患者様のペースに合わせた治療を心掛けたい

獨協医科大学日光医療センター

獨協医科大学日光医療センター
住所:〒321-2593 栃木県日光市高徳632
電話番号:0288-76-1515(代表)
アクセス:東武鬼怒川線新高徳駅より徒歩10分
ホームページ:https://www.dokkyomed.ac.jp/nmc/

――いろいろな診療科がある中で、整形外科をお選びになった理由やきっかけなどがあればお教えください。

 私は内科よりも外科系にもともと興味がありました。私が診療科を選んだ1980年代は、整形外科の人気が高くなっていた頃でした。整形外科は背骨から手、足と診療する部位が幅広く、当時はわからないことも多かったので、新しく発見していくような感覚もありました。様々な患者様を診てきましたが、手は割と特殊な部位で、手の怪我など敬遠する先輩の先生も多くいました。そういった意味でも「私なら診られる」という整形外科医、特に手の外科医になりたいと考えていました。後悔したことは一度も無いくらい、整形外科を選択して良かったと思っています。

――こちらのセンターには、どのような患者様が多いのでしょうか。

 栃木県内でも日光市は高齢化が進んでいる地域ですので、やはり高齢者の方が非常に多いです。手の患者様に関しては、日光地域だけでなく県外からもいらっしゃいます。鬼怒川温泉が近いので、転んで骨折など旅行中の怪我で来られる患者様も多い。他にも、ツーリング中にバイク事故を起こしてしまったという中高年の方も意外と多くいらっしゃいます。また当センターでは、スポーツ整形をやっている整形外科の先生もおりますので、膝、肩、肘などのスポーツ障害の治療なども行っており、幅広い患者様を診ていると思います。

――最近では、運動器の問題などでロコモティブシンドロームを気にされる方も多くいらっしゃいます。ロコモを予防するにはどのようなことが大切だと考えていらっしゃいますか。

 やはりリハビリが非常に重要ですね。当センターでは、理学療法士、作業療法士といったスタッフ達も非常に優秀ですし、人数も多くおりますので、リハビリ分野に関してサポート体制が整っていると思います。

 ご高齢の方には、手の怪我や足の怪我などがあっても、その他の使えるところはどんどん使いましょう、というのを基本としてお話しております。その都度できることをやって、リハビリ以外にも10分でも15分でも散歩するなど、しっかり動いてもらうことが大切です。最近はコロナ禍もあって、外に出られなくなった方も多くいらっしゃいます。ご高齢の方は特にロコモティブシンドローム、フレイル、骨粗鬆症などが重なってる場合も多いので、運動をして体にある程度の負荷を与えた方が良いと考えます。このようなご時世でも、密にならないところを散歩されるのは問題ないかと思いますので、運動不足は解消していただきたいですね。

――長田先生は、国内初の橈骨遠位端骨折用掌側ロッキングプレートの開発に携わるなど、研究者としてもご活躍されていらっしゃいます。今後の研究ビジョンなどはございますか。

 2000年頃、アメリカに留学したことをきっかけに、日本人用の橈骨遠位端用掌側ロッキングプレートを作りはじめ、新しい治療法に取り組み始めました。もう25年くらい、この手術方法がどのように進歩してきたかを当事者として目の当たりにしてきました。以前に比べればこの手術方法もかなり完成されてきていますが、まだわからないところもたくさんあります。今は掌側ロッキングプレートが橈骨遠位端骨折には一番いいとされていますが、欠点もあるので、それらを克服した新しい手術方法もあるかも知れません。よりよい治療法を求めて今後も研究をしていきたいと思います。

――こちらは大学病院ということで、研修医の方々など後進の育成の機会も多くあるかと思います。そうした皆様をはじめ、記事を読む医療従事者の方が参考になるような、医師として伝えていきたい思いはどのようなことでしょうか。

 若い先生方も外来で患者様の診療を行いますので、外来のカンファレンスを行い診療の方向性などをスタッフ全員で検討します。その際に、もっと深く診るべきところや患者様が希望していることの再確認についてよく指導しています。若い先生は、自分のペースで治療を行っていきたい、と考えがちで余裕がない場合があります。サッと診て「お薬出します、次は何週間後」と、自分の治療プランを患者様に押し付けてしまうことも多い。患者様のペースに合わせてあげられないことがあります。できる限り患者様の希望を聞き取り、患者様が心配している部位の検査をしたり、心配な様だから再診の間隔をもっと短くしてあげる、など患者様とのやりとりはしっかり考えてほしいですね。

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長田 伝重 氏

獨協医科大学医学部医学科卒業後、同大学整形外科に所属。新潟手の外科研究所、米クライナート研究所などの学内留学や研修を経て、獨協医科大学日光医療センターに着任。現在、手外科肘関節外科などを専門に同センター整形外科主任教授、副院長を務める。



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