患者さんに対する骨粗鬆症指導とIC用タブレットの活用

2020.10.08

啓明会 喜多整形外科
院長 喜多 章介 先生・看護チーフ 手島 佳子 看護師
〒561-0834大阪府豊中市庄内栄町1丁目8番3号

※ご所属は、制作当時のご所属です。
喜多整形外科 院長 喜多 章介 先生(左)・看護チーフ 手島 佳子 看護師(右)

骨粗鬆症治療で感じていた課題

喜多先生:まず当院の体制は基本的に1診で私と手島看護師で診療を回しています。また大阪の下町のエリアなので高齢者の方が多く、およそ8割は腰や膝の痛みで来られます。腰の痛みが持続する患者さんは骨粗鬆症の疑いがあるので骨粗鬆症のスクリーニング検査を致します。大体半数の方が骨密度の検査で診断がつくのですが、骨粗鬆症にもレベルがあるので、重症度を診断するために画像的にはレントゲンだけではなくMRIも撮って総合的に診断します。重症度や陳旧性、新鮮骨折かなどが判定できたら、そこから薬物療法や、新鮮椎体骨折があるような場合はコルセットなど除痛の処置を致します。やる事が多く日々忙しいです。その中でも特に患者さんへのご説明はとても時間がかかります。皆さん「骨粗鬆症」という病態はなんとなく理解しているのですが、もちろん破骨細胞や骨芽細胞など骨代謝のことを深く理解していないので、そこから説明する必要があります。特に複雑な骨代謝マーカーの説明は元々自分で表を作って説明していたんですが、理屈から時間をかけて話しても患者さんがあまり理解してくれなかったりします。また注射剤を処方する際はより患者さんに納得してもらうのが難しく、なかなか忙しい診療の合間を縫って詳しく説明する時間もないので説明が少なくて済む治療薬を仕方なく処方するしかないこともしばしばありました。

手島看護師:骨粗鬆症治療に関してや、お薬のことは先生がかなり説明してくれるのですが、それでも一人の患者さんの介助や骨粗鬆症治療薬に関する説明と質問対応で20分くらいかかってしまっていて、忙しい時は丁寧に説明できない時もありました。後は先生もおっしゃってますが注射剤を使用するときは患者さんも抵抗感を示される事が多いので、患者説明用のパンフレットを使って丁寧に看護師の口から説明していたのですが、時間をかけてもご理解を頂くのが大変でした。

IC用タブレットの導入

喜多先生:元々は自分のiPadで色々な素材を使って骨芽細胞や破骨細胞に関しての説明を患者さんにしていたんですが、静止画で患者さんによくわからないと言われたり、忙しい中で説明してるのに患者さんに理解されないという課題があったので、旭化成ファーマさんから提供されたIC用タブレットを試験的に導入してみました。

手島看護師:いきなり注射ですという事に抵抗がある患者さんに対して、治療の重要性を理解してもらうために、テリボンの導入が決まった患者さんにはIC用タブレット上の「骨粗鬆症とは」、というところから「テリボンについて」、また「テリボンオートインジェクター」の動画の最初の部分も見てもらって、こんなのもあるよということを患者さんに伝えてます。

喜多先生:毎回使うようになって便利だなと思う部分は、1つは診療時間の効率化です。患者さんに動画を見てもらう15分間を他の事に充てられるようになったので、次の患者さんの診療をしたり、外来の回転率が上がるし、こちらも疲れないというメリットを感じています。2つ目は患者さんの目線で、患者さんもやはり時間をおいて情報を処理する事が必要で、急いで事実を伝えても患者さんが理解できない事も多いので、ゆっくり時間を取って動画で見てもらう事でご自身で一度情報を整理してもらうことが出来る所です。例えば、骨代謝マーカーの説明に苦労していましたが、一度骨代謝の動きをIC用タブレットで見ておいてもらうと患者さんもよく理解してくれるし説明がぐっと楽になるというメリットがありました。

手島看護師:私も当初患者さんの介助や診療で20分程度時間がとられていたのが、いったん見て頂いて、そのあと大体5分程度テリボンノートの話などをして終わる感じになったので時間が大分節約できるようになりました。IC用タブレットを使う事で骨粗鬆症のメカニズムなどの説明を代行してもらうことができるので、「これを見た後に何か質問があれば聞いてください」という形にできているのでものすごい楽です。患者さんの中には「こんなのもあるんやねー、勉強になったわ」などおっしゃられる方もいたり、ご家族で一緒にみて見終わった後に娘さんがお母さんに説明したりなど、患者さんの理解度を上げるのにも貢献していると感じます。

IC用タブレットのこれから

手島看護師:テリボンの週1回製剤に加えてテリボンオートインジェクターという自己注射の製剤も出ましたが、自己注射製剤を導入する際には患者さんにIC用タブレットで必ず動画をみていただいております。自己注射というところで抵抗感を示す患者さんも多いのですが、やはりいきなり口で説明するよりも最初に動画で見て頂いた方が、「これなら出来る」と思っていただきやすい印象です。その後、練習用キットを用いて患者さんに自己注射指導を行ってますがスムーズに導入できております。

喜多先生:IC用タブレットは診療の補助として欠かせないものとなっております。今は院内での初回の説明の時にしか使っておりませんが、今後は院内で動画を見て頂いて処方した後に、ご自宅でテリボンオートインジェクターの投与に関する動画をインターネットを通してみて頂くなど使い方の広がりはあると思っております。このツールでより多くの患者さんが骨粗鬆症に対する理解度を深めて、より良い骨粗鬆症治療が出来て行けばいいと思っております。


テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター製品情報
https://akp-pharma-digital.com/products/list/155

 

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