国際共同第Ⅲ相試験[E5501-G000-311試験/ADAPT-2試験]

有効性

1. ランダム割り付けから待機的な観血的手技の7日後までの出血に対する血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合(レスポンダー割合)〔主要評価項目〕 検証的解析結果

ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)におけるレスポンダー割合は、プラセボ群34.9%、ドプテレット60mg群68.6%、群間差は33.7%(95%CI:15.8, 51.6)であり、ドプテレット60mg群ではプラセボ群に比べてレスポンダー割合が有意に高いことが示されました。
また、ベースラインの血小板数が高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)におけるレスポンダー割合は、プラセボ群33.3%、ドプテレット40mg群87.9%、群間差は54.6%(95%CI:36.5, 72.7)であり、ドプテレット40mg群でもプラセボ群に比べてレスポンダー割合が有意に高いことが示されました。
以上の結果から、レスポンダー割合におけるドプテレットのプラセボに対する優越性が検証されました。

ドプテレット

2. 待機的な観血的手技日に血小板数が目標とした50,000/μL以上に達した被験者の割合(レスポンダー割合)〔副次評価項目〕

ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)におけるレスポンダー割合は、プラセボ群7.0%、ドプテレット60mg群67.1%、群間差は60.2%(95%CI:46.8, 73.5)であり、ドプテレット60mg群ではプラセボ群に比べてレスポンダー割合が有意に高かったことが示されました。
また、ベースラインの血小板数が高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)におけるレスポンダー割合は、プラセボ群39.4%、ドプテレット40mg群93.1%、群間差は53.7%(95%CI:35.8, 71.6)であり、ドプテレット40mg群でもプラセボ群に比べてレスポンダー割合が有意に高かったことが示されました。

ドプテレット

3. ベースラインから待機的な観血的手技日までの血小板数の変化量〔副次評価項目〕

ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)におけるベースラインから待機的な観血的手技日までの血小板数の変化量は、プラセボ群3,000/μL、ドプテレット60mg群31,300/μL、群間差は25,400/μL(95%CI:19,500, 32,000)であり、ドプテレット60mg群ではプラセボ群に比べて血小板数の変化量が有意に大きかったことが示されました。
また、ベースラインの血小板数が高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)におけるベースラインから待機的な観血的手技日までの血小板数の変化量は、プラセボ群5,900/μL、ドプテレット40mg群44,900/μL、群間差は36,300/μL(95%CI:25,500, 45,500)であり、ドプテレット40mg群でもプラセボ群に比べて血小板数の変化量が有意に大きかったことが示されました。

ドプテレット

4. 各来院時での血小板数〔探索的評価項目〕

ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)及びベースラインの血小板数が高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)における各来院時での血小板数の推移は以下のとおりでした。

ドプテレット

安全性

1. 副作用

ベースラインの⾎⼩板数が低いコホート(40,000/μL未満)における副作⽤はプラセボ群20.9%(9/43例)、ドプテレット60mg群8.6%(6/70例)、ベースラインの⾎⼩板数が⾼いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)における副作⽤はプラセボ群6.1%(2/33例)、ドプテレット40mg群7.0%(4/57例)に認められ、その内訳は下表のとおりでした。

ドプテレット

2. 重篤な副作用

本試験において、プラセボ群及びドプテレット群で重篤な副作⽤は認められませんでした。

3. 投与中止に至った副作用

本試験において、プラセボ群及びドプテレット群で投与中⽌に⾄った副作⽤は認められませんでした。

4. 死亡

死亡は、ベースラインの⾎⼩板数が⾼いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)におけるプラセボ群で1例(急性⼼筋梗塞・多臓器機能不全症候群)に認められましたが、治験薬と関連なしと判断されました。

試験概要

目的 血小板減少症を伴う慢性肝疾患患者での、ランダム割り付けから待機的な観血的手技の7日後までの出血に対する血小板輸血及び止血処置の回避率について、ドプテレット(血小板数40,000/μL未満の被験者には60mg、40,000/μL以上50,000/μL未満の被験者には40mg)のプラセボに対する優越性を検証する。
試験デザイン 国際共同、多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験
対象 待機的な観血的手技を予定する血小板減少症を伴う成人の慢性肝疾患患者204例(日本人50例を含む)
方法

ランダム化前期間には、被験者の血小板数が2回測定(2回の測定がいずれも60,000/μL以下、2回の測定の平均値が50,000/μL未満)され、ベースラインの平均血小板数に基づいて「ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)」又は「ベースラインの血小板数が高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)」のいずれかに分けられた。各コホート内で被験者をさらに待機的な観血的手技の出血リスク(低、中、高)※1及び肝細胞癌の状態(あり、なし)により層別し、プラセボ群又はドプテレット群にランダムに1:2で割り付けた。
ランダム化期間には、プラセボ又はドプテレットが1日1回、5日間食後経口投与された。ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)の被験者にはドプテレット60mg、ベースラインの血小板数が高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)の被験者にはドプテレット40mgが投与され、治験薬の最終投与の5~8日後に予定された待機的な観血的手技を実施した。
フォローアップ期間には、治験薬の最終投与の30日後まで被験者の追跡調査を行った。
血小板数はDay 4、Day 10~13(待機的な観血的手技日)、待機的な観血的手技の7日後及びDay 35に測定した。

