習志野第一病院
習志野第一病院
住所:〒275-0016 千葉県習志野市津田沼5-5-25
電話番号:047-454-1511
アクセス:京成津田沼駅より徒歩約3分
――三橋先生が医師を志したのは、どのような経緯からでしょうか。
父が医師だったこともあり、私も医師にならなければと当時は思っていました。頭が良かったわけではなく、必死に勉強をしていたというのが本当のところです。
医師を目指してともに勉強をしていた仲間の中で、結果的に私だけが医師になれたのですが、仲間たちの医師になりたかった気持ちを知っているからこそ、「あいつだったらもっとやっているはず」と、今、医師として仕事をする大きなモチベーションにつながっています。
――数ある診療科の中から整形外科を選ばれた理由と、ご専門の分野を教えてください。
整形外科は親と同じではありますが、学生時代に膝の靭帯を切ったり、バイク事故で肩の手術をしたりと、患者として整形外科にかかっていたことがあります。だからこそ、患者さんが医師に期待している気持ちも理解できるつもりです。専門は関節で、自分の専門領域で力を発揮できることは嬉しいですね。また、骨盤外傷については、かつては対処できないことも多くあり、千葉県の救命センターにいた頃に悔しい思いをしたこともありました。ここでの経験は、今の自分にすごく繋がっていると思います。最近は対応できる医師も増えていますが、まだまだ自分でやるべきこともたくさんあります。それと同時に、後輩を育てていかなければという気持ちもありますね。
――2019年に新病棟の設置、2022年11月には骨粗鬆症外来を開設と、近年は積極的に病院のアップデートに取り組まれていますが、どのような思いで実施されているのでしょうか。
当院では基本的にコロナの患者さんの外来は受け付けていないのですが、コロナ禍を受けて患者さんが非常に増えました。大きな病院がコロナ対応のために怪我などを診る部門を縮小していることで、骨折などの救急患者さんを受け入れる場がなくなっていたんです。コロナの波が高いほど、当院の救急も増えるという経験をしました。そして、骨粗鬆症に伴う骨折患者さんの入院も増えていたんですね。そういう患者さんは骨折を治せばいい、というものではありません。認知症や内科的疾患など、何かしらの身体の不良があって最後に転んで骨折しているので、他科との連携が必要になり、とても整形だけでは対応しきれないところがあります。そこで、2022年11月より骨粗鬆症外来を開設しました。実は骨粗鬆症については2013年ごろから患者さん向けの公開講座などで取り組んできていましたが、コロナ禍の影響もあり滞っていました。2040年に向けて高齢化はどんどん進み、骨粗鬆症の患者さんも増えていくと考えられます。今後は積極的にいろいろなことを実施できればと思っています。患者さんもいろいろな方がいらっしゃいますので、医師の言うことはなかなか聞けないけれど、看護師さんや理学療法士さん、作業療法士さんの言葉なら聞き入れてくれるという場合もあるんです。栄養のことなども、医師から言われるよりも栄養士さんからしっかり教わった方が、よりよく伝わる。そうやって多職種で患者さんにアプローチできるといいと思っています。そして、職種だけでなく自治体や医師会などでも、そういう話し合いができるようになればと願っていますね。
――患者さんに接する際に大切にしていらっしゃることは、どのようなことでしょうか。
継続的に正しい医療を提供したいと私たちは常に考えています。でも、それが難しい。私たちには当たり前にできることであっても、例えば、決まった時間に服薬する、ということ自体が患者さんにとっては難しいことだったりするんです。だからこそ、患者さんの生活スタイルや今後の暮らし、どんなお住いなのかなどまで考えて、できるだけ寄り添って診療していくことを意識しています。そして、患者さんご自身で「治さなきゃ」という意識を持っていただけるよう、私たちが伝えていかなければと思います。
――最後に、記事を読んでいる医療従事者に向けてメッセージをお願いします。
コロナ禍の中、私たちの病院では一貫してコロナ外来をしてきませんでした。そのことについて、正直に申し上げて負い目がゼロではありません。ですが、私たちは私たちのできることを十分にやろうと考えていますし、すごく忙しい状況にある中でも意味のある仕事をしてきたと思っています。だから国難ともいえる状況の中で、どんな環境であっても医療従事者としてやってきたことに、みんな自負をもっていい。今後30年、40年と世の中が変化していく中で求められていくこともどんどん変わっていくと思います。その中でも自分がやるべきことを信じて、誇りをもって取り組んでいただきたいです。私自身も、医療にかかわる人々を心からリスペクトしています。
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三橋 繁 氏
千葉大学医学部を卒業後、千葉大学整形外科教室に入局。その後、千葉県救急医療センター、米国アンダーソン整形外科研究所の外国人臨床研究員(人工関節)、東邦大学医学部客員講師などを経験。2016年に習志野第一病院の院長に就任。