都市型リエゾンサービスとアドヒアランスプログラム

2021.07.01

立正佼成会附属佼成病院
整形外科 手術部部長 大畑 徹也 先生
看護師 床次 英美 様
看護師 吉田 祥子 様
栄養部部長 佐々木 裕子 様
リハビリ科 中条 賀央 様
メディカルアシスタント(MA) 神谷 咲絵 様
〒166-0012東京都杉並区和田2丁目25番1号

※ご所属は、制作当時のご所属です。

立正佼成会附属佼成病院 大畑 徹也先生

都市型リエゾンサービスとは

------佼成病院の骨粗鬆症治療に関して教えてください
大畑 徹也 先生:当科では1日で通常40~50名の外来患者さんを1人で診ます。通常外来に加えて骨粗鬆症外来を「都市型リエゾンサービス]という私たちが考えた名称で実施しておりますが、リエゾンサービスにより本気で骨粗鬆症に向き合うと、1日6~8名くらいしか診られません。現状一次骨折予防も二次骨折予防も診ております。

------どうしてリエゾンサービスを始めようと思ったのですか?
大畑 徹也 先生:外傷専門であった私が、以前勤めていた東大和病院で骨粗鬆症外来を任され、徐々に骨粗鬆症治療の重要性に気付いていきました。リエゾンサービスを経験しながら、患者さんにとってより良い治療は何かと考えたときに「骨折させない、骨折しても次の骨折をさせない」という目標のために頑張ろうと思い、佼成病院に赴任してリエゾンサービスを開始しました。

------リエゾンサービスに関して教えてください
大畑 徹也 先生:当初は東大和病院のやり方を極力踏襲する形で始めました。OLS(骨粗鬆症リエゾンサービス)チームで東大和病院への見学も行い、いくつか課題が見つかりました。
課題は大きく二つあり、ひとつは、最少人数で医療を提供しているため、新しい業務を始めるには医療者が多忙であるということ。加えて、患者さん自身が多忙であるということです。まず、ゼロから始めるにあたって多くの人を巻き込まないといけません。初めてのことに追加で時間を割くのは皆さん嫌がるという課題がありました。一方で患者さんの側にも、何度も通院するような時間がないという課題がありました。診察して、帰宅して、またリハビリに来るというのは効率が悪いと感じていました。

------どのように解決しましたか?
大畑 徹也 先生:診察、リハビリ、栄養管理、服薬指導がすべて同時にできるように、合計1時間というリミットを設けて隣接する外来を三つ使って実施しました。こうすることで忙しい医療者の時間を効率よく使うことができ、患者さんも何度も病院を往復することなく満足して帰っていただけることが分かりました。

(左から)大畑先生、リハビリ科 中条様、栄養部部長 佐々木様、MA 神谷様

------各職種の役割とリエゾンサービスに対する想いについて教えてください
中条 賀央 様:私たちは先生が診療する横のブースで患者さんのリハビリを診ています。先生の診察で運動器不安定症と診断された患者さんに対して、立ち方などの評価を行っております。指導ではなく評価をすることで、患者さん自身が早期に現状を理解することができます。評価することは、短時間でわがこととしてとらえてもらうための非常に重要なポイントだと思っています。
最初に先生に誘われたときは正直よく分からなかったし、経験のない業務にチャレンジすることに対する恐怖心がありましたが、2年間やってみて先生のビジョンが見えて、今では骨粗鬆症治療をいかによくするかということを常に考え、自分からいろいろ調べたりしています。OLSチームは相加的にではなく、相乗的に患者さんのフォローが充実している印象があります。

