自己注射指導枠を用いた患者さんとのコミュニケーション

2020.12.11

兵庫医科大学 整形外科学教室 助教
辻 翔太郎 先生
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1−1

医療法人社団あんしん会 あんしんクリニック
整形外科・リハビリテーション科
看護師 川野きみ 様
〒651-0095 神戸市中央区旭通4丁目1-4 シティタワープラザ4階

※ご所属は、制作当時のご所属です。


あんしんクリニック川野きみ様(左)兵庫医科大学 辻翔太郎先生(右)

 

自己注射指導における医療現場の課題

辻翔太郎先生(以下辻先生):兵庫医科大学病院は大学病院なので骨粗鬆症だけではなく、代謝性骨疾患の患者さんも良く来られます。近隣のあんしんクリニックなど多くの開業医さんから患者さんをご紹介いただいております。

川野きみ看護師(以下川野看護師):あんしんクリニックではOLSの運営に関して辻先生にアドバイスをもらいながら積極的に骨粗鬆症患者さんへの介入を行っていますが、自己注射のお薬が処方された際は、常に不安を感じる状況でした。当院では、通常の整形外科外来での診療の介助に加え、人工関節や腰椎などの手術が必要となった患者さんに対しては、術前検査の説明や採血など手術に向けての援助をしたりと、外来での看護業務は多岐にわたっています。そうした業務に加えて自己注射指導ともなると時間がない中ですので、患者さんにわかりやすい丁寧な説明ができているか不安を持ってました。

川野看護師:結果として曖昧な知識のまま自己注射指導に臨まなければならないことがあり、指導の際、患者さんに自己注射を敬遠されることもありました。そのような時は、もっと骨粗鬆所や治療薬についての知識があれば、より患者さんに寄り添えた対応ができたのではないかと感じることもありました。

辻先生:医師も忙しい外来の中で患者さんが納得いくまで説明する時間がない時もあり、自己注射指導をお願いした看護師さんから「さっきの患者さんからこんな質問が来ましたよ」などと言われたり、患者さんが医師に相談出来ないこともあるんだなと感じることがありました。

川野看護師:先生もおっしゃるように患者さんが自己注射の必要性に納得しきっていないケースもあるので、必要性の説明のフォローを看護師が担うこともあります。

辻先生:あんしんクリニックのOLSに対してアドバイスさせてもらった点は、骨粗鬆症マネージャー®だけに限らずに指導方法を統一する仕組みを作ることでした。全体の看護師の中でも骨粗鬆症マネージャー®の数は多くないので、全看護師が均一に指導出来るようにマニュアルを作って、お薬の必要性を患者さんに聞かれてもしっかり説明出来るように、例えば骨形成マーカーが下がっているからこれが必要だということを看護師さんからも言ってもらうことでしっかり患者さんが納得して治療に臨めるような環境を整えました。

川野看護師:結果的に全員の知識レベルが上がってコミュニケーションの仕方が大きく変わった実感がありました。例えば、「骨粗鬆症の採血をしますね。」と言って採血をするだけではなく、「注射頑張っていますね。今度の採血結果に出ていたらいいですね。」など、患者さんと一緒に骨密度や今までの採血結果を確認して言葉掛けをすることで、医師からの説明を再認識されたり、補足説明が出来たりして会話も発展して継続率向上につながった実感がありました。

自己注射指導枠を用いた投薬指導

辻先生: それでも多くの患者さんは自己注射の実施に対して自信を持っていないので、「自己注射指導枠」という時間を設けることにしました。「自己注射指導枠」は迷っている患者さんも含めて、自己注射製剤の投与が必要な患者さんに来ていただいて説明する時間の枠です。

川野看護師:個人差はありますが大体お1人当たり説明に30分かけております。通常先生がしっかり説明してくださるので自己注射がどうしてもいやという患者さんはあまりいないのですが、正直迷っている方は多いです。そういう方には「自己注射指導枠」に改めて来ていただいて実際にテリボンオートインジェクターの練習用キットで投与の練習をしてもらうと「あ、出来そう」とおっしゃられる患者さんがほとんどです。

辻先生:今まで様々な病院で外来をやってきましたが、「自己注射指導枠」を設立するまでは、導入時に患者さんに「そういう自己注射は嫌です」と言われてしまったり、時間がないので自己注射が無理そうな患者さんには勧められないこともありました。ただ「自己注射指導枠」を作ってからは「一度骨粗鬆症マネージャー®の方と話してもらって出来るか出来ないか考えてみましょう」と言えるようになったというのがとても大きくて、結果として導入率が上がって離脱率が下がった印象があります。

川野看護師:「自己注射指導枠」でテリボンオートインジェクターの指導をしておりますが、患者さんの受け入れはとても良い印象です。指導にコツがいる投与時の音に関しても、病院独自の患者指導用のシートを用いて2回目の音の聞き方を時間をかけて指導したりしています。

辻先生:私も大学でリウマチ患者さんなどの手の不自由な患者さんも診る機会が多いのですが、リウマチ患者さんや強皮症の患者さんでは手指の変形がある患者さんなどもいます。そうした患者さんは関節に痛みがありますが、テリボンオートインジェクターはキャップを外して皮膚に押し当てるだけで投与が完了するので、今後は新たな選択肢の一つになりうると思っております。



テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター製品情報
https://akp-pharma-digital.com/products/list/155

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