臨床試験成績

②製造販売後臨床試験(非盲検非対照試験)

対象 固形癌が直接誘因となり発症したDIC患者
投与量・投与方法 380U/kg、1日1回約30分静脈内持続投与
投与期間 原則6日間、最長14日間
試験責任医師又は試験分担医師が、DICや基礎疾患等の状態から必要と判断した場合、最長14日間まで継続投与可能とした。
主要評価項目 DIC離脱率(旧厚生省DIC診断基準)
副次的評価項目 出血症状の経過、転帰
評価・観察期間
投与開始後7日目及び最終投与翌日
DIC離脱率
最終投与翌日
出血症状の経過
投与開始後28日目:
転帰
症例数 総投与症例:101例
評価対象症例 DIC離脱率:97例、出血症状に関連する有害事象:101例

*中止時データを含む

再審査時評価資料, Tamura K, et al. Int J Clin Oncl. 2015;20(4):821-8.
本試験は旭化成ファーマ株式会社の支援により実施された。

有効性

1. 主要評価項目(DIC離脱率)

DIC離脱率は、投与開始後7日目では28.9%(28/97例、95%信頼区間20.1~39.0%)、
投与終了日翌日では34.0%(33/97例、95%信頼区間24.7~44.3%)であった。

DIC離脱 合計 離脱率の
95%信頼区間
(正確)
離脱 非離脱
例数 (%) 例数 (%) 下限 上限
7日目 28 28.9 69 71.1 97 20.1 39.0
投与終了日翌日 33 34.0 64 66.0 97 24.7 44.3

判定基準:骨髄不全による重篤な血小板減少がない場合は5点以下、ある場合には2点以下をDIC離脱と判定した。

2. 副次的評価項目(出血症状の経過)

出血症状の経過の判定が「初めから症状なし」および「判定不能」を除いた79症例を対象とし各カテゴリーの割合を計算した。
「消失」が21.5%、「改善」が19.0%、「不変」が24.1%、「悪化」が35.4%であった(投与開始後7日目)。

出血症状の経過
消失 改善 不変 悪化 合計 初めから症状なし
例数 (%) 例数 (%) 例数 (%) 例数 (%)
7日目 17 21.5 15 19.0 19 24.1 28 35.4 79 21
投与終了日翌日 13 15.9 17 20.7 23 28.0 29 35.4 82 18

出血症状の経過:各症状の程度を投与前のものと総合的に比較・判断して、その推移から評価。

出血症状の経過

投与開始から7日目(又は中止時)における症状の経過を、各症状の程度を投与前のものと総合的に比較・判断して、その推移から以下の基準に従って6段階で評価した。

1.消失;
認められた唯一あるいは全ての症状の程度が-となった場合
2.改善;
認められた唯一の症状の程度が改善した場合、あるいは複数の症状の程度で改善又は-となったものの数の合計が、症状の程度が悪化又は新たに発生した症状の数の合計を上回ると判断される場合
3.不変;
認められた唯一の症状の程度が不変の場合、あるいは複数の症状の程度で改善又は-となったものの数の合計が、症状の程度が悪化又は新たに発生した症状の数の合計と同数と判断される場合
4.悪化;
認められた唯一の症状の程度が悪化した場合、あるいは複数の症状の程度で改善又は-となったものの数の合計が、症状の程度が悪化又は新たに発生した症状の数の合計を下回ると判断される場合
5.初めから症状なし;
症状が認められない場合
6.判定不能

3. 副次的評価項目(転帰)

投与開始後28日目の生存率は、55.4%(56/101例、95%信頼期間45.2~65.3%)であった。また、投与開始後28日目の転帰が「生存」の症例の割合は、DIC離脱例で90.9%(30/33例)、DIC非離脱例では40.6%(26/64例)であった。

投与開始後28日目の生存率
28日目における転帰 合計 生存率の
95%信頼区間
(正確)
生存 死亡
例数 (%) 例数 (%) 下限 上限
56 55.4 45 44.6 101 45.2 65.3
投与終了日翌日におけるDIC離脱の有無と投与開始後28日目の転帰の関係
28日目における転帰 合計
生存 死亡
例数 (%) 例数 (%)
DIC離脱
(投与終了日翌日)
離脱 30 90.9 3 9.1 33
非離脱 26 40.6 38 59.4 64
合計 56 57.7 41 42.3 97

安全性

1. 出血症状に関連する有害事象

出血症状に関連する有害事象の発現率は、投与開始後7日目までは48.5%(49/101例、95%信頼区間38.4~58.7%)、
投与開始後15日目までは70.3%(71/101例、95%信頼区間60.4~79.0%)であった。

出血症状に関連する有害事象発現率
出血症状に関連する有害事象 合計 95%
信頼下限
(正確)
95%
信頼上限
(正確)
例数 (%) 例数 (%)
7日目 52 51.5 49 48.5 101 38.4 58.7
15日目まで 30 29.7 71 70.3 101 60.4 79.0

(注)出血に関連する重篤な有害事象は、慢性硬膜下血腫の急性増悪、小腸出血、メレナ、胃腸出血、クモ膜下出血が各1例、計5例(5.0%)であった。
出血に関連する主な有害事象は、血尿28例(27.7%)、皮下出血23例(22.8%)、鼻出血16例(15.8%)および口腔内出血11例(10.9%)であった。

出血症状に関連する副作用発現率
出血症状に関連する有害事象 合計 95%
信頼下限
(正確)
95%
信頼上限
(正確)
例数 (%) 例数 (%)
7日目 93 92.1 8 7.9 101 3.5 15.0
15日目まで 88 87.1 13 12.9 101 7.0 21.0
28日目まで 88 87.1 13 12.9 101 7.0 21.0

(注)出血に関連する主な副作用は、血尿6例(5.9%)、皮下出血2例(2.0%)、鼻出血1例(1.0%)であった。

2. 副作用

副作用は21例(20.8%)に認められた。主な副作用は血尿6例(5.9%)、貧血3例(3.0%)、AL-P増加3例(3.0%)であった。
重篤な副作用、死亡例、投与中止に至った副作用は認められなかった。

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