5.骨細胞 ~骨細胞・骨細管系の構造と骨代謝調節のメカニズム~

監修:北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座硬組織発生生物学教室教授 網塚憲生先生
※監修者のご所属は、制作当時のご所属です。
テキストあり 画像サイズ:1481×1318pixel 画像形式:JPG
テキストなし 画像サイズ:1481×1318pixel 画像形式:JPG

骨基質内に存在する骨細胞は、骨細管を介した骨細胞・骨細管系を形成することで、細胞間コミュニケーションを行う。規則的な幾何学構築を示す骨細管系は、成熟した緻密骨によく発達しており、骨代謝調節を行う機能的ネットワークと考えられる。

骨細胞・骨細管系の構造

骨細胞は、骨芽細胞が分化して骨基質に埋め込まれた細胞であり、骨基質中の骨小腔という空間に存在している。骨細胞は骨小腔に開口する骨細管に細長い細胞突起を挿入し、周囲の骨細胞の細胞突起とギャップ結合を介した細胞性ネットワークをつくっている。また、骨表面に局在する骨芽細胞とも細胞間コミュニケーションを形成する。したがって、骨細胞は単独で機能するのではなく、骨細胞・骨細管系という機能的集合体を築き上げている。1つの骨における骨細胞の数は、骨芽細胞や破骨細胞よりも圧倒的に多く、骨細管系の表面積は皮質骨・骨梁表面の約100倍にも達するといわれている。

緩やかな骨リモデリングを示す骨では、紡錘形または扁平な骨細胞が骨表面に平行になるよう規則的に配列し、骨細管を骨表面に向かって垂直に伸ばしている。一方、骨リモデリングが活発な骨では、骨細胞の形状・配列ならびに骨細管の走行性は不規則である。正常な骨では、生理的な骨リモデリングによって規則的な骨細管系が構築されてゆく。

ダウンロードはこちら
テキストなし 画像サイズ:738×655pixel 画像形式:JPG
骨細胞・骨細管系の機能

骨細管系の機能として、物質輸送・力学負荷感知・骨芽細胞調節などが想定されている。物質輸送には大きく2つの経路があり、ひとつはギャップ結合を介した細胞突起内部の経路、もうひとつは細胞突起と骨細管との空隙、すなわち骨細管を介した経路である。細胞突起内部の経路では、c-fos、IGF-I、TGF-β、COX2、PGE2、PGI2などの輸送が報告されている。一方、骨細管の輸送経路では、カルシウム・リンをはじめとするミネラル溶出・輸送が考えられている。骨細管は主にプロテオグリカンで満たされているが、物質輸送速度は3.3±0.6cm2/sec(軟骨と同じ速度)であり、物質輸送に効率的な通路となり得る。骨細胞性骨溶解の可能性、および骨細胞がFGF23を産生しリン代謝を調節することなどからも、骨細胞・骨細管系はミネラル維持・調節に関与すると思われる。

バイオメカニクス的なシミュレーションでは、骨芽細胞ではなく、規則的な骨細管系が力学感知に適しているという。特に、緻密骨の各層板におけるコラーゲン線維束は規則的に走行する。一方、骨細胞の細胞突起は内部にアクチンフィラメントを発達させており、これらコラーゲン線維束に対してほぼ一定間隔に伸びている。したがって、骨細胞はコラーゲン線維の引っ張りやたわみを突起内のアクチンフィラメントを介して感知するのかもしれない。

骨芽細胞などに対する調節については、骨細胞からsclerostinが産生されて骨芽細胞機能を抑制することが知られており、近年、関連した多くの論文が報告されつつある。

骨細胞・骨細管系と骨リモデリング

骨細管系の幾何学的規則性は、骨リモデリングの速さ(骨代謝回転)に依存する。生理的な骨代謝回転を示す骨では、骨細管系が規則的配列を示し、力学感知・物質輸送経路ともに効率的に機能できると考えられる。一方、骨粗鬆症では、骨細管系の構造的規則性および突起間の結合性が低下していること、また、骨軟化症では、骨細胞が密に存在するが、不規則な配列を示すことが報告されている。

ダウンロードはこちら
関連の新着セミナー・講演会

脊椎外科の周術期における骨粗鬆症対策

19:00 - 20:00
兵庫医科大学 整形外科 准教授 圓尾 圭史 先生
11月
01
月曜日
19:00 - 20:00

第55回日本側弯症学会学術集会 イブニングセミナー1

17:10 - 18:10
信州大学医学部 運動機能学教室 教授 髙橋 淳 先生
11月
05
金曜日
17:10 - 18:10
閲覧履歴
お問い合わせ(本社)

くすり相談窓口

受付時間:9:00〜17:45
(土日祝、休業日を除く)

当社は、日本製薬工業協会が提唱する
くすり相談窓口の役割・使命 に則り、
くすりの適正使用情報をご提供しています。