PhaseⅢにおける待機的な観血的手技

日本人成人慢性ITP患者を対象とした血小板減少症の治療におけるドプテレットの有効性及び安全性を評価する非盲検試験

有効性

コア期

血小板反応の累積週数〔主要評価項目〕検証的解析結果

血小板反応の累積週数(26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、血小板数が50,000/μL以上となった累積週数)の平均値は13.47週(95%CI:9.13, 17.80)でした。95%CIの下限値9.13週は、事前に規定した本試験の有効性閾値8.02週以上であり、ドプテレットの有効性が検証されました。

国内第Ⅲ相試験(AVA-ITP-307試験):検証的試験

血小板数の中央値の推移〔その他の評価項目〕

26週間の投与期間における血小板数の中央値の推移は以下のとおりでした。

用法・用量レベルの調節方法

Day 8の血小板反応率〔重要な副次評価項目〕

Day 8の血小板反応率(救援療法を実施せずに、Day 8の血小板数が50,000/μL以上であった被験者の割合)は63.2%(12/19例)でした。

用法・用量レベルの調節方法

ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量/使用中止した被験者の割合〔その他の評価項目〕

ベースライン時に併用するITP治療薬を使用していた9例(副腎皮質ステロイド薬8例、シクロスポリンA注)1例)のうち、ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量した被験者は5例(副腎皮質ステロイド薬4例、シクロスポリンA注)1例)、使用中止した被験者は1例(副腎皮質ステロイド薬1例)でした。

  • 注)国内適応外
用法・用量レベルの調節方法
  • 例数
    解析対象集団:FAS
  • ※1: ベースライン時にITP治療薬を併用していた被験者で、26週間の投与期間中に同一の治療薬のベースライン以降すべての1日当たりの総使用量がベースライン時以上に増えることなく減量した、又はベースライン以降にITP治療薬を使用しなかった被験者
  • ※2: ベースライン時にITP治療薬を併用していた被験者で、26週間の投与期間の最終投与前にすべてのITP治療薬の使用を中止した被験者

社内資料:国内第Ⅲ相試験(AVA-ITP-307試験)(2025年8月承認、申請資料概要2.7.6.1)(承認時評価資料)
Yamaguchi H, et al.:Int J Hematol 2025 May 20. doi:10.1007/s12185-025-04001-4. Online ahead of print.
(PMID:40392465)

持続血小板反応率〔その他の評価項目〕

持続血小板反応率[26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、最後の8週間のうち6週間以上(75%以上)で血小板数が50,000/μL以上となった被験者の割合]は42.1%(8/19例)でした。

用法・用量レベルの調節方法

安全性

コア期

1.副作用

コア期における副作用は15.8%(3/19例)に認められ、その内訳は下表のとおりでした。

用法・用量レベルの調節方法

2.重篤な副作用

本試験のコア期において、重篤な副作用は認められませんでした。

3.投与中止に至った副作用

本試験のコア期において、投与中止に至った副作用は認められませんでした。

4.死亡

本試験のコア期において、死亡は認められませんでした。

社内資料:国内第Ⅲ相試験(AVA-ITP-307試験)(2025年8月承認、申請資料概要2.7.6.1)(承認時評価資料)
Yamaguchi H, et al.:Int J Hematol 2025 May 20. doi:10.1007/s12185-025-04001-4. Online ahead of print.
(PMID:40392465)

試験概要

目的 26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、血小板数が50,000/μL以上となった累積週数に基づき、日本人成人慢性ITP患者におけるドプテレットの有効性を評価する。主要評価期(コア期)とともに、ドプテレットの長期投与の安全性及び忍容性を評価する(継続期)。
対象 過去のITP治療が効果不十分であり、2回測定した血小板数の平均値が30,000/μL未満であった日本人成人慢性ITP患者19例
試験デザイン 多施設共同、非盲検、非対照試験
方法

(コア期)
すべての被験者で、ドプテレットの食後経口投与を20mg1日1回から開始した。投与開始後、血小板数、症状に応じた用法・用量の調節レベル及び調節方法(p.3参照)に従って、ドプテレットの用法・用量を調節しながら26週間投与した。用法・用量の最大レベルを40mg1日1回、最小レベルを20mg週1回とした。
併用するITP治療薬の減量期間(第6週から12週間)では、併用するITP治療薬の減量を可能とした。

用法・用量レベルの調節方法
有効性評価項目 (コア期)

〔主要評価項目〕

  • 血小板反応の累積週数(26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、血小板数が50,000/μL以上となった累積週数)〔検証的な解析項目〕

〔重要な副次評価項目〕

  • Day 8の血小板反応率(Day 8の血小板数が50,000/μL以上であった被験者の割合)

