3.破骨細胞分化・活性化の分子メカニズムと骨吸収抑制薬の作用機序

監修:東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学講座整形外科学教授 田中栄先生
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骨代謝バランスと骨粗鬆症

骨組織は、成長を終えてからも休みなく新陳代謝を行っており、骨吸収と骨形成がバランスを取ることにより、その生体における恒常性を保っている。骨粗鬆症は「一次的、二次的要因により骨強度が低下し、骨折しやすくなった状態」と定義することができる。

組織レベルで骨粗鬆症の特徴を一言で述べれば、「骨組織ホメオスタシスの破綻」である。成長期における骨組織形成が終了すると、古い骨組織が吸収され、同じ量の骨組織が同じ部位に形成されるメカニズム、いわゆる「骨リモデリング」によって骨組織の形状は一定に維持されている。このようなバランスのとれた時間的・空間的な吸収・形成の調節―骨組織ホメオスタシス―が破綻し、相対的に吸収が形成を凌駕するような状態が持続すると骨量は減少し、骨組織は正常な構築・強度を維持できなくなる。これが骨粗鬆症における骨脆弱性の本体である。

破骨細胞の分化・活性化における作用物質

細胞レベルでみると、骨ホメオスタシスは、破骨細胞による骨吸収、骨芽細胞による骨形成の絶妙なバランスによって保たれている。特に破骨細胞は、骨吸収を司る唯一の細胞として、骨粗鬆症をはじめとするさまざまな病的な状態において重要な役割を果たす。

1990年代後半になって、破骨細胞の分化・活性化における中心的な分子やシグナル伝達経路の解明が加速度的に進んできた。なかでも破骨細胞の分化・活性化を担う中心的な物質として、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)およびRANKL(Receptor Activator of NF-kappa B Ligand)が同定されたことは、それ以降の研究に大きなインパクトを与えた。RANKLはTNFスーパーファミリーに属する膜結合型サイトカインであり、受容体であるRANKに結合することにより破骨細胞への分化を誘導する。また、RANKに対して競合的にRANKLと結合する液性因子osteoprotegerin(OPG)は、強力に破骨細胞分化を阻害するとともに、破骨細胞のアポトーシスを誘導する。また、M-CSFは破骨細胞前駆細胞に存在するM-CSF受容体に作用して、その増殖・分化・生存に重要な役割を果たす。

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骨吸収抑制薬の作用機序の違い

カルシトニン、ビスフォスフォネート、ラロキシフェンなど、現在中心的に使用されている骨粗鬆症治療薬は、すべて骨吸収抑制作用を有し、その有効性はさまざまな臨床研究から明らかになっている。これらの骨吸収抑制薬はいずれも破骨細胞の機能を抑制するが、それぞれ異なった作用メカニズムを有する。

カルシトニンは破骨細胞に存在する特異的な受容体に結合して、破骨細胞の細胞骨格を変化させることによって骨吸収を抑制する。一方、ビスフォスフォネートは骨組織に蓄積し、破骨細胞に取り込まれることによりアポトーシスを誘導する。

今後、破骨細胞分化・活性化の分子メカニズムがさらに詳細に明らかになることにより、より特異的な骨吸収抑制薬が開発されることが期待されている。

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