められる場合に、成功とみなすこととした。

    図2 血小板数の推移(最大の解析対象集団、平均値±標準偏差)[E5501-G000-311試験]

    副作用の発現割合は、投与前の血小板数が低いコホート(本剤60mg群)では8.6%(6/70例)、血小板数が高いコホート(本剤40mg群)では7.0%(4/57例)であった。主な副作用(発現割合が1%以上)は、悪心(2.4%)、疲労(1.6%)及び頭痛(1.6%)であった12)

  2. 17.1.2 海外第Ⅲ相試験(E5501-G000-310)

    待機的な観血的手技を予定する血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者231例(日本人の登録なし)を対象に、多施設共同・ランダム化・二重盲検・プラセボ対照・並行群間比較試験を実施した。本剤[投与前の血小板数が低い(40,000/μL未満)場合は60mg、高い(40,000/μL以上50,000/μL未満)場合は40mg]又はプラセボを1日1回、5日間、食後に経口投与した。血小板数は投与前までの2時点の平均値を用い、いずれの時点も60,000/μL未満であることとされた。また、model for end-stage liver disease(MELD)スコアが24超の患者は除外された。被験者は、治験薬最終投与5~8日後(治験薬投与開始10~13日目)に予定する手技を受けることとされた。
    投与開始前の血小板数の平均値(最小値-最大値)は、投与前の血小板数が低いコホートでは31,000(10,000-44,500)/μL、血小板数が高いコホートでは44,500(40,000-50,500)/μLであった。実施された観血的手技は、腹水穿刺術、上部消化管内視鏡検査(生検ありの場合を含む)、上部消化管内視鏡下静脈瘤結紮術・硬化療法(生検ありの場合を含む)、大腸内視鏡検査(大腸ポリペクトミー又は生検ありの場合を含む)、肝生検、肝細胞癌に対するエタノール注入療法・化学塞栓療法(TACE)・ラジオ波焼灼術、歯科処置、経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)及び血管カテーテル手技であった。
    有効性の主要評価項目とした血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合は、投与前の血小板数が低いコホート及び高いコホートのいずれにおいても本剤群でプラセボ群よりも有意に高かった(表8)。以上のように、本剤の有効性のプラセボに対する優越性が検証された。
    本剤群及びプラセボ群の血小板数の推移を図3に示す。[8.4 参照]

    表8 血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合(最大の解析対象集団)[E5501-G000-310試験]

    血小板数40,000/μL未満

    血小板数40,000/μL以上50,000/μL未満

    プラセボ
    (N=48)

    本剤60mg
    (N=90)

    プラセボ
    (N=34)

    本剤40mg
    (N=59)

    血小板輸血及び止血処置を回避した被験者a), n(%)

    11(22.9)

    59(65.6)

    13(38.2)

    52(88.1)

    回避した被験者の割合の95% CIb)

    (11.0, 34.8)

    (55.7, 75.4)

    (21.9, 54.6)

    (79.9, 96.4)

    プラセボ群との差(95% CI)c)

    42.6
    (27.2, 58.1)

    49.9
    (31.6, 68.2)

    P値(CMH検定)d)

    <0.0001

    <0.0001

    CI=信頼区間、CMH=Cochran-Mantel-Haenszel検定、n=被験者数
    a)ランダム割付けから待機的な観血的手技の7日後まで血小板輸血及び止血処置を回避した被験者。治験中止等の理由によりデータが得られなかった被験者は、血小板輸血を受けた(回避しなかった)とみなして解析した。
    b)正規近似に基づく両側95%信頼区間。
    c)プラセボ群との差=本剤群の回避した被験者の割合−プラセボ群の回避した被験者の割合。95%信頼区間は正規近似法に基づいて算出。
    d)P値は各コホート内で予定する待機的な観血的手技の出血のリスクで調整したCochran-Mantel-Haenszel検定により算出。本治験は、投与前の血小板数が低いコホート及び高いコホートの両コホートで、有効性の主要評価項目に統計学的有意差が認められる場合に、成功とみなすこととした。

    図3 血小板数の推移(最大の解析対象集団、平均値±標準偏差)[E5501-G000-310試験]

    副作用の発現割合は、投与前の血小板数が低いコホート(本剤60mg群)では13.5%(12/89例)、血小板数が高いコホート(本剤40mg群)では6.9%(4/58例)であった。主な副作用(発現割合が1%以上)は、頭痛(2.0%)、悪心(1.4%)、疲労(1.4%)、骨痛(1.4%)及び浮動性めまい(1.4%)であった13)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

