身体障がいがあっても意欲を持てるような”福祉村”をつくりたい

西はりまクリニック

西はりまクリニック
住所:〒679-4132 兵庫県たつの市誉田町福田780-37
電話番号:0791-62-2480
アクセス:JR姫本線 本竜野駅より車で約9分

――西川先生が医師を志すようになったのは、どのようなことがきっかけだったのでしょうか。

 私がまだ学生のころ、祖母が脳梗塞になりました。症状が進むにつれて、認知症や麻痺が出るようになり、最終的にはだんだん私のこともわからなくなる、といったことがありました。高校生になり進路を考えるようになった時、その祖母のことが浮かんだのです。そういった方たちの助けになりたい、と医学の道に進むことを考えました。そして、将来的に地域医療に貢献するのであれば、整形外科が良いのではないかと思い、自身の専門領域を決めました。整形外科医になってから、身体障がいのある方を診る機会が多くあり、そこから障がい者スポーツに興味を持つようになりましたね。

――西はりまクリニックには、関連施設にグループホームなどもあるそうですね。

 この場所には、クリニックのほかにもいくつか施設があります。身体障がいのある方が訓練を行い、職場や家庭に復帰することを支援する厚生施設をはじめ、復帰が難しいという方に向けた養護施設や、ご自宅での生活が難しい方のための特別養護老人ホームを設けました。そのほか、場所柄的にも通院する手段がない方も多く、通所リハビリや訪問看護、訪問リハビリにも力を入れています。私は構想として、ここに”田舎の福祉村”を作りたいと思っていました。もともとここは、池がポツンとあるだけの林だったのですが、父の協力もあり、この地でやっていくことができるようになりましたね。父は医師ではありませんでしたが、私の構想のためにとても協力してくれました。

――今でこそパラスポーツなどは大きな話題となりますが、とても早くから着目されていたのですね。パラスポーツのどのようなところが有用なのでしょうか。

 障がいのある方が、意欲をもって訓練したり生活に励んだりすることって、とても難しいのです。そのような方々に意欲を持っていただく手段として、障がい者スポーツは非常に有効だと思っています。施設を作るときにも体育館を用意し、車いすバスケットボールなどをできるようにしました。兵庫県の身体障がい者スポーツ大会には早くから参加していて、ボール投げといった非常に簡単なスポーツでも、その中で金メダルを目指すということが喜びになる。意欲を失った人の目標になるというのが、障がい者スポーツの大きな魅力だと思います。理想としては、ここからパラリンピックの金メダリストが誕生することなのですが、なかなか難しいですね(笑)

――ロコモティブシンドローム(ロコモ)に悩まれる方にリハビリなどで接する機会もたくさんあると思いますが、その際に大切にしていることはありますでしょうか。

 障がい者スポーツではなく、リハビリでもやはり意欲を持ってもらうことは大事。立ち上がりましょう、立ち上がれたら歩きましょう、体をどんどん動かしましょう、と言うだけではなく、評価することが重要だと思っています。1カ月でこれだけできるようになりました、次はこれに向けて頑張りましょう、と評価を点数化してあげるだけでも、だいぶ変わりますね。歩行分析AIアプリ(Carewizトルト)の導入もそういう理由からです。学会で活用事例を知って、すぐに導入を検討しました。このような新しい技術をどんどん取り入れていくことも、マンネリ化の防止になりますし、データ化することでご家族の方にもわかりやすくなります。利用者の方々からも喜んでもらえていますね。

――最後に、この記事を読んでいる、ロコモに向き合う医療従事者の方々にメッセージをお願いします。

 これだけ高齢化社会が進んでくると、ロコモは避けられないところだと思います。転倒は予防するほかないですし、寝ている方は起こす、起こしてあげられたら動かすことを念頭に、とにかく動かない時間を少なくできるような工夫を考えてあげることだと思います。ただ背中を押すだけでなく、モチベーションにつながるものを用意することが大事ですね。例えば、フィットネス器具を使ってリハビリをしてはダメ、なんてこともありません。スポーツクラブにいかなくても、医療機関でフィットネスマシンの筋トレをしてもいいのではないかと思いますね。患者様がやってみようか、やりたいな、と思えること。そのための工夫を医療機関がどんどんやっていくことが、ロコモにもフレイルにも私は良いと思っています。

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西川 光博 氏

獨協医科大学医学部卒業。神戸大学医学部付属病院整形外科、姫路聖マリア病院、高砂市民病院、神戸海星病院などを経て、西はりまクリニックを開院。


 


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