ツベラクチン筋注用1g:添付文書
目次

ツベラクチン筋注用1g


処方箋医薬品


ツベラクチン筋注用1g

作成又は改訂年月

2023年 3月改訂 ( 第1版 )

日本標準商品分類番号

876165

薬効分類名

抗結核抗生物質製剤

承認等

ツベラクチン筋注用1g

販売名コード

YJコード

6165400D1033

販売名英語表記

Tuberactin Injection

販売名ひらがな

つべらくちんきんちゅうよう1g

承認番号等

承認番号

22000AMX00468000

販売開始年月

1975年 11月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

30ヵ月

一般的名称

エンビオマイシン硫酸塩

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者[8.2 参照],[9.1.2 参照]

3. 組成・性状

3.1 組成

ツベラクチン筋注用1g

有効成分1バイアル中
エンビオマイシン硫酸塩  1g(力価)
添加剤なし

3.2 製剤の性状

ツベラクチン筋注用1g

剤形注射剤
pH5.5~7.5注1,2)
浸透圧比約3注1)
(生理食塩液に対する比)
約1注2)
(生理食塩液に対する比)
性状白色の塊状又は粉末
注1)本剤1g(力価)を注射用水2mLに溶解した場合
注2)本剤1g(力価)を注射用水4mLに溶解した場合

4. 効能・効果

〈適応菌種〉
エンビオマイシンに感性の結核菌
〈適応症〉
肺結核及びその他の結核症

6. 用法・用量

通常成人には、エンビオマイシン硫酸塩として1日1回1g(力価)を注射用蒸留水に溶解[1g(力価)当り2~4mL]し、筋肉内に注射する。
初めの90日間は毎日、その後は1週間に2日投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
また、他の抗結核剤と併用することが望ましい。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
  2. 8.2 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。[2. 参照],[9.1.2 参照]
    • 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認すること。
    • 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
    • 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
  3. 8.3 低カリウム・低カルシウム血症等の電解質異常があらわれることがあるので、本剤投与中は血清電解質の検査を十分に行うこと。[11.1.3 参照]
  4. 8.4 本剤を含む抗結核薬による治療で、薬剤逆説反応を認めることがある。治療開始後に、既存の結核の悪化又は結核症状の新規発現を認めた場合は、薬剤感受性試験等に基づき投与継続の可否を判断すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本人又は家族がストレプトマイシン難聴又はその他の難聴の患者

    治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。難聴が発現又は増悪するおそれがある。[11.1.1 参照]

  2. 9.1.2 アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシン等)又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対して過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

    [2. 参照],[8.2 参照]

9.2 腎機能障害患者

投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること。高い血中濃度が持続し、第8脳神経障害又は腎障害があらわれるおそれがある。[9.8 参照],[11.1.1 参照]

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。新生児に第8脳神経障害があらわれるおそれがある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量並びに投与間隔に留意するとともに患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用があらわれやすい。[9.2 参照],[11.1.1 参照]

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    アミノグリコシド系抗生物質、ポリぺプチド系抗生物質

    • ストレプトマイシン、カナマイシン等

    第8脳神経障害及び腎障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。

    両薬剤ともに聴器系毒性、腎毒性を有するが相互作用の機序は不明。

    麻酔剤、筋弛緩剤

    • ツボクラリン、パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物、A型ボツリヌス毒素等

    呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。
    呼吸抑制があらわれた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこと。

    両薬剤ともにクラーレ様作用(神経筋遮断作用)を有しており、併用によりその作用が増強される。

    ジギタリス剤

    • ジゴキシン、ジギトキシン等

    不整脈等を起こすおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。

    本剤は血清カリウム低下作用があり、併用によりジギタリスの心臓に対する作用を増強させる。

    糖質副腎皮質ホルモン剤
    利尿剤

    • チアジド系利尿剤、フロセミド等

    過剰のカリウム放出を起こすおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。

    本剤は血清カリウム低下作用があり、併用により作用が増強される。

    他の抗結核剤

    • リファンピシン、イソニアジド等

    肝障害があらわれることがあるので、併用する場合には観察を十分に行い、慎重に投与すること。

    機序は不明である。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 第8脳神経障害(8.52%)

      眩暈・耳鳴・難聴等の第8脳神経障害があらわれることがある。[9.1.1 参照],[9.2 参照],[9.8 参照]

    2. 11.1.2 呼吸抑制(頻度不明)

      クラーレ様作用(神経筋遮断作用)による呼吸抑制があらわれることがある。

    3. 11.1.3 血清電解質異常(1.97%)

      低カリウム・低カルシウム血症等の電解質異常があらわれることがあり、また、これによると考えられるしびれ感、痙攣、脱力感等があらわれることがある1) [8.3 参照]

    11.2 その他の副作用

    5%以上

    0.1~5%未満

    過敏症

    発疹、発熱

    腎臓

    腎障害(蛋白尿、BUN上昇等)

