急性期DIC診断基準
JAAM-2 DIC(改訂版急性期DIC診断基準)
I. 基礎疾患(すべての生体侵襲はDICを引き起こすことを念頭に置く)
- 敗血症/重症感染症(すべての微生物による)
-
外傷/熱傷/手術
-
血管異常
-
重篤なトキシン/免疫学的反応
- 悪性腫瘍(骨髄抑制を除く)
- 産科的緊急事態
-
SIRSに関連する可能性のある病態
- 臓器破裂(例:重症急性膵炎)
- 劇症肝炎
- 虚血/低酸素/ショック
- 熱中症/悪性症候群
- 脂肪塞栓症
- 横紋筋融解症 他
- その他
- その他
II. 鑑別すべき疾患および病態
診断に際してDICに似た検査所見・症状を呈する以下の疾患および病態を注意深く鑑別する
-
血小板減少
-
希釈・分布異常
1)大量出血、大量輸血・輸液 他
-
血小板破壊の亢進
1)ITP、2)TTP/HUS、3)薬剤性(ヘパリン、バルプロ酸等)、4)感染(CMV、EBV、HIV等)、5)自己免疫による破壊(輸血後、移植後等)、6)抗リン脂質抗体症候群、7)HELLP症候群、8)SLE、9)体外循環 他
-
骨髄抑制、トロンボポエチン産生低下による血小板産生低下
1)ウイルス感染症、2)薬物など(アルコール、化学療法、放射線療法等)、3)低栄養(ビタミンB₁₂、葉酸)、4)先天性/後天性造血障害、5)肝疾患、6)血球貪食症候群(HPS) 他
-
偽性血小板減少
1)EDTAによるもの、2)検体中抗凝固剤不足 他
-
その他
1)血管内人工物、2)低体温 他
-
PT延長
-
1)抗凝固療法、抗凝固剤混入、2)ビタミンK欠乏、3)肝不全、肝硬変、4)大量出血、大量輸血 他
-
FDP上昇
-
1)各種血栓症、2)創傷治癒過程、3)胸水、腹水、血腫、4)抗凝固剤混入、5)線溶療法 他
-
その他
「急性期DIC診断基準」より引用
III. 診断基準
|
スコア
|
血小板(/mm3)
|
PT比
|
FDP(μg/mL)
|
| 0 | ≧12万 | <1.2 <秒 ≧% | <10 |
| 1 | ≧8万、<12万あるいは24時間以内に30%以上の減少 | ≧1.2 ≧秒 <% | ≧10、<25 |
| 2 | --- | --- | --- |
| 3 | <8万あるいは24時間以内に50%以上の減少 | --- | ≧25 |
|
DIC 3点以上
|
|---|
参考
- 血小板数減少はスコア算定の前後いずれの24時間以内でも可能。
-
PT比(検体PT秒/正常対照値)ISI=1.0の場合はINRに等しい。
各施設においてPT比1.2に相当する秒数の延長または活性値の低下を使用してもよい。
-
FDPの代替としてD-ダイマーを使用してよい。
各施設の測定キットにより以下の換算表を使用する。
Yamakawa K, Umemura Y, Mochizuki K, et al. Proposal and Validation of a Clinically Relevant Modification of the Japanese Association for Acute Medicine Disseminated Intravascular Coagulation Diagnostic Criteria for Sepsis.
Thromb Haemost. 2024;124(11):1003-1012. © Georg Thieme Verlag KG.
日救急医会誌. 2013;24(2):114-115. 一部改変
JAAM DIC(急性期DIC診断基準)
I. 基礎疾患(すべての生体侵襲はDICを引き起こすことを念頭に置く)
- 感染症(すべての微生物による)
-
組織損傷
-
血管性病変
-
トキシン / 免疫学的反応
- 蛇毒
- 薬物
- 輸血反応(溶血性輸血反応、大量輸血)
- 移植拒絶反応
- 悪性腫瘍(骨髄抑制症例を除く)
- 産科疾患
-
上記以外にSIRSを引き起こす病態
- 急性膵炎
- 劇症肝炎(急性肝不全、劇症肝不全)
- ショック/低酸素
- 熱中症/悪性症候群
- 脂肪塞栓
- 横紋筋融解 他
- その他
II. 鑑別すべき疾患および病態
(診断に際してDICに似た検査所見・病状を呈する以下の疾患及び病態を注意深く鑑別する)
-
血小板減少
-
希釈・分布異常
1)大量出血、大量輸血・輸液、他
-
血小板破壊の亢進
1)ITP、2)TTP/HUS、3)薬剤性(ヘパリン、パルプロ酸等)、4)感染(CMV、EBV、HIV等)、5)自己免疫による破壊(輸血後、移植後等)、6)抗リン脂質抗体症候群、7)HELLP症候群、8)SLE、9)体外循環、他
-
骨髄抑制、トロンボポイエチン産生低下による血小板産生低下
1)ウイルス感染症、2)薬物など(アルコール、化学療法、放射線療法等)、3)低栄養(VitB12、葉酸)、4)先天性/後天性造血障害、5)肝疾患、6)血球貪食症候群(HPS)、他
-
偽性血小板減少
1)EDTAによるもの、2)検体中抗凝固剤不足、他
- その他