  • ※1:許容された待機的な観血的手技とその出血リスク
ドプテレット
ドプテレット
  • ※2:血小板数はスクリーニング期間中とベースライン時に1日以上空けて2回測定し、いずれも60,000/μL以下でなければならなかった。この2回の測定の平均値を選択基準(ベースラインの平均血小板数が50,000/μL未満)及びベースラインの血小板数の判定に使用した。
  • ※3:治験薬投与期間中のDay 4(±1日)に実施した。
  • ※4:来院5(待機的な観血的手技の7日後)の許容期間を+3日間とした。
  • ※5:来院6(Day 35)の許容期間を+3日間とした。
主な選択基準
  • 18歳以上
  • 慢性肝疾患
  • ベースラインの平均血小板数が50,000/μL未満
  • 本試験で許容される待機的な観血的手技を予定しており、ベースラインから臨床的に意義のある血小板数の増加がない場合に、待機的な観血的手技の出血リスクに対処するため、治験担当医師により血小板輸血が必要と判断されている
  • スクリーニング時のModel for End-Stage Liver Disease(MELD)スコアが24以下
  • ベラパミル以外のP-糖蛋白質(P-gp)阻害剤を服用している場合は、スクリーニング検査前7日間の用量に変更がない  など
主な除外基準
  • 動脈又は静脈の血栓症(部分閉塞又は完全閉塞を含む)の既往を有する
  • スクリーニング時に門脈本幹、門脈枝、一部の脾臓腸間膜系に血栓症(部分閉塞又は完全閉塞)の現病を有するエビデンスが認められている
  • スクリーニング時の門脈血流速度が10cm/s未満
  • 治療困難な肝性脳症
  • Barcelona Clinic Liver Cancer(BCLC)病期分類C又はDの肝細胞癌
  • スクリーニング検査前7日以内に血小板輸血又は血小板を含有する血液製剤の輸血を受けている(ただし、濃厚赤血球輸血を受けた患者は除外しなくてよい)
  • スクリーニング検査前7日以内に、ヘパリン、ワルファリン、非ステロイド性抗炎症薬、アスピリン、ベラパミル、又はチクロピジン、もしくはGPⅡb/Ⅲa拮抗薬(例:tirofiban)などの抗血小板剤を使用  など
有効性評価項目

〔主要評価項目〕

  • ランダム割り付けから待機的な観血的手技の7日後までの出血に対する血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合(レスポンダー割合)

〔副次評価項目〕

  • 待機的な観血的手技日に血小板数が目標とした50,000/μL以上に達した被験者の割合(レスポンダー割合)
  • ベースラインから待機的な観血的手技日までの血小板数の変化量

〔探索的評価項目〕

  • 各来院時での血小板数  など
安全性評価項目
  • 有害事象  など
解析計画

有効性の解析

有効性の解析は、すべてのランダム割り付けされた被験者集団(FAS)を主要な解析対象集団として実施した。
主要評価項目である「ランダム割り付けから待機的な観血的手技の7日後までの出血に対する血小板輸血及び止血処置を回避した被験者の割合」は、コホート別[ベースラインの血小板数が低いコホート(40,000/μL未満)又は高いコホート(40,000/μL以上50,000/μL未満)]に、ドプテレット60mg群又は40mg群とそれぞれのプラセボ群を有意水準α=0.05で比較した。検定には、待機的な観血的手技の出血リスク(低、中、高)を調整した一般化Cochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定を用いた。本試験の主要評価項目は、ベースラインの血小板数で分けられた両コホートで、ドプテレット群のレスポンダー割合が有意に高い場合に検証されたと判断した。
副次評価項目は、有効性の主要評価項目について両コホートで統計学的に有意な場合のみ、以下の2つを解析することとした。1つ目の副次評価項目である「待機的な観血的手技日に血小板数が目標とした50,000/μL以上に達した被験者の割合」は、コホート別にドプテレット60mg群又は40mg群とそれぞれのプラセボ群を有意水準α=0.05で比較した。検定には、待機的な観血的手技の出血リスク(低、中、高)を調整した一般化CMH検定を用いた。1つ目の副次評価項目について両コホートでドプテレット群が統計学的に有意な場合のみ、2つ目の副次評価項目である「ベースラインから待機的な観血的手技日までの血小板数の変化量」を解析することとし、コホート別にWilcoxonの順位和検定により有意水準α=0.05で比較した。
探索的評価項目として「各来院時での血小板数」を評価した。なお、事前の解析計画に従い、有効性のサブグループ解析として、日本人集団の評価を実施した。

安全性の解析

安全性の解析は、治験薬が1回以上投与され、投与後の安全性評価が1回以上実施された被験者集団(安全性解析対象集団)を対象に実施した。

社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(E5501-G000-311試験)(2023年3月27日承認、申請資料概要2.7.6.19)(承認時評価資料)
Terrault N, et al.:Gastroenterology 155:705, 2018(PMID:29778606)[著者にDOVA社(現Swedish Orphan Biovitrum Japan)社員が含まれる。]

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