医療法人社団曙会 シムラ病院
診療部長 吉岡 徹 先生、部長 淺野 圭 先生、沖本 信和 先生
看護副師長 滝本 真由美 様、看護副主任 広森 友紀 様
〒730-0841 広島市中区舟入町3番13号
※ご所属は、制作当時のご所属です。
自己注射指導における課題
滝本看護師:当院の整形外科では骨粗鬆症外来と脊椎外来があるので、その二つに骨粗鬆症患者さんが集中する傾向にあります。他科などからコンサルで沖本先生の骨粗鬆症外来に患者さんが送られることもしばしばございます。大体一日平均30名くらいの患者さんを診ている中で、患者さんにはHR-pQCT、DXAを撮ってもらったり、採血をしてもらいます。その中でも看護師の役割としては採血や薬剤の説明に時間を使う事が多いです。
広森看護師:元々週1回のテリボンを使う事が多かったんですが、高齢の患者さんなどで毎週通院されるのがつらいような患者さんもいらっしゃるので、そういった患者さんにテリボンオートインジェクターを使うようになりました。ただ、やはり自己注射薬を処方すると「え、怖い、怖い」みたいなリアクションから始まって、指導する前には「私、そんなのできるんですか」とおっしゃられる方が多いです。
滝本看護師:やっぱり自己注射って、インスリンのイメージとかはありますよね。でも、説明するまでは、自分でそういうことをするんだっていう漠然とした不安を持たれる患者さんが多いですよね。
ミラーリングの実施
滝本看護師: 患者さんに自己注射指導をする際のフローは一度IC用タブレットに入っている自己注射に関するビデオを見て頂いて、患者さんにテリボンオートインジェクターの練習用キットを一本持ってもらって指導していました。それでも自己注射ということに患者さんが不安がっていたりすることも多いので、看護師も一緒にやるべきだというアイデアからミラーリングという患者さんと看護師が一緒に練習用キットを持って投与の練習をするという指導方法に変えました。指導をしていくと、「あ、これならできるわ」という感じに多くの患者さんがなります。最初に聞いた時には「注射」という言葉だけのイメージでネガティブな印象を持たれる方も多いみたいですね。
広森看護師:投与手順に関しても、やはり二本使って一緒にやると患者さんも覚えていただきやすい印象です。すんなり理解して頂けるというか受け入れが良い実感があります。今まで一本の時は患者さんにこうやってああやってという指示をしている感じだったのですが、ご高齢な方で、ご自身で実際に投与手法を見ないとよくわからないという患者さんもいらっしゃって困ったこともありました。ただ、この方法に変えてからはスムーズに導入出来ております。大体一人の患者さんに5分程度のお時間で説明させていただけるようになりました。 今までは2度目に診察に来られた際によくわからないという相談を受けたり、初診後に帰宅してから電話をもらう事もあったのですが、患者さんの理解度も上がり今はそうした相談もほとんどなくなりました。2回目に来られた時も練習用キットを用いて再指導をするのですが、むしろ患者さんの方が詳しくてうまく出来たりすることも多くて(笑)
骨粗鬆症治療での看護師との連携
吉岡先生: 多くの患者さんは注射薬という物に対して抵抗を示しますが、特に自己注射に対しては嫌がる患者さんもいらっしゃいます。実際にあったケースとしては、本当に体に薬液が入っているのか心配されるケースもありました。その患者さんには、病院でやってもらうと確実に体に入るので自分でやりたくないと実際に言われましたね。しかし、ご高齢で通院が困難な患者さんや同伴される家族の負担を考えると、必ずしも週に1回が患者さんの為にならないケースも多く、そのような患者さんにはテリボンのオートインジェクターを処方するようにしております。
淺野先生: テリボンオートインジェクターは医療ゴミが増えるという課題はありますが、当院では患者さんに必ず病院に持ってきてくださいと伝え、投与済みの薬剤のウインドウの色がきちんと変わっている事を確認し、薬液が出たという事をしっかり確認するというのをポリシーにしています。ただ吉岡先生もおっしゃるように、自己注射に関しては不安に思われる患者さんもいるので看護師さんのサポートはマストです。看護師チームは今回のミラーリングの手法など色々工夫をしてくれていて、患者さんを助けるという強い想いを持って活動してくれております。チームとしてより良い関係で、患者さんたちを中心にやって行ければ良いし、やるためにはこういった連携が不可欠だと思っています。
沖本先生: 患者さんは医師には言えない、言いにくい、言わないことが多いと思います。そこで、看護師さんたちから正しい情報やいろんなアドバイスをいただくことが非常に多いと感じます。そういった意味では、私もチーム医療の重要性を強く認識しています。
吉岡先生:骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者さんの治療にテリボンオートインジェクターという新たな選択肢が加わりより治療しやすい環境が出来ましたが、まだまだ治療全体で見ると解決すべき課題があると思います。今後の展望としては、看護師のチームには骨粗鬆症マネージャーの取得などに積極的に取り組んでもらって、そこを中心に患者さんの家族や他職種や、他の病院とかとの連携に発展をさせていきたいと考えております。
テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター製品情報
https://akp-pharma-digital.com/products/list/155