〔その他の評価項目〕

  • 血小板数の中央値の推移
  • ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量/使用中止した被験者の割合
  • 持続血小板反応率[26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、最後の8週間のうち6週間以上(75%以上)で血小板数が50,000/μL以上となった被験者の割合]  など

<救援療法について>

  • 救援療法は血小板数の増加が緊急に必要な場合に考慮された(例:血小板数が10,000/μL未満などのような生命を脅かす血小板減少症、大出血、出血の可能性を示唆する臨床症状又は徴候)
  • 救援療法は以下のように定義された。なお、TPO受容体作動薬は使用不可とした
    • ITP治療薬又は血小板減少症の治療薬の追加(例:副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリンの静注療法、抗D免疫グロブリン療法、ミコフェノール酸モフェチル注)、アザチオプリン注)、ダナゾール注)、シクロスポリンA注)、血小板輸血)
    • ベースラインで併用しているITP治療薬の増量
  • 注)国内適応外
安全性評価項目
  • 有害事象  など
解析計画

有効性の解析(コア期)

有効性の解析は、本試験に組み入れられたすべての被験者集団(FAS)を主要な解析対象集団として実施した。
主要評価項目の事前に規定した閾値は、血小板数が50,000/μL以上となる累積週数の平均値の95%信頼区間(CI)の下限値が8.02週※以上とした。重要な副次評価項目及びその他の評価項目の95%CIはClopper-Pearsonの正確検定法を用いて算出した。
救援療法の使用後は、すべての測定で血小板反応なしとみなした。

  • ※: 日本人成人慢性ITP患者を対象としたエルトロンボパグの26週間非盲検継続試験(TRA108109試験)で得られた血小板反応(50,000/μL以上)の累積
    週数[11.2週(95%CI:8.02, 14.38)]に基づき、臨床的に意味のある有効性の閾値として設定した。

安全性の解析

安全性の解析は、治験薬が1回以上投与され、投与後の安全性評価が1回以上実施された被験者集団(安全性解析対象集団)を対象に実施した。

主な選択基準 (コア期)
  • 18歳以上
  • 慢性ITP(12ヵ月以上持続)と確定診断され、過去のITP治療の効果が不十分と治験責任医師により判断された患者
  • 2回測定した血小板数の平均値が30,000/μL未満であった患者(いずれの測定値も35,000/μLを超えない。2回の測定は、48時間以上及び2週間以内の間隔で実施)
主な除外基準 (コア期)
  • 既知の二次性ITP患者[Helicobacter pylori 菌感染によるITP、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)若しくはC型肝炎ウイルス(HCV)感染、又は全身性エリテマトーデスなど]
  • 既知の遺伝性血小板減少症(MYH-9異常症など)又は遺伝性血栓性障害(第V因子ライデン、アンチトロンビンⅢ欠乏症など)
  • 骨髄異形成症候群の既往のある患者
  • 動脈又は静脈の血栓症の既往のある患者
  • 重大な心血管系疾患[ニューヨーク心臓協会分類Grade Ⅲ/Ⅳのうっ血性心不全、血栓・塞栓イベントのリスク上昇が確認されている不整脈(心房細動など)、狭心症、冠動脈ステント留置術、血管形成術及び冠動脈バイパス術など]の既往のある患者
  • 肝硬変、門脈圧亢進症又は慢性活動性肝炎の既往のある患者
  • 悪性疾患を併発している、又はITP治療以外の理由で細胞障害性化学療法を受けている患者
  • Day 1(ベースライン)前1週間以内に免疫グロブリン(免疫グロブリン大量静注療法及び抗Dヒト免疫グロブリン製剤)を使用又は副腎皮質ステロイド薬救援療法を実施した患者
  • Day 1(ベースライン)前12週間以内に脾臓摘出術を実施又はリツキシマブを使用した患者
  • Day 1(ベースライン)前1週間以内にロミプロスチム又はエルトロンボパグを使用した患者
  • Day 1(ベースライン)前4週間以内に長期の副腎皮質ステロイド薬投与を実施又はアザチオプリン注)を使用した患者(ただし、少なくとも4週間用量が一定であれば参加可能とした)
  • Day 1(ベースライン)前4週間以内にミコフェノール酸モフェチル注)、シクロスポリンA注)又はダナゾール注)を使用した患者(ただし、少なくとも12週間用量が一定であれば参加可能とした)
  • 注)国内適応外

社内資料:国内第Ⅲ相試験(AVA-ITP-307試験)(2025年8月承認、申請資料概要2.7.6.1)(承認時評価資料)
Yamaguchi H, et al.:Int J Hematol 2025 May 20. doi:10.1007/s12185-025-04001-4. Online ahead of print.
(PMID:40392465)
[著者にSwedish Orphan Biovitrum AB社員が含まれる。]

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