アバトロンボパグは、経口投与可能な低分子のトロンボポエチン受容体作動薬であり、造血前駆細胞から巨核球の増殖及び分化を促進し、血小板数を増加させる。アバトロンボパグは、トロンボポエチンと競合することなくトロンボポエチン受容体に結合し、血小板産生を促進する。

18.2 血小板造血作用

  1. 18.2.1 ヒト臍帯血CD34陽性細胞に対してアバトロンボパグは遺伝子組換えヒトトロンボポエチンと同程度の巨核球コロニー形成能を示した14)
  2. 18.2.2 ヒトの造血幹細胞(胎児肝臓由来CD34陽性細胞)を移植したNOD/SCIDマウスにアバトロンボパグを反復経口投与することにより、用量依存的にヒト血小板数が増加した15)

18.3 血小板機能

本剤40又は60mgを食後に1日1回5日間反復経口投与した慢性肝疾患患者20例から採取した血小板では、アデノシン二リン酸又はトロンビン受容体アゴニストペプチドの添加の有無によらず、血小板活性化に明らかな影響は認められなかった16)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

アバトロンボパグマレイン酸塩(Avatrombopag Maleate)(JAN)

化学名

1-(3-Chloro-5-{[4-(4-chlorothiophen-2-yl)-5-(4-cyclohexylpiperazin-1-yl)-1,3-thiazol-2-yl]carbamoyl}pyridin-2-yl)piperidine-4-carboxylic acid monomaleate

分子式

C29H34Cl2N6O3S2・C4H4O4

分子量

765.73

性状

白色の粉末
1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドンに溶けやすく、メタノール、エタノール(99.5)に溶けにくく、水、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、tert-ブチルメチルエーテルにほとんど溶けない。

化学構造式

融点

218℃(マレイン酸の離脱)

分配係数(logD)

>4.0(pH3~9、1-オクタノール/水)

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

10錠[10錠(ブリスターシート)×1]/箱
15錠[15錠(ブリスターシート)×1]/箱

23. 主要文献

1) 社内資料:胚・胎児発生に関する試験(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.6.6)

2) 社内資料:乳汁中排泄(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.4.6.3)

3) 社内資料:ヒトマスバランス試験(501-PK-901試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.2.2.1.3)

4) 社内資料:in vitro血漿蛋白結合(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.4.4.2)

5) 社内資料:国際共同第1相試験(E5501-A001-018試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.2)

6) 社内資料:日本人、中国人及び白人での薬物動態及び薬力学試験(E5501-A001-006)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.1)

7) 社内資料:母集団薬物動態/薬力学解析報告書(CPMS-E5501-005R-v1.0)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.2.2.6.2)

8) 社内資料:in vitro薬物代謝(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.4.5.1)

9) 社内資料:排出トランスポーターとの相互作用(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.4.8.1)

10) 社内資料:薬物相互作用試験(E5501-G000-019試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.2.2.4.2)

11) 社内資料:薬物相互作用試験(E5501-G000-008試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.2.2.4.1)

12) 社内資料:国際共同第3相試験(E5501-G000-311試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.6.19)

13) 社内資料:海外共同第3相試験(E5501-G000-310試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.6.18)

14) 社内資料:in vitro薬理試験(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.2.2.1)

15) 社内資料:in vivo薬理試験(2023年3月27日承認、申請資料概要2.6.2.2.2)

16) 社内資料:血小板機能評価報告書(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.3.3.2.7)

24. 文献請求先及び問い合わせ先

旭化成ファーマ株式会社 くすり相談窓口

〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

フリーダイヤル 0120-114-936
(9:00~17:45/土日祝、休業日を除く)

25. 保険給付上の注意

  1. 25.1 本製剤の効能又は効果に関連する注意において、「開腹、開胸、開心、開頭又は臓器切除を伴う観血的手技の場合は、本剤の投与を避けること。」とされていることから、このような症例には使用しないこと。また、観血的手技の名称及び実施予定年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記入すること。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

Swedish Orphan Biovitrum Japan 株式会社

東京都中央区銀座六丁目10番1号GINZA・SIX

26.2 発売元

旭化成ファーマ株式会社

東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

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