効率のよい仕組みは、患者さんの負担を減らすため考えることをやめずに続けた結果

大室整形外科 脊椎・関節クリニック

大室整形外科 脊椎・関節クリニック
住所:〒670-0976 兵庫県姫路市中地371
電話番号:079-293-3355
アクセス:姫路駅より車で約10分。姫路駅より無料送迎バスあり。

――先生が医師を志したきっかけや、専門分野などについて教えてください。 

この病院を創設した亡き父が医師だったことが、まずは大きな理由でした。正直に申し上げますと、思春期の頃は医師以外の方向を考えていたこともありました。ですが父が利き腕を怪我し、いろいろな先生にお世話になっているところを見ているうちに、整形外科は非常にやりがいがあると考えを改めました。整形外科は診療の結果がダイレクトに出てくることが多いので、良くなられた患者さんを前にすると、整形外科医でよかったと実感します。専門は脊椎ですが、脊椎には神経が通っていますので、背骨の形態を治すということに加えて、神経をどう扱うのかが非常に難しい部分であり、デリケートな部分だと考えています。

――姫路という場所ならではの患者さんの傾向や、そのための病院での取り組みはありますか? 

私はずっと姫路の育ちですが、地域性としてはお祭り好きの明るい性格の方が多いので、動きたいというモチベーションも強いかもしれません。首都圏などに比べると交通網が弱くバスも非常に本数が少ないので、車で移動される方がほとんど。ですが、高齢になってくるとご自分では運転できず通院が難しいという方が多くいらっしゃいます。それで、どうにか姫路駅まで来ていただければ来院できるよう、駅前から送迎をしています。駅前のバス待合室で受付ができるようになっているのも、診療の効率をよくするためですね。 

――そのような工夫などがあり、実に年間900件以上もの手術を実施されていますね。 

確かに手術件数は長い年月をかけて増えましたが、件数が目的ではありません。患者さんに何ができるのかを最大限に考え、そのために効率化を重ねて工夫をした結果です。手術だけでなく、リハビリスタッフも一生懸命にやっています。患者さんによって何が正しいかは違いますし、試行錯誤の連続ですね。お一人お一人の状況をみながら、患者さんの負担を少なくしていくことを大切にしています。 

――患者さんへのアプローチとして、負担軽減のための効率化のほかにも大切にしていらっしゃることはありますか。 

総合病院などでは執刀した先生が何年かするといなくなる、ということもありますが、私たちの場合は、ここに来ればこの先生がいる、という印象になっていて、そこが患者さんの安心感につながっているという部分はあると思います。長い患者さんでは10年以上に渡るお付き合いになっていますし、学会で発表できるくらいのデータも蓄積しています。外来に通うのが大変という方も、お住まいの地域でリハビリなどができるように手続きしますし、そういった先生方と連携が取れるような努力や工夫は私たち医師だけではなく、事務方も含めてやっています。病院内での取り組みも、ドクター、ナース、事務方、技師などがきちんとチームを組んでおり、かなり力を入れているところです。

当院の理念は、ホームページでも掲載していますが「もし、患者さんが自分の家族だったら、私は何をすべきか。」ということ。恩師の言葉ですが、これは医療に限らずどんな仕事でもそうだと思っています。

――理念のもと、地域との連携、スタッフ同士の連携も大切にしていらっしゃるのですね。本記事はロコモティブシンドロームについて考えるものとなっていますが、ロコモの難しい部分はどのようなところでしょうか。 

ひとくちにロコモと言っても、まだお元気な方もいれば、難しい疾患を抱えている中で運動機能が衰えている方など、患者さんの背景がかなり多岐にわたります。ロコモだから筋トレしなさい、運動してください、と言ってもダメで、その方の背景に応じたアプローチが必要です。ロコモいう言葉でまとめてしまうとわかりやすい気がしてしまいますが、背景の違いが難しいところだと思いますね。 

――最後に、患者さんに向き合う医療従事者の方にメッセージをお願いします。 

世のため、人のため、熱意をもって一緒に頑張っていきましょう、という気持ちだけですね。医療従事者だから特別に、ではなく、どんな仕事でもそうだと思います。いいことがあるときは本当に嬉しいですが、嫌なことや辛いことも多く、心を折ることなく続けていくのは大変。なぜか嬉しかったことはすぐ忘れて、自己反省のほうがずっと大きいものです。そういう時にこそ、熱意が大切。ゴールの無いものですから、考えることをやめずに、工夫をしていくこと。その熱意が一番重要ではないでしょうか。

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大室 智士 氏

大阪医科大学卒業後、京都大学医学部整形外科学教室に入局。京都大学医学部附属病院、大阪赤十字病院、田附興風会北野病院、独立行政法人国立病院機構 姫路医療センター、関西電力病院を経て、大室整形外科 脊椎・関節クリニックの院長に就任。

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