佐々木 裕子 様:私たちの担当は骨粗鬆症患者さんへの栄養指導です。突然いらっしゃる骨粗鬆症患者さんはどのような合併症があるかや、過去の病歴などを確認できません。そのため事前に準備ができないところに苦労しました。通常の栄養指導は患者さんの背景が事前に分かるので準備して始められるのですが、骨粗鬆症の場合は突然患者さんが来るので事前情報がないんです。
なので、私たちもしっかり骨粗鬆症の知識を身につけて、かつ柔軟な対応ができるようにスキルを上げる努力しました。結果、忙しいから30分も時間を取れないという患者さんばかりの中で、私たちが話をし始めると質問攻めにあって、30分を超えてしまうようなことが頻繁に起こっております(笑)。

神谷 咲絵 様:私の役回りは患者さんとスタッフの割り振りです。先生の診療が終わった患者さんをリハビリ、栄養指導、看護師による薬剤指導などに割り振る仕事です。FRAX(骨折リスク評価ツール)やアンケートの内容を転記したり、内容を事前に把握しながら、皆が忙しい中で患者さんや医療者にとって最も効率がよい方法を、常に頭をフル回転させながら采配していく役回りです。

大畑 徹也 先生:すべての役職が大事で、1人でも欠けると回らないんですよね。便宜的に都市型と言っていますが、病院だと全国的に医療者も患者さんも忙しく、なかなか骨粗鬆症治療に手が回らないことが多いと思います。都市型リエゾンサービスは、「短時間」「全力」がキーワードです。そのためにすべてのOLSメンバーに物理的に近距離で取り組んでもらっていることが、うまくいっている理由かもしれません。


アドヒアランスプログラムの導入

看護師 床次様(左) 看護師 吉田様(右)

------看護師はどのような役割ですか?
大畑 徹也 先生:主に服薬指導や、患者さんの質問対応です。当科の看護師は骨粗鬆症治療の経験が非常に長く、知識が豊富でモチベーションも高いです。

------骨粗鬆症治療の課題はありますか?
吉田 祥子 様:リエゾンサービスを提供していますが、とにかくバタバタ走り回るほど忙しいことです。当科のデータだと処方されたお薬が「テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター」の場合は、指導時間が30分もかからなくなりました。ただ、それでも時間が足りないと感じることが多いです。

------「Re-Bone倶楽部」(アドヒアランスプログラム)を始めたきっかけは何ですか?
床次 英美 様:時間が足りないので、患者さんのモチベーションを上げるような形で丁寧に説明しきれないことが多かったんです。なのでこのプログラムを紹介されたときに、患者さん目線のメッセージが多く、疾患についての説明や治療意義が伝わりやすい内容だったため、無料で患者さんのモチベーションが上がるならやってみようと始めました。

------どのように紹介してますか?
吉田 祥子 様:「2年間は長くて大変だから、私たちも全力で応援します。骨粗鬆症のお薬のメーカーさんも一緒に応援してくれるので登録して頑張ろうね」と説明しています。「レシピやカレンダーが送られてくるよ」と言うと、ほとんどすべての患者さんが「じゃあやってみる」とその場ではがきに記入して登録してくれます。

------アドヒアランスプログラム反応
床次 英美 様:レシピが届いた患者さんから、「レシピの料理たくさん作ってますよ」と言っていただけることがあり、すごくうれしいです。実際に患者さんも手に取って読んでくれているということが分かります。

------今後の目標は何ですか?
大畑 徹也 先生:私たちが感じている課題は大きく二つ。ひとつは骨粗鬆症治療の継続率、もうひとつは自分たちのキャパシティです。前者に関してはRe-Bone倶楽部などを使ってデータを取りながら、改善するようにいろいろとアクションを起こしています。後者の解決のためには地域連携が不可欠だと思っています。地域全体で連携して、例えばリハビリと栄養相談だけ当院でやるなどうまく効率化していければ、より質の高い医療をより多くの骨粗鬆症患者さんにお届けできると信じております。

立正佼成会附属佼成病院 OLSチームの皆様


テリボン皮下注28.2μgオートインジェクター製品情報
https://akp-pharma-digital.com/products/list/155

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