1.カルシトニンの鎮痛作用のメカニズム

監修:熊本保健科学大学大学院保健科学研究科教授 吉村惠先生
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カルシトニンの鎮痛効果

カルシトニンの鎮痛効果にセロトニン神経系が密接に関連していることが、次の事実で証明された。Shibataらは、ラットを用いた鎮痛実験で、卵巣摘除(OVX)により骨量減少と痛覚過敏が生じること、カルシトニンによりこの痛覚過敏が解消されること、さらに、カルシトニンによるこの鎮痛効果はセロトニン合成阻害剤で消失することを示した。また、Itoらはラットの脊髄スライスを用いた電気生理学的実験でこの結果を裏付けた。すなわち、痛みを伝えるC線維の刺激により、脊髄膠様質細胞に生じる興奮性シナプス後電流(EPSC)はセロトニンによって抑制されるが、その抑制はOVXにより消失し、カルシトニンによりセロトニンのEPSC抑制作用が回復することを示した。加えて、脊髄のセロトニン受容体数がOVXで減少し、カルシトニンにより正常に回復することも確認した。

正常な生体では、延髄からの下行性セロトニン神経が分泌するセロトニンによって痛み伝達物質グルタミン酸の分泌が抑制され、痛みを抑制している。しかし、OVXによりC線維の終末に存在するセロトニン受容体が減少すると、C線維からの痛み伝達物質の分泌が増加し、痛覚過敏になると考えられる。カルシトニンによりC線維終末のセロトニン受容体数が正常に戻ることにより痛み伝達物質の分泌が抑制され、鎮痛効果が得られる。

骨粗鬆症患者は、骨折に伴う急性痛のほかに慢性痛を訴えることも多い。OVXラットでは骨量減少とともに痛覚過敏となっていることが示されたが、閉経後の骨粗鬆症患者も痛覚過敏となり、その結果、急性痛のみならず慢性痛を患っている可能性が十分考えられる。

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