おだ整形外科クリニック
病院長 小田 博 先生
〒173-0033 東京都板橋区大山西町14−2
※ご所属は、制作当時のご所属です。
週1回のテリボンを処方していた理由
小田 博 先生(以下小田先生):当院では高齢者の患者さんを中心に、混んでいる時は150名程度の患者さんを診る機会があります。骨粗鬆症でもほとんどがご高齢であるため、多くの患者さんは骨折の危険性の高い骨粗鬆症の診断がつくので、テリボンの週1回製剤を処方する機会は多かったです。
私が週1回製剤を処方していた理由は患者さんの状態が毎週観察できるからです。特に骨折の危険性が高い患者さんなので、初期には慎重に観察したいこともあり、患者さんには週に1回しっかり通ってもらって投与しておりました。例えば超高齢者の患者さんですとレントゲン上だと骨折が分かりにくいこともあるので初期は自覚症状の改善も含めて観察したいので、特に注意して通院してもらっております。
ただ私から、「この薬は2年続けるお薬だから」と言っても「4~5回打ったら痛みが取れたから、先生もういいです。来るのも大変だし」とおっしゃられる患者さんも結構おります。やはり近隣の地域だけではなく遠方から来られている患者さんもいらっしゃるので、週に1回通うのは大変というご意見もいただくことがありジレンマを感じておりました。
フィードバック法によるテリボンオートインジェクターの導入
小田先生:そんな課題に直面していた時にテリボンオートインジェクターという自己注射できるタイプのお薬が出ました。でも自己注射製剤は患者さんも不安だろうし、週1回製剤を処方した時に感じていたメリットを生かしながら、こちらをうまく導入出来ないかなと考えた時に、フィードバック法という独自の手法を思いつきました。
フィードバック法は、テリボンオートインジェクターを最初の4回は院内で処方し、私が投与してあげて、患者さんに感想をフィードバックしてもらいながら、慣れたら自己注射に切り替えるという方法です。
まず患者さんに自己注射というと100%断られます。不安なのは当たり前だと思っているので、「じゃあ、最初はここで打ちましょうか」と提案し、テリボンオートインジェクターを何度か院内で投与して不安をなくしてあげることで、今の所100%受け入れてくださっています。
実際にフィードバック法をやってみると、「ああ、これならできるわ」とおっしゃって2回くらいで自己注射に切り替えられる患者さんも多々いらっしゃいます。この方法では、例えば新鮮骨折があるような患者さんに「1ヵ月後に来てください」と大事な時期に治療を患者さんに丸投げするのではなく、一緒に治療していく意識ができることもポイントです。
フィードバック法の課題と今後の展望
小田先生:一方フィードバック法の課題は最初に週に2回通院しなければならないというところです。近隣の患者さんならいいのですが、遠方の患者さんになると負担になります。そういった患者さんには最初は大変でも、自己注射ができるようなれば通院を少なくできるため、まずは週に2回通ってもらうことをお勧めしております。
またフィードバック法を始めてから気づいたのですが、オートインジェクターを患者さんに押し当てる力加減の調節が結構難しいです。私たちは患者さんにオートインジェクターを使って注射をするという機会もそんなにございません。強く押しすぎないように注意しながら投与することが重要だと感じでおります。
当院では、「できるだけ医師の私自身が治療をする」というポリシーでやっておりますので、自己注射指導も看護師さんの手はほとんど借りておりません。150人の外来をこなしながら自己注射指導という作業はチャレンジングだと思っておりましたが、テリボンオートインジェクターは手技的に簡便なので、フィードバック法と合わせると自己注射指導もうまくやっていけると感じております。
テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター製品情報
https://akp-pharma-digital.com/products/list/155