多職種のチームを形成していくことで全員が病院の方向性を理解し、よりよい医療の提供につながる

竹田綜合病院

竹田綜合病院
住所:〒965-8585 福島県会津若松市山鹿町3番27号
電話番号:0242-27-5511
アクセス:会津若松駅よりバス約15分、タクシー約10分

――本田先生が医師を志したきっかけや、整形外科医としての専門分野についてお聞かせください。 

父が検査技師、母が看護師であり、小さいころから病院は身近な場所でした。そのため、ごく自然に医師になりたいと思うようになりました。専門は脊椎と股関節で、ある赴任先の病院長から脊椎に強い病院を紹介していただき、より専門的に取り組むようになりました。脊椎は手術後すぐに結果がわかる分野で、的確な神経学的所見と検査や画像からどこが悪いかを捉えていくことにはやりがいを感じます。股関節に関しては、その分野が得意な先生がいまして、その下で学ばせていただきました。関節の動きを計画通りに回復できるかどうかという技術的なことも求められることが多く、非常に深い分野だと思います。当院では、ナビゲーション人工関節手術も行っておりまして、今後、膝や股関節でも導入症例を増やしていきたいと考えています。

――会津若松の患者さんの傾向や、患者さんへのアプローチのために現在取り組んでいらっしゃることはなんでしょうか。 

やはり高齢の方が多いです。老老介護となっているケースも少なくなく、ご本人の治療にあたって、ご家族の介護について施設に預けるなどの段取りが必要になることもあります。そういった問題を解決して地域で医療介護を完結すべく、新しい病院の建設や回復期リハビリ病棟、長期療養ベッドなど、現在こちらで診ている急性期以外の患者さんもフォローできるように整えています。子どもたちのケアに関してはベッドスクールを導入しており、子どもから高齢の方まで、地域の方すべてを診られるようにしたいと考えています。また、「竹田地域医療フォーラム」を毎年秋に開催しておりまして、多くの市民の方々や病院OB・OGを含め楽しみにしてくれています。前回はバイオリニストを招いて演奏していただきました。病気のことだけでなく一般の方と病院をいろいろな面でつなぐことができればと思っています。

――研修医の育成や院内託児所など、スタッフへのサポートも手厚く行っていらっしゃるそうですね。 

当院は早くから臨床研修指定病院の指定を受けていましたし、研修医をはじめとした人材育成の土壌がもともとありました。そこに事務方なども含めて、改めてシステムを整えたという形です。以前からあった24時間のキッズルームを新しくするなど、病院スタッフが快適に働くための取り組みも積極的に行っています。会津は山に囲まれていて、すぐに他に行ける環境ではありません。私たちは全員、この病院が「最後の砦」という気概をもって患者さんに向き合っています。だからこそ、患者さんを受け入れるスタッフが健全に働けるようにしたいと考えています。

――近年、ロコモティブシンドロームが注目を集めています。ロコモへの対応の方針と、ロコモの考え方が広まることで得られるメリットについてお聞かせください。 

運動器疾患は年齢とともに増えてきますし、その障害の度合いも人それぞれに違います。その中で、医師に求められているのはやはり、外科的な対応になることが多いですが、治療としては術後や外来でのリハビリも大切です。財団全体では約200名のリハビリスタッフがいて、当院の整形外科に関しては、リハビリに関わるスタッフが40人ほどおり、これだけの規模で対応している病院は近隣ではあまりないと思います。また手術についても、適切なタイミングでやることが重要です。筋力が落ちてから手術をしても、リハビリが長くなる、狙ったところまで回復しない、ということが起こってしまいます。その時期の見極めは非常にセンシティブに考えています。人は動いていないと健康を保てません。骨粗鬆症などの治療でもそうですが、どれだけ動けるのかというのが大事で、それを中心に治療方針を考えていくことが重要だと整形外科では考えますが、他科だとまたアプローチが違ってくる。ロコモに関する考え方が広まり、運動も重要だという認識が広まれば、患者さんの健康寿命を延ばしていくことに直結していくのではないでしょうか。 

――最後に、記事を読んでいる医療従事者の方に、ともに向き合う仲間としてシェアしたいマインドをお聞かせください。 

私たちの病院では、さまざまなテーマについてチームで考えていくというプロジェクト会議と呼ばれる取り組みをおこなっています。ベッドコントロールから診療報酬対策、働き方改革、入退院支援、介護、福祉のことまで、いろいろなチームがありますが、そのチームメンバーは多職種共同になっています。医師、薬剤師、理学療法士、放射線技師など、いろいろな職種が参加し問題を解決するようにしています。そうすると、みんなが病院の方向性をよく理解できるようになり、取り組むべきことが見えてくる。働きやすく、みんながわかりやすい目的を共同でやりやすい環境を作る上では、同じ職種だけで固まるのではなく、いろいろな立場の人を呼んでチームを作ることが大事なのではないでしょうか。

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本田 雅人 氏 

金沢医科大学を卒業後、東北大学整形外科に入局。その後、東北大学の関連病院を数カ所経て、竹田綜合病院に着任。現在は同院の病院長を務める。

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