海外第Ⅲ相試験(E5501-G000-302試験):検証的試験(海外データ)

外国人成人慢性ITP患者を対象とした血小板減少症の治療におけるドプテレットとプラセボの比較試験

有効性

コア期

血小板反応の累積週数〔主要評価項目〕検証的解析結果

血小板反応の累積週数(26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、血小板数が50,000/μL以上となった累積週数)の中央値は、プラセボ群0週、ドプテレット群12.4週、群間差は12.4週であり、ドプテレット群ではプラセボ群に比べて血小板反応の累積週数が有意に長かったため、ドプテレット群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。26週間の投与期間における、ドプテレット群の血小板数の中央値の推移は以下のとおりでした。

血小板反応の累積週数

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  • 解析対象集団:FAS Wilcoxon Rank Sum検定 ※:有意水準α=0.05

血小板数の中央値の推移

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Day 8の血小板反応率〔重要な副次評価項目〕検証的解析結果

Day 8の血小板反応率(救援療法を実施せずに、Day 8の血小板数が50,000/μL以上であった被験者の割合)は、プラセボ群0%(0/17例)、ドプテレット群65.6%(21/32例)、群間差は65.6%であり、ドプテレット群ではプラセボ群に比べて血小板反応率が有意に高かったため、ドプテレット群のプラセボ群に対する優越性が検証されました。

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ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量した被験者の割合 〔重要な副次評価項目〕

ベースライン時に併用するITP治療薬を使用していたプラセボ群の7例[副腎皮質ステロイド薬7例、止血剤3例、タンパク同化ステロイド薬1例、免疫抑制剤(シクロスポリンA注))1例、免疫抑制剤(その他)1例、重複あり]のうち、ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量した被験者は0例であったのに対して、ドプテレット群では15例(副腎皮質ステロイド薬14例、止血剤3例、重複あり)のうち5例[33.3%(副腎皮質ステロイド薬5例)]であり、統計学的な有意差は認められませんでした。

  • 注)国内適応外
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  • 例数(%)
    解析対象集団:FAS Fisherの正確確率検定
  • ※1: ベースライン時にITP治療薬を併用していた被験者で、26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、維持期間全体を通して1種類以上のITP治療薬の用量がベースラインから
    減量した被験者用可能な用量レベルは5mg、10mg、20mg(開始時)、30mg、40mgであった。
  • ※2: 名目上のp値、有意水準α=0.05

社内資料:海外第Ⅲ相試験(E5501-G000-302試験)(2025年8月承認、申請資料概要2.7.6.4)(参考資料:承認審査過程で評価された試験成績)
Jurczak W, et al.:Br J Haematol 183:479, 2018(PMID:30191972)

安全性

コア期

1.副作用

コア期における副作用はプラセボ群17.6%(3/17例)、ドプテレット群62.5%(20/32例)に認められ、その内訳は下表のとおりでした。

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2.重篤な副作用

コア期における重篤な副作用はプラセボ群0%(0/17例)、ドプテレット群15.6%(5/32例)に認められ、その内訳は下表のとおりでした。

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3.投与中止に至った副作用

コア期における投与中止に至った副作用は、ドプテレット群で2例(脳血管発作1例、頭痛1例)に認められました。

4.死亡

本試験のコア期において、死亡は認められませんでした。

コア期、継続期

血栓塞栓症(副作用)

本試験のコア期において、血栓塞栓症はドプテレット群で3例[脳血管発作1例(重篤)、深部静脈血栓症1例(重篤)、肺塞栓症1例]に認められました。また、継続期において、頚静脈血栓症(重篤)が1例に認められ、本試験全体では4例(n=47、8.5%)でした(コア期+継続期通じての平均曝露期間43.9週)。

  • ※:MedDRA ver. 26.1では脳卒中

社内資料:海外第Ⅲ相試験(E5501-G000-302試験)(2025年8月承認、申請資料概要2.7.6.4)(参考資料:承認審査過程で評価された試験成績)
Jurczak W, et al.:Br J Haematol 183:479, 2018(PMID:30191972)

11.1 重大な副作用(抜粋)
11.1.1 血栓症、血栓塞栓症
門脈血栓症(0.3%)、脳卒中(0.3%)、その他の動脈又は静脈血栓症(頻度不明)があらわれることがある。[8.1、8.3、8.6、15.1参照]

