「自己注射が無理」は当たり前の反応

2020.12.16

医療法人朝日野会 朝日野総合病院
整形外科 副センター長 辻 王成 先生
看護師 篠原 みゆき 様、安部 明日香 様
〒861-8072 熊本市北区室園町12-10

※ご所属は、制作当時のご所属です。


朝日野総合病院 辻 王成 先生(左)看護師 安部 明日香 様(中央)・篠原 みゆき 様(右)

 

なぜ、PTH製剤が必要なのかを伝える

辻王成先生(以下辻先生):当院は多職種で骨粗鬆症リエゾンサービス®(OLS)を積極的に実施している施設です。毎週火曜日の午前中の骨粗鬆症外来では平均35名の患者さんを診ていますが、患者さんの重症度に応じて治療薬を提案しています。骨折までに猶予のない患者さんにはPTH製剤を処方を検討しますが、自己注射製剤を処方する場合には2つの障壁があると考えます。1つ目は患者さんの自己注射に対する驚きと不安、2つ目は看護師さんが持っている指導に対する不安です。

まず、患者さんの投薬に対する不安を取り除いて、前向きに治療に取り組んでもらうことの重要性をご認識いただき、その上で骨粗鬆症の重症度からPTH製剤を使用する必要があることをしっかりと説明します。そして、自己投与を含めたそれぞれのPTH製剤について投与方法、投与間隔、通院間隔、費用、副作用などを説明し選択していただきます。治療に必要であることを理解していただければ、自己注射に対する治療の受け入れはそれほど難しくはないと思います。あとは、看護師さんに少し時間をかけて指導してもらいます。

安部明日香看護師(以下安部看護師):必要性の説明やコミュニケーションは先生任せにせず私たちもしっかり行うべきだと思っています。実は、患者さんの中には、「先生に悪いから嫌だって言えなかったけど」といった形で投薬に関して疑問を持っている方もいらっしゃいます。不安に思っている患者さんには私たちからもう一度時間をかけて、なぜそのお薬が必要なのかをゆっくり説明してあげることで納得してもらい、治療を開始するようにしています。

辻先生:実は、自己注射の指導を行う看護師側にも不安があります。ただ、時間を要することもありますが、慣れれば自分の言葉で説明ができるようになります。見方を変えれば自己注射は他の薬剤より、看護師が患者さんとコミュニケーションがとれる薬剤ですので、導入時から治療意欲を高める効果もあるのではないでしょうか。

篠原みゆき看護師(以下篠原看護師):そもそも骨粗鬆症患者さん全てが自己注射製剤を処方されているわけではなく、自分が自己注射指導に当たる確率も高くないため、なかなか経験値が上がらず、説明していても「あー、段取りが悪かったな、これを先に言わなくちゃいけなかった」と反省することも多く、はじめの頃は説明事項も多いため難しい印象を常に持っていました。

安部看護師:その課題を解決するために私たちが取り組んだことは、副作用のことなどを質問されたり、指導の際に詰まった所を改善するための手順書やパンフレットの作成です。テリボンオートインジェクターの指導では注射後5秒待たずに離してしまう人がいるので注意して指導しようなど、皆で意見を出し合って改善して自信をつけていきました。

辻先生:当院では骨折歴の聴取、骨密度検査、胸椎・腰椎X線検査から骨粗鬆症と診断した場合、血液検査を行い1週間後の再診時に薬物治療を開始します。この2回の診察、特に薬物治療開始時に理解いただけるように時間をかけて説明します。それは、骨粗鬆症治療の自己中断は治療開始早期が最も多いからです。

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ほとんどの患者さんは自己注射が初めて

辻先生:自己注射と聞くとほとんどの方は驚き、「無理です」と言われます。ほとんどの患者さんは経験がないのでそのような反応になるのは、考えてみれば当然のことです。そこを「当たり前の反応」といったん受け入れてから、皆が可能な手技であることを実際に、練習用キットを手に取って説明します。

篠原看護師:私たちは頻繁に指導していても、患者さんにとっては初めてのことです。患者さんが不安なのは当たり前なので、「できるようになるまで何回でもやりましょう」という形で患者さんが納得するまで何回も丁寧にやるようにしていますが、テリボンオートインジェクターは針が見えなかったり操作が簡便であることで、できないという患者さんはほとんどいない印象です。看護師としても、手技だけの短い説明で済むため、忙しい外来では助かっています。

辻先生:高齢者では自己注射ができないと思われている先生方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらが自信を持って患者さんにお伝えすれば、90歳代の方でもお使いいただけます。実際に70~80歳代の患者さんに90歳代でも自己注射が実施可能であることを伝えると、「それならできる」となります。操作が簡便なテリボンオートインジェクターが出たことによりさらに高齢者に対して使用しやすくなりました。しかし、「本当に無理」という患者さんもいらっしゃるので、決して無理に勧めないことです。あまり無理に進めると、骨粗鬆症の治療さえ受け付けていただけなくなってしまう可能性も考えられます。

安部看護師:骨粗鬆症治療は病院全体で行う治療となりつつありますが、継続率などまだまだ改善できるところがあると思っています。今は、初回の指導にしか当たれていないので、2回目以降の患者さんが来られたときに手技に関しての聞き取りやテリボンNOTE(テリボンの投与管理用手帳)に記載されているデータを見てアドバイスしたり、より骨粗鬆症患者さんの治療を発展させていければ、と思っています。

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朝日野総合病院 OLSの皆様



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