患者さんが受け身になりすぎず、スタッフ全員で一緒に治療に向き合えるように務める

市立釧路総合病院

市立釧路総合病院
住所:〒085-0822 北海道釧路市春湖台1番12号
電話番号:0154-41-6121
アクセス:釧路駅よりくしろバスで約10分

――梅本先生は、なぜ医師になりたいとお考えになったのでしょうか。

 もともとスポーツが好きで、小学校では野球、中学ではサッカーをやっていたのですが、競技の中で整形外科の分野やスポーツ医学に興味が出てきたことがきっかけです。現在、整形外科医として人生を楽しく過ごすお手伝い、サポートができることに医師としての喜びを感じています。コンディションが良くない状態から医師として治療に携わった結果、患者さんが笑顔になっていただけたら最高です。

 ――市立釧路総合病院は150年を超える長い歴史があり、広大な医療圏を担っているとお聞きしましたが、どのような患者様が多いのでしょうか。

 やはり高齢者の方が非常に多く、釧路をはじめ、根室、羅臼、斜里など医療圏が非常に広いことが大きな特徴です。三次救急病院ですので、災害などが起こった際の重症患者から変性疾患、ご高齢の方まですべてを受けて入れています。また、救急で診た後は療養型病院に移ることが多いと思いますが、こちらでは続けて療養期の患者様も診ているというのも特徴です。近隣病院と連携しつつ、基本的にすべて当院で賄っているという点は、この地方ならではかもしれません。

 ――近年、ロコモティブシンドロームについての問題が注目されていますが、こちらでは以前から医師をはじめ看護師や薬剤師、歯科医師、作業療法士、理学療法士、管理栄養士の皆様 まで巻き込んだ、活発なディスカッションを実践されているとお聞きしました。本日(※取材当日)も実施されているセミナーですが、どのような内容のミーティングを行われていたのでしょうか?

 今日行ったミーティングのテーマは「骨折リエゾンサービス」について。骨粗鬆症の二次(性) 骨折をどのように減らしていけるかを、全員で考えていくものでした。

 最近では、骨粗鬆症の二次(性)骨折予防について診療報酬の変更があり、新たに取り組む病院も増えてきましたが、当院では以前からこの問題について取り組みを続けています。例えば、骨粗鬆症の二次(性)骨折予防として、患者様へ「こつこつ手帳」という手帳をお渡ししています。食事のことや運動の仕方などを入院中に指導し、自宅でも取り組んでいただこうとしていますが、なかなか自宅では継続してもらえないのが実状です。転院するにしても地域柄、なかなか次の転院先も見つかりません。そのため、少しでもADLが上がるようにリハビリをしてもらうためには、医師だけでなく様々な業種のスタッフが患者様の様子や変化に気付き、患者様が元気になるまでをサポートできるようにしていくことが大切。いろいろなスタッフと共に、取り組まなければならないと考えています。

 ――患者様に接する際に、大切にされていることはなんでしょうか。

 個人的には、常に自分の家族を診るような気持ちで接しています。そして、診断とともに方針をきちんと伝えてあげること。病気がどのような状態か、どのような治療を行い、その治療がうまく行かなかった場合にはどのように対処するかを、なるべく最初の段階で伝えるようにしています。そのため、”とりあえず”という言葉はなるべく使わないように気を付けています。もちろん話の流れで出てしまうことはありますが、現状だけでなく、その先まで患者様がわかるようにお話ししたいと思っています。結局のところ、私たちができることはとても少ない。手術などはできますが、その後は患者様が自ら動くことが重要です。医師・病院がいろいろとやってくれて、患者様が自分では何もしない受け身の状態になってしまっては、結局のところ良くはなりません。患者様が医師・病院に依存しすぎないよう一緒に頑張りましょう、という姿勢で治療をするようにしています。

 ――最後に、ともに患者様に向き合う医療従事者に向けてメッセージを頂ければと思います。

 先ほどの話と重なりますが、医療従事者は結局のところ”お手伝い”をしてあげるだけで”治している”訳ではありません。元気になるまでには、患者様自身の治していくための姿勢が必要です。医師はじめ医療スタッフが考え方や目標を同じくして、患者様と一緒にやっていけるのが一番よい方法ではないでしょうか。
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梅本貴央 先生

 北里大学医学部卒業。北海道大学整形外科、釧路労災病院、帯広厚生病院、名寄市立総合病院、斗南病院などを経て、市立釧路総合病院に着任。整形外科部長を務める

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