42日目までの全死因死亡率は、クレセンバ群18.6%、ボリコナゾール群20.2%であり、調整後群間差は−1.0%[95%CI:−7.759, 5.683]a)であった。95%CIの上限値(5.683%)が事前に規定した非劣性マージン(10%)を下回ったことから、ボリコナゾールに対するクレセンバの非劣性が検証された。
84日目までの全死因死亡率は、クレセンバ群29.1%、ボリコナゾール群31.0%であり、調整後群間差は−1.4%[95%CI:−9.150, 6.340]a)であった。また、Kaplan-Meier法による84日目までの生存曲線は以下のとおりであった。
有効性の判定基準については下部に記載
投与終了時の総合効果の有効率は、クレセンバ群35.0%、ボリコナゾール群36.4%であり、調整後群間差は1.6%[95%CI:−9.336, 12.572]a)であった。
42日目及び84日目の総合効果の有効率は、クレセンバ群及びボリコナゾール群でそれぞれ、42日目では35.7%及び35.7%、84日目では25.2%及び32.6%であった。
投与終了時の総合効果の有効率は、クレセンバ群35.0%、ボリコナゾール群38.9%であり、調整後群間差は4.0%[95%CI:-7.973, 15.875]a)であった。
42日目及び84日目の総合効果の有効率は、クレセンバ群及びボリコナゾール群でそれぞれ、42日目では35.8%及び38.0%、84日目では25.2%及び35.2%であった。
副作用はクレセンバ群42.4%(109/257例)、ボリコナゾール群59.8%(155/259例)に認められた。主な副作用は、クレセンバ群で悪心19例(7.4%)、嘔吐13例(5.1%)、呼吸困難8例(3.1%)であり、ボリコナゾール群では嘔吐22例(8.5%)、悪心21例(8.1%)、視力障害15例(5.8%)、γ-GTP増加14例(5.4%)、血中ALP増加、AST増加、ALT増加、幻覚各11例(4.2%)、幻視、肝機能異常各9例(3.5%)、心電図QT延長8例(3.1%)であった。
重篤な副作用は、クレセンバ群28例、ボリコナゾール群29例に認められた。2例以上に発現した重篤な副作用は、クレセンバ群では呼吸不全4例、呼吸困難3例、急性呼吸不全、真菌感染、薬物毒性各2例、ボリコナゾール群では呼吸不全、心停止、心室性頻脈、発疹、肝不全、肝機能異常、幻視各2例であった。
投与中止に至った副作用は、クレセンバ群21例、ボリコナゾール群35例に認められた。2例以上に発現した投与中止に至った副作用は、クレセンバ群では、血中ビリルビン増加、真菌感染各2例、ボリコナゾール群では発疹3例、肝機能検査異常、呼吸不全、肝不全、高ビリルビン血症、錯乱状態、嘔吐、悪心各2例であった。
本試験において、死亡に至った副作用は、クレセンバ群7例、ボリコナゾール群6例に認められた。その内訳は、クレセンバ群では真菌感染2例、敗血症、急性呼吸不全、呼吸窮迫、うっ血性心筋症、急性肝炎各1例、ボリコナゾール群では心停止2例、呼吸不全、心肺停止、多臓器不全、くも膜下出血各1例であった。
目的 | アスペルギルス種又は他の糸状菌を起因菌a)とする侵襲性真菌症患者を対象に、一次治療としてのクレセンバの有効性及び安全性についてボリコナゾールと比較する。 |
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試験デザイン | 国際共同、無作為化、二重盲検、実薬対照(ダブルダミー)、非劣性、検証試験 |
対象 |
アスペルギルス種又は他の糸状菌を起因菌とする侵襲性真菌症患者516例(クレセンバ群258例、ボリコナゾール群258例)b)
【主な選択基準】
【主な除外基準】
*1:国内未承認 *2:注射剤及び経口剤は国内未承認 |
投与方法 |
地理的地域(北アメリカ、西ヨーロッパ・オーストラリア・ニュージーランド、その他の地域)、同種骨髄移植の施行状況、コントロール不良の悪性腫瘍の有無を層別因子として、クレセンバ群又はボリコナゾール群に1:1で無作為に割り付け、最大84日間投与した。負荷投与は静脈内投与としたが、維持投与中の静脈内投与と経口投与は、随時切り替え可能とした。登録時の診断分類、有効性及び死因をDRCが盲検下で評価した。治験薬投与終了後28日間を追跡調査期とし、追跡調査期終了までのすべての有害事象を調査した。
治験薬の投与方法
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評価項目 |
[主要評価項目(検証的評価項目)]
[主な副次評価項目]
[副次評価項目]
[安全性評価項目]
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解析計画 |
解析対象集団
ITT集団及びmITT集団を主たる有効性解析集団とした。
解析方法
[主要評価項目]
※ 全死因死亡率の各評価時点での生存状況が不明であった場合は死亡、DRC判定による総合効果の各評価時点で欠測が生じた場合は無効と扱った。生存時間解析で追跡不能となった場合は最終評価日を打ち切りとした。 |
1)承認時評価資料, 社内資料:海外第Ⅲ相試験(9766-CL-0104試験)
2) Maertens JA et al. Lancet. 2016; 387(10020): 760-769. 本試験はバジリア社の支援により実施された。
ボリコナゾールの効能⼜は効果、⽤法及び⽤量等の詳細は電⼦添⽂をご参照ください。
本剤は、海外臨床試験データを日本人に外挿することが可能であると判断され、国内第Ⅲ相試験及び海外第Ⅲ相試験を含む臨床データパッケージに基づいて承認されました。このため、一部承認外の菌種による真菌症の成績が含まれますが、承認時評価資料のため掲載します。