テリボン投与後、海綿骨の骨強度パラメーターが増加しました。
テリボン投与後、コラーゲン含量が増加しました。
テリボン投与後、総生理的架橋#(善玉架橋)は増加し、ペントシジン架橋(悪玉架橋)は減少しました。
# 総生理的架橋:未熟架橋(リジノノルロイシン架橋)、成熟架橋(ピリジノリン架橋)
多変量解析の結果、骨強度の増加に対する影響因子として、骨量増加、骨コラーゲン架橋の改善が抽出されました。
試験方法 | 9~15歳の雌カニクイザルの卵巣を摘除(OVX)(n=60)、もしくは偽手術(n=20)を施し、術後2週間以内から溶媒(0.1%BSA含有生理食塩液)またはテリパラチド1.1および5.6μg/kgを週1回18ヶ月反復皮下投与した。投与終了後に第3腰椎を摘出し、コラーゲン含量及びコラーゲン架橋量の測定、さらに椎体海綿骨の圧縮骨強度測定を行った。BSA:ウシ血清アルブミン |
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承認時評価資料,Saito M et al. Osteoporos Int. 2011;22(8):2373-2383.より作図
著者に旭化成ファーマ株式会社の社員が含まれる。
骨強度を高め、骨折を予防するには、骨密度を増加させるとともに骨質(材質、構造)を改善することが重要です。
骨質は、骨の素材としての質である材質特性と、その素材を元に作り上げられた構造特性(微細構造)により規定されますが、エストロゲンの欠乏や加齢、生活習慣病は、骨密度のみならず骨質に対しても悪影響をもたらします。
骨質の良し悪しは骨の新陳代謝機構である骨リモデリングや、骨の基質を合成する細胞機能や骨気質の周囲環境(酸化や糖化のレベル)、ビタミンDやビタミンKの充足状態によって制御されています。
骨は、その中に体積量として1/2にもなるコラーゲンを有しています。骨のコラーゲン分子は、それぞれが架橋により整然と配列されていますが、この架橋は、遺伝的に規定された部位にのみ形成される生理的架橋(善玉架橋=酵素依存性架橋)と、ペントシジン架橋に代表される無秩序かつ過剰に形成される非生理的架橋(悪玉架橋)に分類されます。
善玉架橋は骨のしなやかさを保ち、骨の強度を高めるのに対し、加齢・酸化・糖化によって産生される悪玉架橋は骨のしなやかさを失わせ、骨を瀬戸物のような硬く脆い状態にしてしまいます。