日々の診療とともに研究も大切――トップアスリートへの治療スキルを、地域医療にも還元

医療法人高徳会 上牧温泉病院

医療法人高徳会 上牧温泉病院
住所:〒379-1311 群馬県利根郡みなかみ町石倉 198-2
電話番号:0278-72-5858(代表)
アクセス:JR上越線 上牧駅より徒歩10分

――医師になろうと思った理由や、整形外科医としてのやりがいをどのようなところに感じているのかお聞かせください。

 父は医師ではなかったのですが、この病院を作ったのが父だったため、ごく自然に医師になろうと考えました。その当時は、ここに帰ってくることを想定していたわけではありませんが、地域医療という部分に立ち返って考えてみると、整形外科はやりがいがありますね。もともとはスポーツ医学を学んでおり、海外留学などをする中で研究を続けることの大切さは強く感じていました。地方だから一般的なことをやっていればいい、ということではありません。日々の診療とともに研究することも自分自身のモチベーションや、やりがいになっています。

――上牧温泉病院は、群馬県の豊かな自然に囲まれた場所にありますが、どのような患者様がいらっしゃるのでしょうか。

 近隣の群馬県内の方だけでなく、越後湯沢など谷川岳を挟んで半径50㎞圏内くらいの範囲で来院されていますので、手術を受ける方の半分ほどは新潟の方という印象ですね。また、日本大学病院と提携しているため、術後のリハビリをされる方々が都内からも多く来院されています。当院に戻る前までは、トップクラスと呼ばれるようなスポーツ選手の膝関節を中心に診ていました。それに併せて海外留学などもしていましたが、こちらでは高齢者の患者様が中心。ただ、トップアスリートに行っていた治療スキルを今度は高齢者に対して施しています。きめ細やかなオペやその前後のリハビリなどは、アスリート治療から得た知識を還元していますね。

――患者様に接する際に大切にしていることはどのようなことでしょうか。

 やはりここは高齢者の方が多いですから、ご本人に諦めさせないことですね。年齢を重ねていても、痛いものは痛い。年齢のせい、しょうがないと諦めさせず、痛みを取り除いてあげることにフォーカスしています。そして、手術とともにリハビリも大事なこと。患者様には「手術はやってあげられるけど、リハビリをするのは患者様本人だから」と、よく伝えています。患者様が、ただただ受け身でいる治療では、治るものも治らないですから。近い症例や似たケースを紹介して、患者様のモチベーションを上げるよう工夫しています。また、術中術後の合併症などよくないケースもしっかりお伝えすると患者様にも安心いただけます。もともとここは、リハビリ病院をベースに手術に取り組んでいるため、スタッフもリハビリに対する意識は高いかもしれないですね。

――現在もロコモティブシンドロームに悩む患者様が多くいる状況ですが、どのような意識をもって取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

 やはり人間が動物である以上、最後の1秒まで自分の意思で動けるようにしてあげるのが整形外科医の仕事だと考えています。そのために大切なのは、やはりリハビリなんですよ。落ちた機能を取り戻すリハビリテーションをしてあげるのが一番大事なことですね。また、市民講座などで病気に関して認識の低い方ともお話する機会があるのですが、その際には医師としてきちんと科学的なエビデンスがある治療方法を知ったうえで、選択を考えてほしいとお伝えしています。病気やケガの状態がどういった段階であり、注射をするのか、手術をしないといけないのか――そこを理解した上で、患者様には治療を選択してほしい。病院に来るということは、私たちが思っている以上にハードルが高いもの。だからこそ、病院以外の場所で啓発することも大切だと思っています。

――最後に、記事を読む医療従事者に向けてメッセージをお願いします。

 医療従事者は常に、患者様の不安を聞いていかなくてはなりません。その中で、科学的根拠を示してあげなくてはいけない。医療従事者が一番しっかりとした知識をもっていなければならないと思います。だからこそ、診療とともに研究も大切。自分たちで得た知識やデータは嘘をつきません。私自身、過去の手術例を多く持っているから患者様にしっかりとご説明できるし、リハビリのスタッフも1,000人、2,000人と診ているからトラブルシューティングができるんです。地方医療だからといって、データを評価して研究することを諦めない。その作業があるからこそ、患者様にちゃんとした科学的な根拠をフィードバックできると思います。

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入内島 崇紀 氏

群馬大学医学部医学科卒業。日本大学整形外科、米ピッツバーグ大学整形外科研究員、駿河台日本大学病院整形外科の助教などを経て、現在は上牧温泉病院の副理事長を務める。



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