試験概要

目的 1種類以上の前治療を受けた成人ITP患者において、血小板反応の累積週数を指標として、標準治療に上乗せしたドプテレットのプラセボに対する優越性を評価する。主要評価期(コア期)とともに、ドプテレットの長期投与の安全性及び忍容性を評価する(継続期)。
対象 1種類以上の前治療を受け、2回測定した血小板数の平均値が30,000/μL未満であった外国人成人慢性ITP患者49例
試験デザイン 国際共同、多施設共同、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較試験
方法

(コア期)
層別因子によって層別化し、被験者を二重盲検下でプラセボ群とドプテレット群に1:2の比でランダム化した。ドプテレットは、20mg1日1回から食後経口投与を開始した。投与開始後、ドプテレットの用量調節方法に従って、1日1回最小用量5mgから最大用量40mgの範囲(5mg、10mg、20mg、30mg、40mg)で用量を調節しながら26週間投与した。併用するITP治療薬の減量期間(第6週から12週間)では、併用するITP治療薬の減量を可能とした。

(継続期)
すべての適格基準を満たし、試験を継続する意思がありかつ可能な被験者は、継続期に移行した。治療効果不十分のためコア期で早期に投与を中止した被験者についても、継続期への移行を可とした。継続期の開始から6週間は、継続期へ移行した全被験者にドプテレットを20mg1日1回投与した。続く90週間は、ドプテレットを用量を調節しながら投与し、併用するITP治療薬の減量を可能としてドプテレットの長期投与の安全性及び忍容性を評価した。

海外第Ⅲ相試験(E5501-G000-302試験):検証的試験(海外データ)
  • ※1: ベースラインの血小板数は、スクリーニング期間の来院時とベースラインの来院時の測定値の平均値とした。これらの値は48時間以上2週間以内の間隔で測定し、測定結果はランダム化前に得ていたため、スケジュール上の都合で必要だった場合にスクリーニング期間の来院時の血小板数の再測定を行うことを可とした。
  • ※2: 「治療効果不十分」の基準を満たし早期に投与中止となった被験者は、継続期(非盲検)に直接移行することを可とした。
  • ※3: 投与終了の来院時、被験者は継続期に移行し非盲検でのドプテレット投与を継続できることとした。継続期に移行しなかった被験者は、用量漸減期間及び追跡調査期間に移行した。
  • ※4: 継続期に移行しなかった被験者のみ
  • ※5: 少なくとも2週間
6. 用法及び用量(抜粋)<持続性及び慢性免疫性血小板減少症*>
  • *免疫性血小板減少症の発症又は診断後6カ月以上経過した患者に投与すること。
通常、成人には、アバトロンボパグとして初回投与量20mgを1日1回、食後に経口投与する。投与開始後、血小板数、症状に応じて用法・用量を適宜調節する。また、最高投与量は40mgを1日1回とする。

ドプテレットの用量調節方法

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  • ※6:使用可能な用量レベルは5mg、10mg、20mg(開始時)、30mg、40mgであった。
    注)本試験では投与群のみを盲検化し、用量レベルは盲検化しなかった。
有効性評価項目 (コア期)

〔主要評価項目〕

  • 血小板反応の累積週数(26週間の投与期間中、救援療法を実施せずに、血小板数が50,000/μL以上となった累積週数)〔検証的な解析項目〕

〔重要な副次評価項目〕

  • Day 8の血小板反応率(救援療法を実施せずに、Day 8の血小板数が50,000/μL以上であった被験者の割合)〔検証的な解析項目〕
  • ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量した被験者の割合

<救援療法について>

  • 救援療法は血小板数の増加が緊急に必要な場合に考慮された(例:血小板数が10,000/μL未満などのような生命を脅かす血小板減少症、大出血、出血の可能性を示唆する臨床症状又は徴候)
  • 救援療法は以下のように定義された。なお、TPO受容体作動薬は使用不可とした
    • ITP治療薬又は血小板減少症の治療薬の追加(例:副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリンの静注療法、抗D免疫グロブリン療法、ミコフェノール酸モフェチル注)、アザチオプリン注)、ダナゾール注)、シクロスポリンA注)、血小板輸血)
    • ベースラインで併用しているITP治療薬の増量
  • 注)国内適応外
安全性評価項目
  • 有害事象、血栓塞栓症の発現率 など
解析計画

有効性の解析(コア期)

