骨粗鬆症による二次骨折

骨粗鬆症性骨折のあとには二次骨折が生じる危険性が高まります
目次

骨折の連鎖を考える

骨粗鬆症性骨折の直後には骨折リスクが切迫することが報告されています -Imminent Fracture Risk-
※椎体、大腿骨、橈骨遠位端、上腕骨の骨折

初発骨折直後、骨折の再発リスクは最も高く、骨折が切迫した状態ともいえます。初発骨折1年後も再発リスクは骨折のない集団に比べて2.7倍高く、その後低下するものの10年後でも1.4倍と高い状態が維持されました。

初発の骨粗鬆症性骨折後に起こる2回目の発症リスク(海外データ)
Johansson H et al. Osteoporos Int. 2017;28(3):775-780.
調査方法

1967~1991年の試験登録期間にアイスランド国民登録からランダムに選ばれた18,872名(1907~1935年生まれ)を28年間(中央値)追跡し(510,265人年)、初発骨折と2回目の骨折の関係を修正ポワソン回帰モデルを用いて調査した。ベースラインを全例の年齢、性別を含めて75歳女性に補正した。

椎体骨折を含む既存骨折を有する骨粗鬆症患者には、
早期に治療介入し「骨折の連鎖」を断ち切ることが重要です

骨リモデリングと薬剤の作用

骨リモデリングおよびモデリングに対する骨吸収抑制薬および骨形成促進薬の作用
Compston JE et al. Lancet. 2019; 393: 364-76
骨形成促進薬には、
これまでに得られているデータからリモデリングを増加させ、
正のリモデリングバランスに近付ける作用が示唆される薬剤があります

皮質骨とテリパラチド

テリパラチド酢酸塩は投与間隔で皮質骨に与える影響が変わります
テリパラチド酢酸塩の連日投与における肋骨の皮質骨に対する作用<イヌ>
連日投与 15週間連日皮下投与(5.6㎍/㎏/日)
  • 対照
  • テリパラチド酢酸塩
方法
正常ビーグル犬に溶媒(生理食塩液)またはテリパラチド酢酸塩0.35、1.4および5.6μg/kg/日を、連日、15週間皮下投与し、投与前後で腸骨および肋骨を生検し、それぞれ海綿骨および皮質骨の形態計測を行った。
結果
連日投与は、海綿骨では0.35μg/kg以上投与で骨代謝を亢進させ骨量を増加させたが、皮質骨では1.4μg/kg以上投与で骨代謝を亢進させ、多孔化を引き起こす可能性が示唆された。
承認時評価資料,井上旬二.日整会誌.1985;59(4):409-427.
本試験は旭化成ファーマ株式会社の支援により行われた。
テリパラチド酢酸塩の週1回投与における肋骨の皮質骨に対する作用<イヌ>
週1回投与 週1回1年間皮下投与(11.3㎍/㎏/回)
  • 対照
  • テリパラチド酢酸塩
方法
正常ビーグル犬に溶媒(0.2%ゼラチン添加生理食塩液)またはテリパラチド酢酸塩5.6および11.3μg/kg/回を、週1回、1年間皮下投与した。投与前後で腸骨および肋骨を生検し、それぞれ海綿骨および皮質骨の形態計測を行った。
結果
5.6および11.3μg/kgの週1回投与は、海綿骨の骨代謝を亢進させ骨量を増加させたが、皮質骨に対しては骨代謝を亢進させるものの明らかな多孔率の変化は認められなかった。
承認時評価資料
テリパラチドは投与間隔で皮質骨に
与える影響が変わります

二次骨折予防とテリボン

米国骨代謝学会による二次骨折予防における臨床的推奨事項のコンセンサス
Consensus Recommendationsの要約

以下の推奨事項は、大腿骨近位部または椎体骨折を有する65歳以上の高齢者に関するもので、ケアに携わるすべての医療専門家(整形外科医、リウマチ専門医、内分泌専門医など(一部抜粋))を対象としている。
全推奨事項の重要な原則は、上記高齢者は多職種・他分野の専門スタッフが参加する集学的臨床システムによって最適に管理されるべきであるということである。そこには、骨粗鬆症と将来の骨折リスクを適切に評価・治療する症例管理(例えば骨折リエゾンサービス)が含まれる。

骨折の危険性の高い骨粗鬆症患者の
骨折リスクを軽減するための治療法があります

治療継続率とリクラスト

骨粗鬆症は治療継続することが重要です

服薬遵守率*50%程度までは骨折発生率は変わらず、50~75%では緩やかに低下、75%以上の服薬遵守率で骨折発生率は顕著に低下しました

薬剤の効果を得るためには、服薬の継続が必要です

*服薬遵守率:観察期間中における総投薬量に対する実服薬量の割合を示す指標

対象:アレンドロネードまたはリセドロネートの連日製剤もしくは週1回製剤を投与された45歳以上の女性35,537例
方法:複数の診療データベースを用いて、後方視的に対象患者における24ヶ月の服薬遵守率と骨折発生率を検討した。
Siris ES, et al.: Mayo Clin Proc 2006: 81: 1013-1022.
治療薬の継続は骨粗鬆症の治療に重要です
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