    神経系

    頭痛

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    本剤の水溶液は室温に保存して安定であるが、溶解後は速やかに使用すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    組織・神経などへの影響を避けるため下記の点に注意すること。

    • 原則として他剤との混注は避けること。
    • 繰り返し注射する場合、例えば左右交互に注射するなど、注射部位を変えて行うこと。なお、小児には特に注意すること。
    • 神経走行部位を避けるよう注意して注射すること。
    • 注射針を刺入した時、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。

    15. その他の注意

    15.2 非臨床試験に基づく情報

    ラットで低カリウム血症、腎障害による血清カルシウム、リンの上昇の発現が認められたとの報告がある2) ,3)

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    健康成人男子(n=5)に本剤1g(力価)を筋肉内注射した場合、平均血中濃度は2時間後に最高値の36.2μg/mLに達し6時間後においては11.5μg/mLであった4)

    16.4 代謝

    健康成人男子(n=5)に本剤1g(力価)を筋肉内注射した場合、投与後6時間後までの尿を用いバイオオートグラフィーにより代謝産物の検索を行ったが、本剤以外の抗菌活性を示すスポットは認められなかった5)

    16.5 排泄

    健康成人男子(n=5)に本剤1g(力価)を筋肉内注射した場合、尿中への排泄は血中濃度とほぼ平行し、投与後1~2時間で最高濃度に達し以後漸減した。その際の尿中排泄率は、投与後6時間で58%、24時間では75%であった4)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内臨床試験

      比較試験を含む国内34臨床成績の概要は以下のとおりであった6) ,7) ,8) ,9) ,10) ,11) ,12) ,13) ,14) ,15)

      1. (1) 再治療肺結核患者1,739例では、培養試験による6ヵ月後の菌陰性化率は39.1%(330/844)であった。また比較試験により本剤の有用性が認められている。
      2. (2) 初回治療肺結核患者99例では、培養試験による6ヵ月後の菌陰性化率は98.7%(78/79)であった。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    Mycobacterium smegmatisを用いた14C-phenylalanineの取り込みを調べる実験からリボゾームの蛋白合成を阻害することによって抗菌作用を示すことが報告されている16) in vitro)。

    18.2 抗菌作用

    本剤は、抗酸菌に特異的な抗菌力を示し、人型結核菌(H37RV)に対するMIC(μg/mL)はKirchner半流動培地で0.5~5、Dubos液体培地で2.5~5、1%小川培地で10~25を示し、卵培地における力価の低下が認められている17) ,18) ,19) ,20) in vitro)。

    18.3 耐性獲得遅延作用

    人型結核菌H37RV原株の本剤に対する耐性獲得状態を試験管内で検討した結果、本剤とRFP又はEBの二剤、さらにこれら三剤の併用の場合は、明らかな耐性獲得遅延効果が認められている21) in vitro)。

    18.4 交差耐性

    本剤はCPMと完全交差耐性を示す18) ,22) in vitro)。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    エンビオマイシン硫酸塩(Enviomycin Sulfate)(JAN)

    化学名

    ツベラクチノマイシンN硫酸塩
    (3R, 4R)-N-[(3S, 9S, 12S, 15S)-9, 12-Bis(hydroxymethyl)-3-[(4R)-2-iminohexahydropyrimidin-4-yl]-2, 5, 8, 11, 14-pentaoxo-6-(Z)-ureidomethylene-1, 4, 7, 10, 13-pentaazacyclohexadec-15-yl]-3, 6-diamino-4-hydroxyhexanamide sesquisulfate
    ツベラクチノマイシンO硫酸塩
    (3S)-N-[(3S, 9S, 12S, 15S)-9, 12-Bis(hydroxymethyl)-3-[(4R)-2-iminohexahydropyrimidin-4-yl]-2, 5, 8, 11, 14-pentaoxo-6-(Z)-ureidomethylene-1, 4, 7, 10, 13-pentaazacyclohexadec-15-yl]-3, 6-diaminohexanamide sesquisulfate

    分子式

    ツベラクチノマイシンN硫酸塩
    C25H43N13O10・11/2H2SO4
    ツベラクチノマイシンO硫酸塩
    C25H43N13O9・11/2H2SO4

    分子量

    ツベラクチノマイシンN硫酸塩:832.81
    ツベラクチノマイシンO硫酸塩:816.81

    性状

    白色の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。

    化学構造式

    略号

    EVM

    22. 包装

    10バイアル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    旭化成ファーマ株式会社 くすり相談窓口

    〒100-0006 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

    フリーダイヤル0120-114-936
    (9:00~17:45/土日祝、休業日を除く)

    26. 製造販売業者等

    26.1 1製造販売元

    旭化成ファーマ株式会社

    東京都千代田区有楽町一丁目1番2号

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