有効性の解析は、FASを主要な解析対象集団として実施した。
主要評価項目である「血小板反応の累積週数」はWilcoxon Rank Sum検定(有意水準:両側α=0.05)を用いて評価した。
2つの重要な副次評価項目については、逐次検定によりドプテレット群とプラセボ群を比較した。まず、「Day 8の血小板反応率」について、ドプテレット群とプラセボ群を比較し(有意水準:両側α=0.05)、有意差が認められた場合、「ベースライン以降に併用するITP治療薬を減量した被験者の割合」について両群で比較した(有意水準:両側α=0.05)。帰無仮説は、周辺セルがいずれも0でない場合には、脾臓摘出の有無及びベースラインの血小板数(15,000/μL以下と 15,000/μL超30,000/μL未満の別)を調整したCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定により検定することとした(有意水準:両側α=0.05)。少なくとも1つの周辺セルの値が0(と等価)の場合、Fisherの正確確率検定を用いた(有意水準:両側α=0.05)。
救援療法の使用後は、すべての測定で血小板反応なしとみなした。

安全性の解析

安全性の解析は、治験薬が1回以上投与され、投与後の安全性評価が1回以上実施された被験者集団(安全性解析対象集団)を対象に実施した。

主な選択基準

(コア期)

  • 18歳以上
  • 米国血液学会/英国血液学基準協会のガイドラインに従って慢性ITP(12ヵ月以上持続)と診断され、2回測定した血小板数の平均値が30,000/μL未満、かつ各測定値が35,000/μLを超えない患者。また、末梢血塗抹検査でITPの診断を支持する結果が得られ、血小板減少症の他の病因(偽性血小板減少症及び骨髄線維症など)のエビデンスがみられないこと。身体検査でITP以外に血小板減少症を生じる可能性のある他の疾患が示唆されていないこと。
  • 1種類以上のITPの前治療(副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン、アザチオプリン注)、ダナゾール注)、シクロホスファミド注)及びリツキシマブを含むが、これらに限定されない)を受けた患者
  • ITPの前治療に当初は反応を示した(血小板数50,000/μL超)又は3年以内に骨髄検査でITPに一致する結果が得られたことから、骨髄異形成症候群又は血小板減少症の他の原因が除外された患者
  • プロトロンビン時間/国際標準比(INR)及び活性化部分トロンボプラスチン時間が基準値範囲の80~120%で、凝固能亢進状態の既往のない患者
  • 全血球数(血小板数を除く)が基準値の範囲内、かつ白血球分画が何らかの重大な血液学的疾患を示していない患者。ただし以下を除く。
    • 1) 患者のヘモグロビン値が10g/dL(100g/L)から基準値下限(LLN)の間である場合、貧血がITP(過剰な血液喪失)に起因することが明らかであれば組み入れに適格とした。
    • 2) 好中球絶対数が1,500/μL以上
    • 3) 白血球数又は好中球絶対数の増加(副腎皮質ステロイド薬投与のためなど)は、治験依頼者と協議の上で許容可能とした。
  • 注)国内適応外
主な除外基準

(コア期)

