海外文献よりSLEに関する最新のエビデンスをお届けします
文献選定・監修
慶應義塾大学医学部 名誉教授 竹内 勤 先生
今回は、ループス腎炎(LN)の糸球体内皮に存在するグリコカリックスの役割に関するLNマウスモデルを用いた研究を紹介する。内皮グリコカリックスは、毛細血管の内皮表面を覆っている多糖類層である。その機能については、近年、解析が始まったばかりであるが、血管内皮と血球間の摩擦の軽減、血管透過性の調節、白血球の接着や遊走の調節など、多岐にわたることが知られている。本研究で、LNマウスモデルでは、糸球体内皮グリコカリックスが肥厚し、グリコカリックス内のヒアルロン酸が増加しており、そこにヒアルロン酸受容体(CD44)を発現するT細胞が直接結合してホーミングが生じ、炎症が誘導されることが示唆されており、大変興味深い論文である。
Summary based on article by Kadoya H*, et al. JCI Insight 2020; 5(19): e131252.
*Department of Physiology and Neuroscience and Department of Medicine, Zilkha Neurogenetic Institute, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, California, USA; Department of Nephrology/Hypertension, Kawasaki Medical School, Kurashiki, Japan
注:本文献要旨集は、医療関係者にとって有益な情報を提供するための資材です。2020年7月~9月の間に発表された全身性エリテマトーデスに関連する医学論文の中から監修ドクターが客観的に1報選定し、Springer Healthcareの医学ライターが作成したサマリーです。サノフィ株式会社は論文選定、原稿作成には関与していません。