1)血管内人工物、2)低体温、他
-
PT延長
-
1)抗凝固療法、抗凝固剤混入、2)Vit K欠乏、3)肝不全、肝硬変、4)大量出血、大量輸血、他
-
FDP上昇
-
1)各種血栓症、2)創傷治癒過程、3)胸水、腹水、血腫、4)抗凝固剤混入、5)線溶療法、他
-
その他
III. SIRSの診断基準
|
体温
| >38℃あるいは<36℃ |
|
心拍数
| >90/分 |
|
呼吸数
| >20回/分あるいはPaCO2<32mmHg |
|
白血球数
| >12,000/mm3あるいは<4,000/mm3、あるいは幼若球数>10% |
|---|
IV. 診断基準
|
スコア
|
SIRS
|
血小板(/mm3)
|
PT比
|
FDP(μg/mL)
|
| 0 | 0〜2 | ≧12万 | <1.2 <秒 ≧% | <10 |
| 1 | ≧3 | ≧8万、<12万あるいは24時間以内に30%以上の減少 | ≧1.2 ≧秒 <% | ≧10、<25 |
| 2 | --- | --- | --- | --- |
| 3 | --- | <8万あるいは24時間以内に50%以上の減少 | --- | ≧25 |
|
DIC4点以上
|
注意 - 血小板数減少はスコア算定の前後いずれの24時間以内でも可能。
-
PT比(検体PT秒/正常対照値)ISI=1.0の場合はINRに等しい。
各施設においてPT比1.2に相当する秒数の延長または活性値の低下を使用してもよい。
- FDPの代替としてD-ダイマーを使用してよい。
各施設の測定キットにより以下の換算表を使用する。
|
V. D-ダイマー/FDP換算表
|
測定キット名
|
FDP10μg/mL
|
FDP25μg/mL
|
|
D-ダイマー(μg/mL)
|
D-ダイマー(μg/mL)
|
|
シスメックス
| 5.4 | 13.2 |
|
日水製薬*1 | 10.4 | 27.0 |
|
バイオビュー
| 6.5 | 8.82 |
|
三菱化学メディエンス*2 | 6.63 | 16.31 |
|
ロシュ・ダイアグノスティックス
| 4.1 | 10.1 |
|
積水メディカル
| 6.18 | 13.26 |
|
ラジオメーター
| 4.9 | 8.4 |
*1:島津ダイアグノスティクス株式会社
*2:PHC株式会社
日本救急医学会DIC特別委員会は、「急性期DIC診断基準」の引用に際しては、表(I~V)すべてを引用するよう勧告する。
日救急医会誌 2013: 24(2): 114-5. 一部改変
旧厚生省DIC診断基準
Ⅱ. 臨床症状得点
|
1) 出血症状(注1)
|
2) 臓器症状
|
あり 1
|
なし 0
|
あり 1
|
なし 0
|
Ⅲ. 検査結果得点
1) 血清FDP値
(μg/mL)
|
2) 血小板数
(×103/μL)(注1)
|
3) 血漿フィブリノゲン
濃度(mg/dL)
|
4) プロトロビン時間 時間比
(正常対照値で割った値)
|
|
40≦
|
3
|
50≧
|
3
|
100≧
|
2
|
1.67≦
|
2
|
|
20≦ <40
|
2
|
80≧ >50
|
2
|
150≧ >100
|
1
|
1.25≦ <1.67
|
1
|
|
10≦ <20
|
1
|
120≧ >80
|
1
|
150<
|
0
|
1.25>
|
0
|
|
10>
|
0
|
120<
|
0
| | | | |
Ⅳ. 判定(注2)
| 1) 7点以上 | DIC |
| 6点 | DICの疑い(注3) |
| 5点以下 | DICの可能性少ない |
|
2) 白血病その他注1に該当する疾患
|
| 4点以上 | DIC |
| 3点 | DICの疑い(注3) |
| 2点以下 | DICの可能性少ない |
|---|
Ⅴ. 診断のための補助的検査成績、所見
- 可溶性フィブリンモノマー陽性
- D-Dダイマーの高値
- トロンビン・アンチトロンビンⅢ 複合体の高値
- プラスミン・α2プラスミンインヒビター複合体の高値
- 病態の進展に伴う得点の増加傾向の出現。特に数日内での血小板数あるいはフィブリノゲンの急激な減少傾向ないしFDPの急激な増加傾向の出現。
- 抗凝固療法による改善。
Ⅵ.
- 白血病および類縁疾患、再生不良性貧血、抗腫瘍剤投与後など骨髄巨核球減少が顕著で、高度の血小板減少を見る場合は血小板数および出血症状の項は0点とし、判定はIV-2)に従う。
-
基礎疾患が肝疾患の場合は以下の通りとする。
-
肝硬変および肝硬変に近い病態の慢性肝炎(組織上小葉改築傾向を認める慢性肝炎)の場合には、総得点から3点減点した上で、IV-1)の判定基準に従う。
- 劇症肝炎および上記を除く肝疾患の場合は、本診断基準をそのまま適用する。
- DICの疑われる患者で「V.診断のための補助的検査成績、所見」のうち2項目以上満たせばDICと判定する。
Ⅶ.除外規定
- 本診断基準は新生児、産科領域のDICの診断には適用しない。
- 本診断基準は劇症肝炎のDICの診断には適用しない。