  • 二次性ITP患者(Helicobacter pylori 菌感染によるITP、HIV若しくはHCV感染、又は全身性エリテマトーデスなど)
  • 安全性又は試験結果の解釈に影響を及ぼす可能性がある重大な病態にある患者(急性肝炎、活動性慢性肝炎、リンパ増殖性疾患、骨髄増殖性疾患、白血病など)
  • 骨髄異形成症候群の既往のある患者
  • 胃萎縮の既往のある患者
  • 悪性貧血の既往のある患者、又はビタミンB12欠乏症(LLN未満と定義)を有し、病因として悪性貧血が否定できない患者
  • 動脈又は静脈の血栓症(脳卒中、一過性脳虚血発作、心筋梗塞、深部静脈血栓症、又は肺塞栓症)の既往があり、次の素因を3つ以上有する患者[エストロゲン含有ホルモン補充療法・避妊療法、喫煙、糖尿病、高コレステロール血症、高血圧治療薬、がん、先天性血栓性疾患(第V因子ライデン変異、アンチトロンビンⅢ欠乏症など)、又は動脈又は静脈の血栓症の家族歴]
  • 重大な心血管系疾患[ニューヨーク心臓協会分類Grade Ⅲ/Ⅳのうっ血性心不全、血栓・塞栓イベントのリスク上昇が確認されている不整脈(心房細動など)、心拍数を補正したQT間隔が450msec超の患者、狭心症、冠動脈ステント留置術、血管形成術及び冠動脈バイパス術など]の既往のある患者
  • 肝硬変、門脈圧亢進症又は慢性活動性肝炎の既往のある患者
  • 悪性腫瘍の現病がある患者
  • ランダム化前1週間以内に免疫グロブリン製剤(ガンマグロブリン及び抗D免疫グロブリン静脈内投与)を使用した患者
  • ランダム化前12週間以内に脾臓摘出又はリツキシマブを使用した患者
  • ランダム化前4週間以内にロミプロスチム又はエルトロンボパグを使用した患者
  • 副腎皮質ステロイド薬又はアザチオプリン注)による治療を現在受けていて、ランダム化前4週間以上用量が安定していない患者、又はランダム化前4週間超の時点でこれらによる治療が完了していない患者
  • ミコフェノール酸モフェチル注)、シクロスポリンA注)又はダナゾール注)による治療を現在受けていて、ランダム化前12週間以上用量が安定していない患者、又はランダム化前4週間超の時点でこれらによる治療が完了していない患者
  • 注)国内適応外
7. 用法及び用量に関連する注意(抜粋)<持続性及び慢性免疫性血小板減少症*>
  • *免疫性血小板減少症の発症又は診断後6カ月以上経過した患者に投与すること。
7.3
本剤は治療上必要最小限の用法・用量で使用すること。
7.4
本剤の用法・用量は下表を参照の上、血小板数に応じて2週間ごとに、血小板数が安定する(少なくとも4週間にわたり用量調節せずに血小板数が50,000/μL以上)まで調節すること。
なお、少なくとも2週間は同一用法・用量を維持すること。
ただし、血小板数が50,000/μL未満又は400,000/μL超の場合、1週間に1回、用量調節を行ってもよい。
用法・用量 レベル
40mgを1日1回投与 6
40mgを週3回及び20mgを各週の残り4日に投与 5
20mgを1日1回投与 4
20mgを週3回投与 3
20mgを週2回投与又は40mgを週1回投与 2
20mgを週1回投与 1
  • 1日1回より少ない頻度で本剤を投与する場合は、連日投与を避け、週ごとに一貫した方法で服薬すること。
血小板数 調節方法
50,000/μL未満 用量レベルを1段階上げる。
ただし、最高投与量として1日1回40mgを4週間投与しても、臨床上重大な出血リスクを回避できるレベルに血小板数が増加しなかった場合は、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
50,000/μL以上
200,000/μL未満
現状の用量レベルを維持する。
ただし、出血のリスクを低下できる治療上必要最小限の用法・用量となるよう、適宜減量も考慮すること。
200,000/μL以上
400,000/μL以下
用量レベルを1段階下げる。
400,000/μL超 本剤を休薬し、血小板数を週2回測定する。休薬後、血小板数が150,000/μL未満まで減少した場合は、休薬前からの用量レベルを1段階下げて投与を再開する。
ただし、最低投与量として週1回20mgを2週間投与しても血小板数が400,000/μL超の場合は、本剤の投与を中止すること。
7.5
本剤投与中は、血小板数が安定するまで(少なくとも4週間にわたり用量調節せずに血小板数が50,000/μL以上)、血小板数を毎週測定すること。血小板数が安定した場合でも4週に1回を目安に血小板数を測定すること。
7.6
強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4を同時に阻害する薬剤とともに服用すると本剤の血中濃度が上昇するため、初回投与量を週3回20mgとすること。また、本剤投与中に強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4を同時に阻害する薬剤の服用を開始した場合には、血小板数が安定するまで(少なくとも4週間にわたり用量調節せずに血小板数が50,000/μL以上)、血小板数を毎週測定すること。[10.2、16.7.2参照]
7.7
強い又は中程度のCYP2C9及びCYP3A4を同時に誘導する薬剤とともに服用すると本剤の血中濃度が低下するため、初回投与量を1日1回40mgとすること。[10.2、16.7.2参照]

社内資料:海外第Ⅲ相試験(E5501-G000-302試験)(2025年8月承認、申請資料概要2.7.6.4)(参考資料:承認審査過程で評価された試験成績)
Jurczak W, et al.:Br J Haematol 183:479, 2018(PMID:30191972)[著者にDOVA社(現Swedish Orphan Biovitrum AB)社員が含まれる。]

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