2.骨粗鬆症に伴う腰背部痛のメカニズム

監修:公立玉名中央病院企業長/整形外科 中野哲雄先生
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腰背部痛の発生メカニズム

疼痛は、侵害受容器からのインパルスの発生と、神経原性の疼痛、心因性の疼痛の3種があるといわれている。侵害受容器からの疼痛とは打撲やケガで生じるものであり、神経原性の疼痛とは、本来インパルスの通り道である神経に直接の刺激が加わって発生する疼痛であり、坐骨神経痛や幻肢痛が代表的なものである。骨粗鬆症自体に疼痛があるかは難しい問題であるが、骨粗鬆症による椎体骨折の既往がある患者が腰背部痛を訴えることが多いのは事実である。骨粗鬆症の腰背部痛は、「椎体骨折による急性の疼痛」と「脊柱変形による慢性の疼痛」に分けて考えるのがわかりやすい。

骨折による急性腰背部痛の発生

椎体骨折が発生すると、椎体内の骨髄、椎体前側壁の骨皮質が破壊されるが、椎体前側壁には外骨膜が存在し、さらに椎体前壁には前縦靱帯が密着している。骨髄、外骨膜、前縦靱帯には知覚神経終末が存在し、疼痛刺激があると侵害受容器からインパルスが発生する。外骨膜、前縦靱帯でのインパルス発生は、損傷自体が主なインパルス発生源と思われるが、さらに骨髄内の圧変化が骨髄内の侵害受容器からのインパルスを発生させるものと思われる。

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慢性腰背部痛の発生原因と脊柱変形の合併症

椎体骨折では楔状椎、魚椎、扁平椎などの変形を残すが、椎体変形の多くは多少なりとも椎体前壁が後壁より大きく圧潰するため、円背・亀背といった脊柱変形が発生する。円背・亀背は胸椎より腰椎上位にかけて起こる後弯変形の増強であるが、下位腰椎では代償的に前弯が増強することが多く、その場合は凹円背となる。代償が起こらず下位腰椎まで生理的前弯が失われると全後弯となり、いわゆる「腰曲がり」となる。全後弯では膝屈強位歩行が強いられ、歩行時は押し車を使用するか、膝に手をつかざるを得なくなるなど、QOLは大きく低下する。

円背が高度になると脊椎筋は過伸展され、compartment症候群が起こり、阻血性の疼痛が発生する。また、変形が甚だしいと肋骨が腰椎に当たるようになり、疼痛を訴える。円背・亀背により胸腹部内臓は圧迫されるが、直接的な影響は意外と少ない。それでも変形が強いと肺活量は減少し、一度に多くのものを食べることができないと訴える。円背・亀背に最も多く合併する疾患は逆流性食道炎であり、主な症状は胸焼けである。さらに、これにより喘息を誘発することがあるともいわれている。

骨粗鬆症と必ずしも関係が深いわけではないが、高齢者の慢性の腰背部痛とX線単純像で最も関係があるのは変性側弯である。椎体圧迫骨折の既往と慢性腰背部痛も関係が深い。しかし、その他の脊柱変形は疼痛と必ずしも関係はない。MRI所見とよく相関するのは脊柱管狭窄症である。脊柱管狭窄症は腰背部痛よりむしろ下肢症状の方が強い。

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