富士山やスキー場にも足を運び、山梨ならではの患者さんに親しみをもって寄り添う

山梨赤十字病院

山梨赤十字病院
住所:〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津6663-1
電話番号:0555-72-2222(代表)
アクセス:富士急行線河口湖駅よりバスで約8分、タクシーで約5分

――藤田先生が医師になろうと思ったきっかけや、整形外科医としてのご専門についてお聞かせください。 

小さいころに鼻の病気があって、小学1年の時に2回ほど手術をしました。その手術をしてくれたのが私のおじで、そのころから医師になることを漠然と考えていたように思います。私は整形外科の中でも膝関節や股関節などが専門ですが、人工関節などによって歩けなかった患者さんが歩けるようになり、とても喜んでくださっているのを見ると本当に嬉しいですね。怪我などの突発的事故ではなく、慢性的に長く悩まれている患者さんが多く、そのような中で私が手術することを選んでくださったわけですから、その想いに応えたいですね。

――患者さんに接する際に大切にしていらっしゃることはなんでしょうか。 

患者さんは医師である私に感謝してくださいますが、私も医師として患者さんが選んでくださったことに感謝しています。その感謝の気持ちはとても大事にしていますね。事務的になってしまうのではなく、ちゃんと気持ちの交流ができるように心がけています。 

――山梨という地域ならではの患者さんの特徴などはありますか。 

当院は、富士山での滑落や冬場のスキーやスノーボードでの事故などにおいて、ファーストタッチの病院となります。外傷の患者さんでは、この2つが地域的な特徴かもしれません。観光などでいらしている方は、どのタイミングで帰っていただくかを考える必要がありますし、なるべく早く、動ける状態で地元に帰っていただけるように配慮しています。また、実際にどのような状況で患者さんに怪我が起こってしまうのかを自分でも体感するために、スキーにも行きましたし、富士登山もしました。真冬はこの辺りもかなり気温が下がるため、スキー場の雪もカチカチに凍っていてかなり固くなっています。この固さが事故の原因のひとつだと実感しました。また、富士山は傾斜がかなり急で、下りの砂地ですごく滑りやすかったのを目の当たりにしました。それを経験しておくと、患者さんに状況をお聞きした時に、ある程度イメージすることができます。そういう部分を共有できることで、親しみをもって患者さんに接することができると思います。

――怪我でパニック状態の患者さんにとって、状況を理解してくれていると感じられる対応は安心材料のひとつになりそうです。ちなみに山梨赤十字病院では、災害医療への取り組みをされているそうですね。 

こちらは全国91カ所ある赤十字病院のひとつとして災害拠点病院となっておりますので、ブロックごとに分かれている災害時の派遣要請に対して救護班として応えられる体制を整えています。2023年10月には、山梨県の主催で富士山噴火に対する大規模訓練にも参加いたします。災害時において、整形外科医が担うべき役割は非常に大きいものと考えていますね。 

――ロコモティブシンドロームに関してのお考えもお聞かせください。 

私は2021年に山梨赤十字病院に赴任しましたが、ここの大腿骨頚部骨折の数を見返したところ2020年に比べて2021年は2倍に増えていました。これが全国的な傾向かはわかりませんが、コロナ禍の影響が大きいように思います。この地域では、高齢者の方がコロナ禍のピークの頃に自粛をしっかりとされていて、自粛がやや解除となった際に、結局運動や日々の生活でも動かなくなっていたこともあって運動能力が落ちてしまい、骨折につながったのではないかと考えています。運動能力の低下を改善するために、地域の皆さまに伝わるような方法で情報を発信し、啓発していきたいですね。例えば、この辺りではケーブルテレビをご覧になっている方が多いので、そこでローカルに向けて発信できると良いかもしれません。運動やストレッチは、ご自身に頑張っていただくしかないですし、その頑張りにゴールはなく一生続いていくものです。なので、実際に患者さんなどにお伝えするときも、無理をせず続けていくために、強い態度で接することなく、動くためのハードルを下げて接しています。プールに行くといいですよ、と言っても難しい人には難しいですから、日常の中で継続してできることから、まず取り組んでいただきたいですね。 

――最後に、記事を読んでいる医療従事者の方へメッセージをお願いします。 

患者さんとすべてを共有することはなかなか難しいと思いますし、口頭で伝えるだけでは伝わりにくいことも多いです。そういう意味では、リハビリの段階でも、口で伝えるだけでなく人の手を使った指導をしていただくようにお願いしています。総合病院ではなかなか大変な部分がありますが、そういった手取り足取り対応していただけるところとしっかり連携をとりながら、ともに患者さんと向き合っていければと思っています。

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藤田 将勝 氏

昭和大学医学部を卒業。東京共済病院、東京都立荏原病院などを経て山梨赤十字病院へ。現在、同院で整形外科部長を務める。

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