医療法人健生会 たつえクリニック整形外科・リハビリテーション科
院長 竜江 哲培 先生
〒532-0012 大阪府大阪市淀川区木川東2丁目2−2
有限会社アイメディカル アイ薬局木川店
薬局長 吉野 拓矢 先生
〒532-0012 大阪府大阪市淀川区木川東2丁目1−5
※ご所属は、制作当時のご所属です。
自己注射指導における課題
竜江哲培院長(以下竜江先生):当院は新大阪からも近くビジネス街の中にあり交通の便が良く幅広い層の患者さんがお越しになります。全体の6割くらいが高齢者の患者さんで、そのうち半分くらいは骨粗鬆症を合併されています。最近は骨粗鬆症に対する関心も高まってきているのか保健所で骨粗鬆症の可能性があると判断され来院される患者さんも増えてきました。おかげさまで毎日平均230名程度の患者さんにお越しいただいております。
吉野拓矢薬局長(以下吉野先生):私たちの薬局はたつえクリニックのいわゆる門前薬局です。当薬局の患者さんもおよそ6割が高齢の患者さんで、骨粗鬆症を合併している患者さんも多く、骨粗鬆症治療薬の処方機会は多いです。2名は薬剤師が常駐しているような体制で運営しております。
竜江先生:私たちのクリニックの診療体制は、現在は私と看護師が3名の計4名体制ですが、元々は私と看護師1名という計2名体制で診療をしておりました。2名体制の頃から骨粗鬆症の患者さんを診る機会は多く、骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者さんに自己注射製剤を処方したいと考えるタイミングも多かったのですが、やはり一日の外来の数も多い中で自己注射指導を丁寧に実施出来るだけの人員がいないというのが大きな課題でした。例えば、過去に自己注射製剤を用いた骨粗鬆症治療の必要性を5分かけて説明をしても「えー自分で注射ですか?」と断られてしまうようなケースもあり、スタッフが多くない中でクリニックで十分な説明を行うことに限界を感じていました。
薬局での自己注射指導の開始
竜江先生:先述したような課題を解決するために試行錯誤した結果、元々交流のあったアイ薬局の吉野先生に自己注射指導をお願いすることにしました。
吉野先生:初めに竜江先生から話を聞いた時はやったことがない試みでしたので、正直戸惑う部分がありました。しかし、困っている患者さんがいて患者さんのためになるのであればやるしかないと考え、手探りですがスタートすることにしました。始めるにあたってクリアすべき課題が2点ありました。
1点目は患者さんに説明するためのスペースです。骨粗鬆症患者さんの中には腰の骨折を合併して立っていられない患者さんがいたり、投与の際におなかを出してもらったりする必要があるので、座れる個室がないといけないということで、プライベートな空間で自己注射指導出来るスペースを作りました。
2点目は薬局に所属している薬剤師3名が同じレベルで指導出来るようにする必要があるということでした。その実現のために、指導が終わる度に「どんな患者さんでしたか?どんな質問がありましたか?」と、患者さんから頂いた意見を3名で共有して対応方法を話し合って一つ一つ解決してきました。例えばテリボンのオートインジェクターの処方に際して、2~8℃の場所に保管というのが分かりにくいよねということで、皆で考えて「冷蔵庫の卵のところに入れましょう」と伝えるなど、ご高齢の患者さんでも間違えないような工夫を皆で考えていきました。
竜江先生:最初は手探りで行っていましたが、進めていく内にこのやり方は「三方よし」というやり方になると確信を得ることが出来ました。患者さんにとっても最初に時間をたっぷり使って自己注射の説明をアイ薬局でしてもらうのはとても安心感があるようです。薬局にとっても初回にしっかり説明することで、信頼した患者さんが2回目以降も行かれることが多いようです。医師としても、そこまでの経験値を持っている薬局がサポートしてくれると、診療に集中出来るというメリットがありました。
吉野先生:私たちは初回が最も大事だと思って患者さんへの指導を実施しており、指導に30分程度かけています。1回目の指導が終わって帰られた後も「何か不安があればお電話してください」とお伝えしておりますが、テリボンのオートインジェクターに関しては基本的には電話されなくても2回目に来られた場合には既に慣れているケースが多い印象です。
竜江先生:病院で打つ薬であれば看護師さんに打ってもらっているという納得感もあるのですが、テリボンのオートインジェクターに関しては自分で打たれるので、患者さんも最初は不安に思っているはずです。僕たちは何回も処方しているのでお薬のことも分かっていますが、患者さんにとっては初めてのお薬です。その上で持たれている不安も大きくて、初回にアイ薬局で気持ちのケアも含めてしっかり説明してくれるのはかなり大きいです。僕が再診で診る患者さんからも、薬のフィードバックというよりも、ちゃんと薬剤師さんの名前を覚えてくれて、薬剤師さんがこんなにしてくれるんだっていうフィードバックが多いです。
テリボンのオートインジェクターと今後の取り組み
竜江先生:私は骨粗鬆症に限らず、患者さんに必要のない薬は処方せずに最小限で最大のパフォーマンスを出せるような形で治療していければと思っております。PTH製剤に関しては必要な患者さんには使うべきという意識で処方していますし、スタートしたからには2年間続けなくてはいけないと思っています。そのためには患者さんにも治療に参加してもらう必要があると考えておりますが、治療継続のためにも、アイ薬局という強力なパートナーが丁寧に説明してくれており、一緒に骨粗鬆症治療が出来ることでより多くの患者さんを診療して救えるので深く感謝しています。
吉野先生:正直、混んでいる時に自己注射指導をしなければいけない時などもあり、その場合は患者さんをお待たせしてしまうこともしばしばあります。テリボンのオートインジェクターは患者さんの受け入れも良く、指導にそこまで時間がかからない印象がありとても助かっております。そしてなにより、このお薬は針が見えないのが患者さんに紹介する際に助かっております。指導をしている身ながら、自分でも採血の時とか針が見えると未だにドキドキしてしまうので針が見えないことは患者さんに自信を持ってご紹介出来るポイントの一つです。
竜江先生:私が考える診療の理想形は、チームメンバーそれぞれが出来る事を行い効率を上げることで患者さんをお待たせしないようにすることです。私たち医師が目の前の患者さんの診察に集中できるのはコメディカルの協力があってこそ、と考えております。工夫をしながら、しっかりチームとしてそれぞれの役割を持って患者さんの治療に取り組むことで、より良いチーム医療が出来ると信じております。
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